「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

法を用いた国の脅しの手口、スラップ訴訟(住民の集団行動に対する戦略的な対抗訴訟)

2014-07-23 18:40:07 | 国政レベルでなすべきこと

 スラップ訴訟(住民の集団行動に対する戦略的な対抗訴訟)の手段を、国は取るべきではないし、取ることこそ、違法違憲な表現の自由の侵害ではないだろうか。
 国は、少なくとも「公共の福祉」を用いて、調整役にはいるべきところ。


 法は、ひとを守るために存在する。
 決して、法を知るひとが、法を知らないひとを脅すのに用いてはならない。

 国も、弁護士も。


 例えば、先日放映されたテレビドラマ「HERO」では、強制わいせつの被疑者側弁護士は、被害者女性の正当防衛を、過剰防衛と考えられると脅して、告訴を取り下げさせている。
 このような脅しもまた、不当であり、なされるべきものではないと考える。
 本題からそれるが、悪意を持った脅しの手法を用いた弁護士は、懲戒に該当しないのだろうか?

 類似事件:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/552938.html



 梓澤和幸弁護士もまた、以下、述べられていました。


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梓澤和幸あずさわかずゆき @momocute2006 

東京新聞7*23トップ記事。スラップ訴訟(基地、公害反対運動などへの威迫目的裁判)への抗議伝える。現場で「待った」の運動を支援してきた弁護士からみると、国、自治体、超大企業に抵抗する運動を違法として損害賠償請求をするなど許せぬ。それを認めた最高裁判決はその立場性を暴露した。続く

最高裁も駄目だし、これへの批判ををきちんと真正面から一面トップに据える東京新聞に共感を覚える。民の側にたつ旗幟をへんぽんとひるがえす東京新聞に身をただして拍手をおくる。座り込みの苦労とそこに込められた涙と背景にある人間の歴史に目を向けぬ法律家とは何か。続く。


「絶望の裁判所」(瀬野木ひろし 講談社現代新書)から、ペンタゴンペーパーズ事件でエルズバーグの決死の告発を差し止めようとした政府の動きを止めた米連邦最高裁判事のごとき人物よ。歴史の前に躍りいでよ。官僚の歯車に組み込まれるより、小さき命を守ることこそ貴いと学べ。できるはず。!

最高裁判事よ。誇り高く、格調高く、憲法にこめられた世界大戦の犠牲者たちの長く続く叫びを聞くべし。それはあなた方も人間であればこそ。キリストのように、ムハンマドのように。釈迦のように。日蓮や法然のように。死者の声に魂を共感させよ。



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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014072390071348.html 
【社会】


スラップ訴訟 市民団体が最高裁に抗議 「国の提訴はどう喝」

2014年7月23日 07時14分


 沖縄県東村(ひがしそん)高江での米軍用ヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)建設現場で抗議の座り込みをしていた住民を「通行妨害だ」と国が訴えた裁判で、国の勝訴が今年六月、最高裁で確定した。この判決に対し首都圏の市民団体「STOP SLAPP(スラップ)!高江」が二十二日、「表現の自由に対する侵害」として、最高裁に抗議文書や署名を提出した。

 文書では訴訟を、権力が弱者や個人をどう喝する「スラップ訴訟」と位置づけ、「表現の自由が通行妨害にすり替えられ、生活を守りたいという思いが国と司法によって弾圧されている」と批判した。今回提出した三千人を含め、抗議の署名は三万人に上る。

 国は当初、八歳の少女を含む十五人に通行妨害禁止などを求めた仮処分を那覇地裁に申し立て。地裁は伊佐真次(まさつぐ)さん(52)ら二人に通行妨害の禁止を命令した。その後、国が起こした本訴訟では、一審、控訴審ともに伊佐さんが敗訴し、最高裁は六月十三日付で伊佐さんの上告を棄却した。

 署名提出後、メンバーの鈴木祥子さん(38)=千葉県船橋市=らが最高裁前で「スラップ裁判は私たち一人一人に降り掛かる問題だ」などと訴えた。

<スラップ(SLAPP)> strategic lawsuit against public participation(住民の集団行動に対する戦略的な対抗訴訟)の頭文字

