イルマーレ (2001)

こっちゃんポイント 鑑賞環境	★★★★★（永久保存版） こっちゃんシアター
上映時間	97 分
製作国	韓国
公開情報	松竹
初公開年月	2001/09/08
ジャンル	ロマンス／ドラマ／ファンタジー

海辺に建つ一軒家に備え付けられた郵便受けを媒介に、２年の時を隔てて存在する男女が手紙を交換し愛を育んでいくロマンチック・ラブ・ストーリー。99年12月。“イルマーレ（海）”と名付けられた海辺の一軒家。この家から引っ越していくひとりの女性が郵便受けに手紙を置いていく。それは、新たな住人に宛てたものだったが、その手紙はなぜか２年前である97年現在そこに住んでいる青年の許に届いたのだった…。
（作品資料より抜粋）

 

１９９９年　季節は冬。もうすぐクリスマスというその頃。
まるで海にそのまま浮くかのような『イルマーレ（海）』という小さな家。
その家のポストが取り持つ不思議な縁。

それは未来から過去へ。そして過去から未来へ。
二年の時を超えて届けられた心温まる愛情。
そう。これは韓国発のファンタジーです。

まるでドラえもんの小道具かとも思うこのポスト。
これがなんとも切ないラブストーリーをつくりだします。

もし、今あなたが住んでいる借家の”未来の住人”から手紙が届いたら？
その時、何が起こるか想像できますか？

「私はあなたの前の住人です」と書かれたその手紙。
”前”もなにも、その家に住んだのは自分が初めてだとしたら。
当然、戸惑うことでしょうね。
信じるもなにも、タチの悪いイタズラと思うでしょう。

この映画の二人もそうでした。

そしてやがて認めざるをえなくなる。
「このポストが本当に２年の時を繋ぐ架け橋になっているのだ」、と。

やがて気を許し、互いを理解してゆく二人。
時間の壁を越えて届く手紙を郵便受けの前で心待ちにする姿に、
思わず口元が緩みますね。

互いの心を支え合い、キズを癒し合う。
そんな二人の想いが優しい音楽に包まれながら交差してゆく。

優しさが時を超えて伝わるってなんか素敵です。

しかもこの時間差が２年というのがまた微妙な感じで良いですね。

２年ならば会うことは不可能とは言えません。
”未来”にいる人が日時を決めて、
”過去”の人が２年後に会いに行けばいいのですから。

でも、それはある意味、”距離”よりも遠いもの。
車でも、電車でも、飛行機でも易々と辿り着けない場所でもあります。
たとえ今すぐ彼女の前に現れても、
そのときの彼女はまだ彼を知らないというこの辛さ。

いじわるな設定ですね。

映画の中で二人は一度だけ日時・場所を決めて会う約束をします。
彼女が決めた日は１週間後。彼にとっては２年と１週間後。
「忘れなければ大丈夫」
しかし、二人は会うことは出来ませんでした。　何故？

過去が未来を変え、未来が過去を変える。

二人が同じ時間を過ごせるときは来るのでしょうか？

スクリーンに釘付けになったラスト１０分。止めどなく涙が溢れてきます。

韓国映画で初めて号泣しました。

《2006.07.14記事改訂》

 

【作品】イルマーレ