「とりあえず、そのライター動かすのやめてくれないかな?」
さっきからクルタンが話すたびに鳴っていたシュッシュッという奇音はライターからだった
なぜ学校にライターなんか持ってきてるのだろう・・・という疑問は取り敢えず置いておく
そんなことより今は計画の詳細だ
「・・・ああ・・・・・・これですか・・・・・・すいません。わたくしの癖でしてね・・・気をつけましょう・・・」
「それで計画についてなんだけど?―」
「はい・・・簡潔に申しますとポイントは3つ・・・」
「3つ??」
エヌピィシィmemberは集中して耳を傾ける
「一つ目・・・・・・多かれ少なかれこれはカンニング行為です・・・そこら辺で少しでも躊躇されると計画が破綻する可能性が大です」
「つまり、妥協しろってことね」
「そうです・・・バレる可能性は0に等しい、それは保証します。ですが躊躇ってしまうと失敗に終わるでしょう」
「・・・」
この間は、どうしようか―などと考えているわけではない
どちらかといえば
どうやって?―というこの計画遂行からみればポジティブな疑問だった
それはエヌピィシィmemberも同じだっただろう
なにせ理科の試験監督は視野が360°あるんじゃないかと恐れられ"絶対視界のパラレル/アイ" とまで裏の住人に言わしめたあの木村先生なんだから・・・・・・
「意見がないということは承諾したということでよろしいですね?・・・それでは時間もありませんのでチャッチャと進めます・・・」
「いいわよね・・・みんな?」
一様 ドンマロが確認の目を皆に送る
案の定、横に振る首は何処にもなかった。
「後の二つは簡単です。期末試験で四人中三人が赤点取ること。あとはペン回しができることです」
「なぁなぁ・・・なに言ってンダ?こいつ?」
目を細めながらクルタンを見るテルであったがそれを無視するかのように説明を続ける
「知っての通り試験監督には木村が選ばれています。これはどんなカンニング方法であってもそれなりのリスクはあるでしょう。しかも席の配置も不運でしたね エヌピィシィmemberの中で一番前列にいるのが赤点最有力候補のテル君・・・これではどうしようもありません」
「そうよ・・・それでどうするっていうの?」
「理科のテストには救済処置があるのをご存知でしょうか?」
「・・・え?」
「期末試験→赤点→夏休み学校補修ではないのですよ 実際には期末試験→赤点→追試験→赤点→夏休み学校補修なのです」
ドンマロは計画に気づいたようで目を見開いている。俺はまだわからない
「そしてこの追試験の試験監督はいないに等しいし席順も自由です」
バードシーもわかったらしく口をポカンとさせている・・・・・・まだわかんないよ俺・・・
「もうお分かりですね? 追試験は半分が4択問題のマークシート方式になっています。赤点は35点未満ですのでこの半分の正解番号さえカンニングできれば勝ちってことです」
どうやってカンニングすんだぁウ゛ァァアアアア('A`)
「そこで(」
「んで、ペン回しなんダナ!?」
「とうとう俺が最後まで分からんかったぁぁああああああ~い!!!わーい!わぁああっい!!」
壊れたヤミヒロを尻目にクルタンはまだ話し続けた
「そうですテル君。ペン回しです―」
こうしてクルタンの計画を理解した俺らは無事に赤点を取り追試験へ勝利の駒を進めたのだった。
*
追試験開始15分前
まず俺とドンマロが教室に入り
一番奥、最前列窓際に俺、一番手前、最前列ドア側にドンマロが座る
そして他の生徒で最前列が埋め尽くされる頃合いにテルが遅れてやってくる
まず第一の難所はクリア。
できるだけ怪しまれないようする小技もクルタンは教えていた
バードシーは、本試験で最後列だったのもあり本試験でなにかイレギュラーな事態に遭遇したら赤点を取るという保険役割だったため今は、久しぶりの部活動に勤しんでるだろう
結果 テルは、一番不自然ではない位置 ドンマロの左手が見える席に腰を落とした
ま〓〓〓〓〓〓ド
ど〓〓〓〓〓〓ア
側〓〓〓〓〓〓側
※再試験教室配置図
そして肝心のカンニング方法
それが"回転"を利用したものだった
ペン回しには親指にペンを巻き付ける"ノーマル"やその逆回転"リバース"、中指を軸にペンを高速移動させる"ソニック"、中指にペンを巻き付ける"ガンマン"など、基本的な技だけでもかなりの数があるのだ
それらの技に番号という情報を書き加えればペン回しカンニングペーパーが衣とも簡単に完成する
例えば ノーマル→ソニック→ガンマン と回した場合 問1の3の答えは4となる
このカンニングの最大の魅力は証拠が残らないところにある
ただでさえザルの監視体制でこんなステルス技をされたらどうしようもないだろう
そして終了10分前 テルの咳払いを合図にドンマロの左手は"見えない答案用紙"を描き始め・・・
テルがそれを解読していく・・・
なにもかもが順調・・・
そう思いたかった・・・
だが実は違う・・・
大いに違う・・・
それは時計の針を少し戻した追試験開始直後のできごとである
*
「しっしっしけんは・・・カカカカカカカイシーッ!!!なんちゃってんてーん!!!!」
試験監督はいないのだが、監視員はいたみたいだ
「よりによって、なんで監視員があの生徒会長なんだよ・・・」
いつものように不満が漏れたヤミヒロは額に手をおいてため息をつく
それもそのはず、口調が究極にかったるい・・・というか、ぶっちゃけUZAIことに定評のある生徒会長の"ブルドラ"がまさか監視員に選ばれていたとは不幸すぎる。
でもまぁ UZAIのも試験開始の合図だけでその後はちゃんと黙ったのでよしとしよう
そんな上から目線のヤミヒロは問題用紙をめくると早々に、ある重大な疑問に直面してしまった
・・・
・・・
・・・
「ハハッ どうすんだよ・・・」
自嘲気味に呟き、心の中で自問自答を始める
試験勉強??