(東京新聞)

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日本の立憲主義が否定された臨時閣議 議事録 平成26年7月1日(火) 16:57~17:20

2014-07-23 09:00:53 | 戦争と平和

 日本の立憲主義が否定され、日本国憲法で解釈改憲できない違憲無効な閣議決定がなされた時の議事録が7/22公開されました。

 日本戦後政治史上最も残念で、恥ずべき瞬間です。
 おかしいことをおかしいとはっきりといい、自らの信念を貫く政治家が、その場にいなかったのがとても残念です。

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http://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2014/kakugi-2014070102.html#minutes 

http://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2014/__icsFiles/afieldfile/2014/07/22/260701rinjigijiroku.pdf 

臨時閣議及び閣僚懇談会議事録

開催日時:平成26年7月1日(火) 16:57~17:20

開催場所:総理大臣官邸閣議室

出 席 者:安 倍 晋 三 内閣総理大臣
麻 生 太 郎 国務大臣(副総理,財務大臣,内閣府特命担当大臣)
新 藤 義 孝 国務大臣(総務大臣,内閣府特命担当大臣)
谷 垣 禎 一 国務大臣(法務大臣)
岸 田 文 雄 国務大臣(外務大臣)
下 村 博 文 国務大臣(文部科学大臣)
田 村 憲 久 国務大臣(厚生労働大臣)
林 芳 正 国務大臣(農林水産大臣)
茂 木 敏 充 国務大臣(経済産業大臣,内閣府特命担当大臣)
太 田 昭 宏 国務大臣(国土交通大臣)
石 原 伸 晃 国務大臣(環境大臣,内閣府特命担当大臣)
小野寺 五 典 国務大臣(防衛大臣)
菅 義 偉 国務大臣(内閣官房長官)
根 本 匠 国務大臣(復興大臣)
古 屋 圭 司 国務大臣(国家公安委員会委員長,内閣府特命担当大臣)
山 本 一 太 国務大臣(内閣府特命担当大臣)
森 まさこ 国務大臣(内閣府特命担当大臣)
甘 利 明 国務大臣(内閣府特命担当大臣)
稲 田 朋 美 国務大臣(内閣府特命担当大臣)
陪 席 者:加 藤 勝 信 内閣官房副長官
世 耕 弘 成 内閣官房副長官
杉 田 和 博 内閣官房副長官
横 畠 裕 介 内閣法制局長官

臨時閣議案件:別添案件表のとおり。

○一般案件 1件
案件表のとおり,決定となった。



議事内容:

