●チョコレート（１２３）

人間て複雑だよね・・・




2001年　アメリカ　１１３分
監督・・・マーク・フォスター　
出演・・・ハル・ベリー　ビリー・ボブ・ソーントン　ピーター・ボイル　ヒース・レジャー





ハンクはアメリカ南部の刑務所で死刑囚棟の看守を長年務めてきた男。彼の父も同じ看守を務め、今は息子のソニーが同じ道を歩み始めたところだった。ハンクは父譲りの人種差別主義者だったが、息子のソニーは心の優しい人間で、そんなハンクの考え方に疑問を感じていた。黒人の囚人ローレンス・マスグローヴに対する処刑の日、ハンクとソニーが電気椅子に向かうローレンスに付き添うことになったが、慣れないソニーは執行の直前に取り乱してしまった。刑の執行後、自らの職務に厳格なハンクはそんなソニーの態度を厳しく叱責してしまう・・・




前半はハンクとソニーの親子関係、後半はハンクとレティシアとの関係について語られていきます。
ハンクもソニーも自分の父親の期待に添えたいと思っている、愛されたいと思っている。
だけど、父親にそれは伝わらない。一方父親は子供に厳しく当たってしまう。
父親であると同時に息子であるハンクは、息子を失ったことによって大事なものに気付かされることになる。

そしてそんな時に出会ったのが黒人のレティシア。
彼女は夫を死刑で失い一人息子を育てていたが、その息子が車にはねられて亡くなってしまう。
偶然その場を通りがかったハンクは、二人を病院に運びそれをきっかけにして二人は寄り添うようになっていきます。

二人を結びつけたものは、息子を失った共通の喪失感だったんでしょうか・・・。
ハンクは父親の影響で、人種差別主義だったのにね。
でも息子が死んだことで、レティシアと知り合ったことで、そのこだわりが消えていきます。
近所の黒人の家族とも付き合うように・・・。

ハンクはレティシアと暮すために、父親を施設に入れてしまいます。
私はこの決断は正解だったのでは、と思います。
ただ厄介払いしたかっただけ？とも思えるけれど、父親の呪縛から逃れるためにはこの方法しかなかったんじゃないかと・・・。


この映画でハル・ベリーは黒人初となるアカデミー賞を受賞しています。
納得の演技！　差別されながらも必死に生きている様を熱演しています。
そして、落ちぶれた役をやらせたら天下一品（・・・と思ってる）のビリー・ボブ・ソーントンも、複雑な心の動きをよく表現できていると思います。
ヒース・レジャーはもうちょっと見たかったな。

静かな夜に見るのがオススメ・・・