ちゃんとしたさ
理科のテストを試験最重要プリントっていうのを3回ぐらいやった俺ならば赤点なんて絶対取らないはずなんだ
最重要プリントもちゃんと今年の期末試験用なのは確認済みだ
去年のだったとかいう落ちなんてない というかあっても気づくぐらいの頭はある
なのに・・・
なぜに・・・・・・
なんで・・・・・・・・・
めくった追試験問題のおよそ9割に疑問符がついたヤミヒロは1人、途方にくれていた
「わ、わかんね・・・も、問題がミクロレベルでわかんね・・・・・・・・・」
"自信"という二文字がミトコンドリア並みに萎縮し"絶望"という名のプランクトンに変貌しようとしていたがふと、ある考えが頭をよぎった。
(そうだ!ドンマロがテルに暗翳投射するペン回しカンペを見れば!!!)
・・・
・・・
・・・
だがしかし、無情にも端と端の距離に・・・
俺の視力は・・・
その全てを握る希望の左手を・・・
認識することはできなかった・・・
「どんすんだよぉぉおおおおお」
拝啓
1話からこの物語を読んでくれてる方々へ
大量の試験時間を残しヤミヒロはまたしても絶命危機に瀕しています。。。
つづく
次回予告
あ~あ
またですかそうですか
てか詰みじゃね?
つみまみた!
快進撃の第6話は来週15日に公開予定
☆ミ
さっきからクルタンが話すたびに鳴っていたシュッシュッという奇音はライターからだった
なぜ学校にライターなんか持ってきてるのだろう・・・という疑問は取り敢えず置いておく
そんなことより今は計画の詳細だ
「・・・ああ・・・・・・これですか・・・・・・すいません。わたくしの癖でしてね・・・気をつけましょう・・・」
「それで計画についてなんだけど?―」
「はい・・・簡潔に申しますとポイントは3つ・・・」
「3つ??」
エヌピィシィmemberは集中して耳を傾ける
「一つ目・・・・・・多かれ少なかれこれはカンニング行為です・・・そこら辺で少しでも躊躇されると計画が破綻する可能性が大です」
「つまり、妥協しろってことね」
「そうです・・・バレる可能性は0に等しい、それは保証します。ですが躊躇ってしまうと失敗に終わるでしょう」
「・・・」
この間は、どうしようか―などと考えているわけではない
どちらかといえば
どうやって?―というこの計画遂行からみればポジティブな疑問だった
それはエヌピィシィmemberも同じだっただろう
なにせ理科の試験監督は視野が360°あるんじゃないかと恐れられ"絶対視界のパラレル/アイ" とまで裏の住人に言わしめたあの木村先生なんだから・・・・・・
「意見がないということは承諾したということでよろしいですね?・・・それでは時間もありませんのでチャッチャと進めます・・・」
「いいわよね・・・みんな?」
一様 ドンマロが確認の目を皆に送る
案の定、横に振る首は何処にもなかった。
「後の二つは簡単です。期末試験で四人中三人が赤点取ること。あとはペン回しができることです」
「なぁなぁ・・・なに言ってンダ?こいつ?」
目を細めながらクルタンを見るテルであったがそれを無視するかのように説明を続ける
「知っての通り試験監督には木村が選ばれています。これはどんなカンニング方法であってもそれなりのリスクはあるでしょう。しかも席の配置も不運でしたね エヌピィシィmemberの中で一番前列にいるのが赤点最有力候補のテル君・・・これではどうしようもありません」
「そうよ・・・それでどうするっていうの?」
「理科のテストには救済処置があるのをご存知でしょうか?」
「・・・え?」
「期末試験→赤点→夏休み学校補修ではないのですよ 実際には期末試験→赤点→追試験→赤点→夏休み学校補修なのです」
ドンマロは計画に気づいたようで目を見開いている。俺はまだわからない
「そしてこの追試験の試験監督はいないに等しいし席順も自由です」
バードシーもわかったらしく口をポカンとさせている・・・・・・まだわかんないよ俺・・・
「もうお分かりですね? 追試験は半分が4択問題のマークシート方式になっています。赤点は35点未満ですのでこの半分の正解番号さえカンニングできれば勝ちってことです」
どうやってカンニングすんだぁウ゛ァァアアアア('A`)