○菅国務大臣:ただ今から,臨時閣議を開催いたします。まず,臨時閣議案件につい
て,世耕副長官から御説明申し上げます。

○世耕内閣官房副長官:臨時閣議案件について,申し上げます。「国の存立を全うし,
国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備」について,御決定をお願いい
たします。お手元の閣議決定案を読み上げます。
我が国は,戦後一貫して日本国憲法の下で平和国家として歩んできた。専守防衛
に徹し,他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず,非核三原則を守るとの基
本方針を堅持しつつ,国民の営々とした努力により経済大国として栄え,安定して
豊かな国民生活を築いてきた。また,我が国は,平和国家としての立場から,国際
連合憲章を遵守しながら,国際社会や国際連合を始めとする国際機関と連携し,そ
れらの活動に積極的に寄与している。こうした我が国の平和国家としての歩みは,
国際社会において高い評価と尊敬を勝ち得てきており,これをより確固たるものに
しなければならない。
一方,日本国憲法の施行から67年となる今日までの間に,我が国を取り巻く安全
保障環境は根本的に変容するとともに,更に変化し続け,我が国は複雑かつ重大な
国家安全保障上の課題に直面している。国際連合憲章が理想として掲げたいわゆる
正規の「国連軍」は実現のめどが立っていないことに加え,冷戦終結後の四半世紀
だけをとっても,グローバルなパワーバランスの変化,技術革新の急速な進展,大
量破壊兵器や弾道ミサイルの開発及び拡散,国際テロなどの脅威により,アジア太
平洋地域において問題や緊張が生み出されるとともに,脅威が世界のどの地域にお
いて発生しても,我が国の安全保障に直接的な影響を及ぼし得る状況になっている。
さらに,近年では,海洋,宇宙空間,サイバー空間に対する自由なアクセス及びそ
の活用を妨げるリスクが拡散し深刻化している。もはや,どの国も一国のみで平和
を守ることはできず,国際社会もまた,我が国がその国力にふさわしい形で一層積
極的な役割を果たすことを期待している。
政府の最も重要な責務は,我が国の平和と安全を維持し,その存立を全うすると
ともに,国民の命を守ることである。我が国を取り巻く安全保障環境の変化に対応
し,政府としての責務を果たすためには,まず,十分な体制をもって力強い外交を
推進することにより,安定しかつ見通しがつきやすい国際環境を創出し,脅威の出
現を未然に防ぐとともに,国際法にのっとって行動し,法の支配を重視することに
より,紛争の平和的な解決を図らなければならない。
さらに,我が国自身の防衛力を適切に整備,維持,運用し,同盟国である米国と
の相互協力を強化するとともに,域内外のパートナーとの信頼及び協力関係を深め
ることが重要である。特に,我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定のた
めに,日米安全保障体制の実効性を一層高め,日米同盟の抑止力を向上させること
により,武力紛争を未然に回避し,我が国に脅威が及ぶことを防止することが必要
不可欠である。その上で,いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを断固
として守り抜くとともに,国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の下,国際社
3
会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献するためには,切れ目のない対応を
可能とする国内法制を整備しなければならない。
5月15日に「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」から報告書が提出
され,同日に安倍内閣総理大臣が記者会見で表明した基本的方向性に基づき,これ
まで与党において協議を重ね,政府としても検討を進めてきた。今般,与党協議の
結果に基づき,政府として,以下の基本方針に従って,国民の命と平和な暮らしを
守り抜くために必要な国内法制を速やかに整備することとする。
1 武力攻撃に至らない侵害への対処
(1) 我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増していることを考慮すれば,純
然たる平時でも有事でもない事態が生じやすく,これにより更に重大な事態に至り
かねないリスクを有している。こうした武力攻撃に至らない侵害に際し,警察機関
と自衛隊を含む関係機関が基本的な役割分担を前提として,より緊密に協力し,い
かなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するための態勢を整備
することが一層重要な課題となっている。
(2) 具体的には,こうした様々な不法行為に対処するため,警察や海上保安庁な
どの関係機関が,それぞれの任務と権限に応じて緊密に協力して対応するとの基本
方針の下,各々の対応能力を向上させ,情報共有を含む連携を強化し,具体的な対
応要領の検討や整備を行い,命令発出手続を迅速化するとともに,各種の演習や訓
練を充実させるなど,各般の分野における必要な取組を一層強化することとする。
(3) このうち,手続の迅速化については,離島の周辺地域等において外部から武
力攻撃に至らない侵害が発生し,近傍に警察力が存在しない場合や警察機関が直ち
に対応できない場合(武装集団の所持する武器等のために対応できない場合を含
む。)の対応において,治安出動や海上における警備行動を発令するための関連規
