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「失われた時を求めて」読書メモ(5)~第二巻「スワンの恋」で展開されるプレーボーイの心理  

2017-07-16 | フランス文学

「失われた時を求めて」第二巻のトーンは第一巻と全く違う。別の小説を読んでいる感じがする。

失われた時を求めて(2)――スワン家のほうへII (岩波文庫)
吉川 一義
岩波書店

これは「戦争と平和」の第一巻を苦労して読了した時に似ていた。(「戦争と平和」の)第一巻は恐ろしく退屈で複雑で何度も投げ出したくなった。しかし、第二巻に入ると(全く別の物語のような展開になり)俄然面白くなっていくのである。→”「戦争と平和」20 恋愛小説としても読める第二巻” 

戦争と平和 (2) (新潮文庫)
工藤 精一郎
新潮社

今回も、あの「戦争と平和」の読了時と同じような感じもした。が、作品の質に関しては、同じ恋愛物語でも、その趣(おもむき)が全く異なる。「失われた時を求めて」の第二巻からは、恋愛を軸にした心理描写が加速していく。


「失われた時を求めて」の第一巻は、前回書いたように、読者の視座の置き方で、かなり前のめりになって読書を楽しむことが可能だ。あの有名な”プチット・マドレーヌ”のところを読み終えるあたり(=p119あたり)で、物語の質(景色)が変わる感じがする。

「プチット・マドレーヌ プルースト」の画像検索結果

第一巻では、プルーストが時間軸を自在に弄っているから、初めはかなり混乱する。しかし、それ以降(=p119以降)をゆっくりと味わうように読めば、その後は、プルーストの風に乗れる。


以前、僕は「読書をすれば想像力は養われるのではなく、試される」と書いたが、まさしく、プルーストの世界では、読者の想像力が試されているような気がしてならない。しかし、それ(=試されること)は、第一巻の世界だけのようなきがしてならない。今のところ。


とにかく(岩波文庫の)第一巻と第二巻の物語の差異は著しい。差異とは、ストーリーの流れ、読みやすさ、テーマの違い(=恋愛が主軸になる)。そして、そのことは簡単に証明できる。この「スワンの恋」は映画になっているのだ。つまり、それほど扱いやすい物語!と言うこともできる訳だ。たぶん。

「スワンの恋 アランドロン」の画像検索結果

映画には、アランドロンも登場しているようだ。その映画を早く観てみたいが、、、、でも、原作を先に読んでから、己のイメージとの差異をチェックしてみたいものだ。あくまでも原作を優先させたい。

スワンの恋 [DVD]
ジェレミー・アイアンズ,オルネラ・ムーティ,アラン・ドロン,マリ=クリスティーヌ・バロー,ファニー・アルダン
ビデオメーカー

第一巻で正体不明のスワンが、第二巻において、恋愛を通じて、彼の人となりが見事にディスクローズされていくことになるのだろう。兎に角、彼における心理描写が実に奇妙なのだ。恋愛の次元が全く違う。恋心がそんなところから生まれるのか、、、と驚いてしまう。

思慕の動きがスワンという男は異質なのだ。第二巻において、このプレーボーイの恋愛心理の揺れ方を読んでいると、スワンという男の美意識のあり方に、美意識の置き方に、ゾクゾクしてしまう。

男の僕がそう感じるのだから、女性の読者は更に深いものを感じとることが可能だろう。

本日p140/p555迄、通過。続く。

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