「そこで(」
「んで、ペン回しなんダナ!?」
「とうとう俺が最後まで分からんかったぁぁああああああ~い!!!わーい!わぁああっい!!」
壊れたヤミヒロを尻目にクルタンはまだ話し続けた
「そうですテル君。ペン回しです―」
こうしてクルタンの計画を理解した俺らは無事に赤点を取り追試験へ勝利の駒を進めたのだった。
*
追試験開始15分前
まず俺とドンマロが教室に入り
一番奥、最前列窓際に俺、一番手前、最前列ドア側にドンマロが座る
そして他の生徒で最前列が埋め尽くされる頃合いにテルが遅れてやってくる
まず第一の難所はクリア。
できるだけ怪しまれないようする小技もクルタンは教えていた
バードシーは、本試験で最後列だったのもあり本試験でなにかイレギュラーな事態に遭遇したら赤点を取るという保険役割だったため今は、久しぶりの部活動に勤しんでるだろう
結果 テルは、一番不自然ではない位置 ドンマロの左手が見える席に腰を落とした
ま〓〓〓〓〓〓ド
ど〓〓〓〓〓〓ア
側〓〓〓〓〓〓側
※再試験教室配置図
そして肝心のカンニング方法
それが"回転"を利用したものだった
ペン回しには親指にペンを巻き付ける"ノーマル"やその逆回転"リバース"、中指を軸にペンを高速移動させる"ソニック"、中指にペンを巻き付ける"ガンマン"など、基本的な技だけでもかなりの数があるのだ
それらの技に番号という情報を書き加えればペン回しカンニングペーパーが衣とも簡単に完成する
例えば ノーマル→ソニック→ガンマン と回した場合 問1の3の答えは4となる
このカンニングの最大の魅力は証拠が残らないところにある
ただでさえザルの監視体制でこんなステルス技をされたらどうしようもないだろう
そして終了10分前 テルの咳払いを合図にドンマロの左手は"見えない答案用紙"を描き始め・・・
テルがそれを解読していく・・・
なにもかもが順調・・・
そう思いたかった・・・
だが実は違う・・・
大いに違う・・・
それは時計の針を少し戻した追試験開始直後のできごとである
*
「しっしっしけんは・・・カカカカカカカイシーッ!!!なんちゃってんてーん!!!!」
試験監督はいないのだが、監視員はいたみたいだ
「よりによって、なんで監視員があの生徒会長なんだよ・・・」
いつものように不満が漏れたヤミヒロは額に手をおいてため息をつく
それもそのはず、口調が究極にかったるい・・・というか、ぶっちゃけUZAIことに定評のある生徒会長の"ブルドラ"がまさか監視員に選ばれていたとは不幸すぎる。
でもまぁ UZAIのも試験開始の合図だけでその後はちゃんと黙ったのでよしとしよう
そんな上から目線のヤミヒロは問題用紙をめくると早々に、ある重大な疑問に直面してしまった
・・・
・・・
・・・
「ハハッ どうすんだよ・・・」
自嘲気味に呟き、心の中で自問自答を始める
試験勉強??
ちゃんとしたさ
理科のテストを試験最重要プリントっていうのを3回ぐらいやった俺ならば赤点なんて絶対取らないはずなんだ
最重要プリントもちゃんと今年の期末試験用なのは確認済みだ
去年のだったとかいう落ちなんてない というかあっても気づくぐらいの頭はある
なのに・・・
なぜに・・・・・・
なんで・・・・・・・・・
めくった追試験問題のおよそ9割に疑問符がついたヤミヒロは1人、途方にくれていた
「わ、わかんね・・・も、問題がミクロレベルでわかんね・・・・・・・・・」
"自信"という二文字がミトコンドリア並みに萎縮し"絶望"という名のプランクトンに変貌しようとしていたがふと、ある考えが頭をよぎった。
(そうだ!ドンマロがテルに暗翳投射するペン回しカンペを見れば!!!)
・・・
・・・
・・・
だがしかし、無情にも端と端の距離に・・・
俺の視力は・・・
その全てを握る希望の左手を・・・
認識することはできなかった・・・
「どんすんだよぉぉおおおおお」
拝啓
1話からこの物語を読んでくれてる方々へ
大量の試験時間を残しヤミヒロはまたしても絶命危機に瀕しています。。。
つづく
次回予告
あ~あ
またですかそうですか
てか詰みじゃね?
つみまみた!
快進撃の第6話は来週15日に公開予定
☆ミ
どうするのよ・・・
盛り上がって参りました