定の適用関係についてあらかじめ十分に検討し,関係機関において共通の認識を確
立しておくとともに,手続を経ている間に,不法行為による被害が拡大することが
ないよう,状況に応じた早期の下令や手続の迅速化のための方策について具体的に
検討することとする。
(4) さらに,我が国の防衛に資する活動に現に従事する米軍部隊に対して攻撃が
発生し,それが状況によっては武力攻撃にまで拡大していくような事態においても,
自衛隊と米軍が緊密に連携して切れ目のない対応をすることが,我が国の安全の確
保にとっても重要である。自衛隊と米軍部隊が連携して行う平素からの各種活動に
際して,米軍部隊に対して武力攻撃に至らない侵害が発生した場合を想定し,自衛
隊法第95条による武器等防護のための「武器の使用」の考え方を参考にしつつ,
自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動(共同訓練を含む。)に現に従事して
いる米軍部隊の武器等であれば,米国の要請又は同意があることを前提に,当該武
器等を防護するための自衛隊法第95条によるものと同様の極めて受動的かつ限
定的な必要最小限の「武器の使用」を自衛隊が行うことができるよう,法整備をす
ることとする。
2 国際社会の平和と安定への一層の貢献
4
(1) いわゆる後方支援と「武力の行使との一体化」
ア いわゆる後方支援と言われる支援活動それ自体は,「武力の行使」に当たら
ない活動である。例えば,国際の平和及び安全が脅かされ,国際社会が国際連合安
全保障理事会決議に基づいて一致団結して対応するようなときに,我が国が当該決
議に基づき正当な「武力の行使」を行う他国軍隊に対してこうした支援活動を行う
ことが必要な場合がある。一方,憲法第9条との関係で,我が国による支援活動に
ついては,他国の「武力の行使と一体化」することにより,我が国自身が憲法の下
で認められない「武力の行使」を行ったとの法的評価を受けることがないよう,こ
れまでの法律においては,活動の地域を「後方地域」や,いわゆる「非戦闘地域」
に限定するなどの法律上の枠組みを設定し,「武力の行使との一体化」の問題が生
じないようにしてきた。
イ こうした法律上の枠組みの下でも,自衛隊は,各種の支援活動を着実に積み
重ね,我が国に対する期待と信頼は高まっている。安全保障環境が更に大きく変化
する中で,国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場から,国際社会の平和
と安定のために,自衛隊が幅広い支援活動で十分に役割を果たすことができるよう
にすることが必要である。また,このような活動をこれまで以上に支障なくできる
ようにすることは,我が国の平和及び安全の確保の観点からも極めて重要である。
ウ 政府としては,いわゆる「武力の行使との一体化」論それ自体は前提とした
上で,その議論の積み重ねを踏まえつつ,これまでの自衛隊の活動の実経験,国際
連合の集団安全保障措置の実態等を勘案して,従来の「後方地域」あるいはいわゆ
る「非戦闘地域」といった自衛隊が活動する範囲をおよそ一体化の問題が生じない
地域に一律に区切る枠組みではなく,他国が「現に戦闘行為を行っている現場」で
はない場所で実施する補給,輸送などの我が国の支援活動については,当該他国の
「武力の行使と一体化」するものではないという認識を基本とした以下の考え方に
立って,我が国の安全の確保や国際社会の平和と安定のために活動する他国軍隊に
対して,必要な支援活動を実施できるようにするための法整備を進めることとする。
(ア) 我が国の支援対象となる他国軍隊が「現に戦闘行為を行っている現場」で
は,支援活動は実施しない。
(イ) 仮に,状況変化により,我が国が支援活動を実施している場所が「現に戦
闘行為を行っている現場」となる場合には,直ちにそこで実施している支援活動を
休止又は中断する。
(2) 国際的な平和協力活動に伴う武器使用
ア 我が国は,これまで必要な法整備を行い,過去20年以上にわたり,国際的
な平和協力活動を実施してきた。その中で,いわゆる「駆け付け警護」に伴う武器
使用や「任務遂行のための武器使用」については,これを「国家又は国家に準ずる
組織」に対して行った場合には,憲法第9条が禁ずる「武力の行使」に該当するお
それがあることから,国際的な平和協力活動に従事する自衛官の武器使用権限はい
わゆる自己保存型と武器等防護に限定してきた。
イ 我が国としては,国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場から,国
5
際社会の平和と安定のために一層取り組んでいく必要があり,そのために,国際連
合平和維持活動(PKO)などの国際的な平和協力活動に十分かつ積極的に参加で
きることが重要である。また,自国領域内に所在する外国人の保護は,国際法上,
当該領域国の義務であるが,多くの日本人が海外で活躍し,テロなどの緊急事態に
巻き込まれる可能性がある中で,当該領域国の受入れ同意がある場合には,武器使
用を伴う在外邦人の救出についても対応できるようにする必要がある。
ウ 以上を踏まえ,我が国として,「国家又は国家に準ずる組織」が敵対するも
のとして登場しないことを確保した上で,国際連合平和維持活動などの「武力の行
使」を伴わない国際的な平和協力活動におけるいわゆる「駆け付け警護」に伴う武
器使用及び「任務遂行のための武器使用」のほか,領域国の同意に基づく邦人救出
などの「武力の行使」を伴わない警察的な活動ができるよう,以下の考え方を基本
として,法整備を進めることとする。
(ア) 国際連合平和維持活動等については,PKO参加5原則の枠組みの下で,
