欧州雑派

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「愛を複製する女」映画評

2017-01-25 | 欧州映画

アマゾンによる映画紹介(以下、青字)

エヴァ・グリーンが深い愛と狂気の狭間で揺れ動く女性の心理を見事に表現!死んだ恋人のクローンを自ら産み育てる女性が抱える狂気を描く、SFスリラー!・・・中略・・・ 

「愛を複製する女」の画像検索結果

本作でも死んだ恋人のクローンを自ら産み育てる、という深い愛と狂気の狭間で揺れ動く女性を圧倒的な存在感とで体現する!

共演にはイギリスの超人気長寿シリーズ「ドクター・フー」で11代目ドクターを演じた若手注目株のマット・スミス、そしてレスリー・マンヴィルやピーター・ワイトらイギリスを代表するベテラン俳優陣らが脇を固め、美しい海岸線の街を舞台に繰り広げられる、近未来の愛と狂気の物語に格段の説得力をもたらしている!

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ストーリー

海辺の小さな田舎町。

科学が発達した今も残る美しい風景に囲まれ、幼なじみのレベッカとトミーは、子どもながらも深い愛情で結ばれていた。

やがて大人になり、当たり前のように将来を誓い合う二人。しかし幸せの絶頂の中、突然の事故でトミーは帰らぬ人となる。

極限の哀しみに打ちひしがれるレベッカだったが、再び幸せを取り戻すため、あるとんでもない方法を思いつく。それは最先端の科学の力で、トミーのクローンを自ら宿し、産み、そして育てることだった!

果たして、彼女がくだした決断の先に待ち受ける過酷な運命とは?!


以下、映画評。

いつもYouTubeで予告編を載せるのだが、今回は止めた。編集が悪すぎるのだ。何故ならば、物語の帰結を推測できるからだ。未観賞の方はご覧にならない方が良い。また、ネットで映画評なども事前に読まない方が良い。全ての答えを書いて映画評と書いている人もいる。勘弁してほしい。

「愛を複製する女」の画像検索結果

上記のアマゾンの紹介文で十分だ。ただし、アマゾンの紹介文も怪しい。その理由は、この映画が「死んだ恋人のクローンを自ら産み育てる女性が抱える狂気を描く、SFスリラー!」などではないからだ。狂気でもスリラーでもない。そう見えるだけだ。あくまでも純愛でしかない。

 

この映画が描こうとしたのものは、愛を複製する女を描いたようで、実は、複製された人間の心も表現してみようと試みているところだ。両サイドの問題を扱っているのである。秀逸なアプローチだと思う。

「愛を複製する女」の画像検索結果

これまでも、SF映画やSF小説でクローンについては多く描かれてきた。クローン人間と言えば、Etics(倫理)の問題、、と言われるが、その論点は恐らく以下の3つが代表的なものとなる。

①特定の優れた人間を量産できる、更に、優れた品種改良ができる ②特定目標達成のための人間の造成は人間を道具化させるリスクがある ③優秀なクローン人間と人間との経済格差が発生する 、、、などである。つまり、倫理的な問題の言及が強い。「すばらしい新世界」などが該当する。

すばらしい新世界 (講談社文庫)
Aldous Huxley,松村 達雄
講談社

しかし、この映画では、クローン人間として誕生した人間の気持ち・気分・心の揺れを表現している。誰もがクローン人間ではないので、推測しかできないが、仮に、自分がクローン人間だ、、、と告知されたら、どんな気分になるだろうか?

それこそ、スリラーになるのか、狂気に支配されるのか、、、見当がつかない。そのような観点を鑑賞者に与えてくれる。制作者の視座は鋭い。

 

小説「すばらしい新世界」では、クローン人間が量産化されていく世界が登場するが、この映画はSFぽくない。個人的な問題として現れる。亡くなった最愛の人を復活させるためにクローン人間を誕生させていく、という純愛の側面だけに集中して描いているから、SFであることを忘れてしまう。現代活劇のように観える。

それにしても、愛を複製されたクローン人間の葛藤とはどういうものだろうか、、、想像できないが、想像してみたい。

愛を複製する女 [DVD]
エヴァ・グリーン,マット・スミス,レスター・マンヴィル,ピーター・ワイト
アメイジングD.C.


評価:☆☆☆☆ 佳作 

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