「当該活動が行われる地域の属する国の同意」及び「紛争当事者の当該活動が行わ
れることについての同意」が必要とされており,受入れ同意をしている紛争当事者
以外の「国家に準ずる組織」が敵対するものとして登場することは基本的にないと
考えられる。このことは,過去20年以上にわたる我が国の国際連合平和維持活動
等の経験からも裏付けられる。近年の国際連合平和維持活動において重要な任務と
位置付けられている住民保護などの治安の維持を任務とする場合を含め,任務の遂
行に際して,自己保存及び武器等防護を超える武器使用が見込まれる場合には,特
に,その活動の性格上,紛争当事者の受入れ同意が安定的に維持されていることが
必要である。
(イ) 自衛隊の部隊が,領域国政府の同意に基づき,当該領域国における邦人救
出などの「武力の行使」を伴わない警察的な活動を行う場合には,領域国政府の同
意が及ぶ範囲,すなわち,その領域において権力が維持されている範囲で活動する
ことは当然であり,これは,その範囲においては「国家に準ずる組織」は存在して
いないということを意味する。
(ウ) 受入れ同意が安定的に維持されているかや領域国政府の同意が及ぶ範囲等
については,国家安全保障会議における審議等に基づき,内閣として判断する。
(エ) なお,これらの活動における武器使用については,警察比例の原則に類似
した厳格な比例原則が働くという内在的制約がある。
3 憲法第9条の下で許容される自衛の措置
(1) 我が国を取り巻く安全保障環境の変化に対応し,いかなる事態においても国
民の命と平和な暮らしを守り抜くためには,これまでの憲法解釈のままでは必ずし
も十分な対応ができないおそれがあることから,いかなる解釈が適切か検討してき
た。その際,政府の憲法解釈には論理的整合性と法的安定性が求められる。したが
って,従来の政府見解における憲法第9条の解釈の基本的な論理の枠内で,国民の
命と平和な暮らしを守り抜くための論理的な帰結を導く必要がある。
(2) 憲法第9条はその文言からすると,国際関係における「武力の行使」を一切
6
禁じているように見えるが,憲法前文で確認している「国民の平和的生存権」や憲
法第13条が「生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利」は国政の上で最大の
尊重を必要とする旨定めている趣旨を踏まえて考えると,憲法第9条が,我が国が
自国の平和と安全を維持し,その存立を全うするために必要な自衛の措置を採るこ
とを禁じているとは到底解されない。一方,この自衛の措置は,あくまで外国の武
力攻撃によって国民の生命,自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急
迫,不正の事態に対処し,国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置とし
て初めて容認されるものであり,そのための必要最小限度の「武力の行使」は許容
される。これが,憲法第9条の下で例外的に許容される「武力の行使」について,
従来から政府が一貫して表明してきた見解の根幹,いわば基本的な論理であり,昭
和47年10月14日に参議院決算委員会に対し政府から提出された資料「集団的
自衛権と憲法との関係」に明確に示されているところである。
この基本的な論理は,憲法第9条の下では今後とも維持されなければならない。
(3) これまで政府は,この基本的な論理の下,「武力の行使」が許容されるのは,
我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られると考えてきた。しかし,冒頭で
述べたように,パワーバランスの変化や技術革新の急速な進展,大量破壊兵器など
の脅威等により我が国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容し,変化し続けてい
る状況を踏まえれば,今後他国に対して発生する武力攻撃であったとしても,その
目的,規模,態様等によっては,我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得る。
我が国としては,紛争が生じた場合にはこれを平和的に解決するために最大限の
外交努力を尽くすとともに,これまでの憲法解釈に基づいて整備されてきた既存の
国内法令による対応や当該憲法解釈の枠内で可能な法整備などあらゆる必要な対
応を採ることは当然であるが,それでもなお我が国の存立を全うし,国民を守るた
めに万全を期す必要がある。
こうした問題意識の下に,現在の安全保障環境に照らして慎重に検討した結果,
我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず,我が国と密接な関係にある他
国に対する武力攻撃が発生し,これにより我が国の存立が脅かされ,国民の生命,
自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において,これ
を排除し,我が国の存立を全うし,国民を守るために他に適当な手段がないときに,
必要最小限度の実力を行使することは,従来の政府見解の基本的な論理に基づく自
衛のための措置として,憲法上許容されると考えるべきであると判断するに至った。
(4) 我が国による「武力の行使」が国際法を遵守して行われることは当然である
が,国際法上の根拠と憲法解釈は区別して理解する必要がある。憲法上許容される
上記の「武力の行使」は,国際法上は,集団的自衛権が根拠となる場合がある。こ
の「武力の行使」には,他国に対する武力攻撃が発生した場合を契機とするものが
含まれるが,憲法上は,あくまでも我が国の存立を全うし,国民を守るため,すな
わち,我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として初めて許容されるも
のである。
(5) また,憲法上「武力の行使」が許容されるとしても,それが国民の命と平和
7
な暮らしを守るためのものである以上,民主的統制の確保が求められることは当然
である。政府としては,我が国ではなく他国に対して武力攻撃が発生した場合に,
憲法上許容される「武力の行使」を行うために自衛隊に出動を命ずるに際しては,
現行法令に規定する防衛出動に関する手続と同様,原則として事前に国会の承認を
求めることを法案に明記することとする。
4 今後の国内法整備の進め方
これらの活動を自衛隊が実施するに当たっては,国家安全保障会議における審議
等に基づき,内閣として決定を行うこととする。こうした手続を含めて,実際に自
衛隊が活動を実施できるようにするためには,根拠となる国内法が必要となる。政
府として,以上述べた基本方針の下,国民の命と平和な暮らしを守り抜くために,
あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする法案の作成作業を開始することと
し,十分な検討を行い,準備ができ次第,国会に提出し,国会における御審議を頂
くこととする。
○菅国務大臣:次に,大臣発言がございます。まず,内閣総理大臣から御発言がござ
います。
○安倍内閣総理大臣:「国の存立を全うし,国民を守るための切れ目のない安全保障
法制の整備について」の決定に係る関係各位の御尽力に感謝します。
本閣議決定は,我が国を取り巻く安全保障環境がますます厳しさを増す中で,国
民の命と平和な暮らしを守り抜くために如何にすべきかとの観点から,新たな安全
保障法制の整備のための基本方針を示すものであり,抑止力の向上と地域及び国際
社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献することを通じて,我が国の平和
と安全を一層確かなものにしていく上で,歴史的な重要性を持つものであります。
しかし,関連する法律を整備しなければ,具体的な活動を行うことはできず,抑
止力は高まりません。その意味で,これからの立法作業が極めて重要であります。
関係省庁においては,あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする安全保障法制
の整備に向け,直ちに作業に着手していただくようお願いいたします。
また,現在日米間で検討中のガイドラインの見直しと安全保障法制の検討は表裏
一体であります。両方の作業を十分に整合させる観点から,米国との協議を加速化
していただくようお願いいたします。その上で,新ガイドラインを策定し,実効性
ある安全保障法制となるよう協議を進めていただきたいと思います。
最後に,安全保障政策において最も重要なことは,広範な国民の支持を得ること
であります。本閣議決定の趣旨について,更に幅広い支持が得られるよう,国民に
対して丁寧に説明を行う必要があります。この点についても,関係各位の引き続き
の御協力をお願いいたします。
○菅国務大臣:次に,外務大臣。
○岸田国務大臣:今般の閣議決定は,国民の命と平和な暮らしを守り抜くためのもの
です。今般の閣議決定を受けた今後の法整備においては,国際法に従い,我が国が,
国際社会と連携しつつ,平和と安定の確保のために,切れ目のない対応を行うこと
が可能となるよう,外務省としてもしっかり協力していきます。
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また,今般の閣議決定は,日米安保体制の抑止力と対処力を強化するとの観点か
らも重要な意義を有します。年末までの「日米防衛協力のための指針(ガイドライ
ン)」見直しについても,防衛大臣と協力し,精力的に作業していきます。
国民の理解に加え,国際社会の理解も重要です。一連の我が国の取組について,
幅広く国際社会の理解を得られるよう,各国に対し,引き続き丁寧な説明を実施し
ていきます。
○菅国務大臣:次に,防衛大臣。
○小野寺国務大臣:我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中,あらゆる可能
性を想定して万全の備えをとっていく必要があり,今般の閣議決定において,安全
保障に関する今後の国内法制の整備の方向性が示されたことは極めて意義深いこ
とであると認識しております。
この閣議決定を踏まえ,政府全体としてあらゆる事態に切れ目のない対応を可能
とすべく,法整備の作業を行っていくこととなりますが,防衛省としても,国民が
自衛隊に期待する役割をしっかりと果たせるよう,閣議決定後,直ちに,省内に法
整備に向けた検討体制を構築し,省一丸となり,関係省庁と協力して作業に当たっ
て参る所存です。
また,今回の閣議決定の内容は,日米ガイドラインの見直し作業にも密接に関連
するものであり,米側にもしっかりと説明しつつ,外務省とともに,年末に向けて
精力的に作業を進めて参ります。
○菅国務大臣:次に,古屋大臣。
○古屋国務大臣:警察では,本日の閣議決定を踏まえ,装備資機材の充実を始めとし
た各種対処能力の向上や,情報共有を含む関係機関との連携の強化を図るなど,あ
らゆる事態に切れ目のない対応を行うことができるよう,必要な取組を一層強化し
てまいります。
○菅国務大臣:これをもちまして,臨時閣議を終了いたします。
引き続き,閣僚懇談会を開催いたします。
御発言はございますか。
無いようですので,これをもちまして,閣僚懇談会を終了いたします。
9



平成26 年
7 月1 日
◎ 一般案件
○ 国の存立を全うし, 国民を守るための切れ目のな
い安全保障法制の整備について( 決定)
( 内閣官房)
〔○ 署名あり ☆ 署名なし〕
臨時閣議案件 ( 火)
〔別添〕
資料
あり



***************************************************************************
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014072302000156.html
【政治】


公明・太田氏発言せず 集団的自衛権決定の閣議 議事録公表

2014年7月23日 朝刊

 政府は二十二日、集団的自衛権の行使を認めるため、憲法解釈の変更を決定した今月一日の臨時閣議と閣僚懇談会の議事録を公表した。安倍晋三首相が解釈改憲を踏まえ、安全保障法制の整備に着手するよう指示する一方、解釈変更に慎重だった公明党から入閣している太田昭宏国土交通相は発言しなかった。


 安倍首相は年内に改定する自衛隊と米軍の役割分担を定めた防衛協力指針(ガイドライン)に関し「ガイドラインの見直しと安全保障法制の検討は表裏一体だ」と述べ、米側との協議を加速するよう指示した。


 集団的自衛権の閣議決定案について議論したのは、この日の閣議のみ。世耕弘成官房副長官が全文を読み上げたあと、首相らが発言したが、二十三分で終了した。閣僚懇談会では通常、閣僚から発言があるが、この日は発言がなかった。

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