欧州雑派

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「失われた時を求めて」読書メモ(7)~ 映画「スワンの恋」との比較

2017-08-13 | フランス文学

「第二部スワンの恋」を読了した。

失われた時を求めて(2)――スワン家のほうへII (岩波文庫)
吉川 一義
岩波書店

途中、体調が芳しくない日々が数日続いたせいか、読了するまで(7/21:p226→8/12:p422)それなりの日々を費やしてしまった。

体調が芳しくないときは、プルーストは読めない。いや、プルーストだけではない。殆どの小説を読みたくない。

どうしてだろうか?それは、たぶん、自分の気持ちが自分の身体にだけ向かっていくからだろう。それ以外の対象に対して関心が弱くなってしまう。読解力も著しく低下していくようだ。

そんな時は、映画やドラマが良い。受け身の方が気分が楽だからだ。

たまたま、TSUTAYAから更新の案内が来ていたので、「スワンの恋」を借りに向かった。だが、TSUTAYA店頭には在庫がなかった。そこで、アマゾンで探したが、価格が人を馬鹿にしている。何と中古で1万円台だ。もう、諦めるしかない、、と嘆いていた。が、何と、、

スワンの恋 [DVD]
ジェレミー・アイアンズ,オルネラ・ムーティ,アラン・ドロン,マリ=クリスティーヌ・バロー,ファニー・アルダン
ビデオメーカー

スターチャンネルの番組表をチェックしていたら、「スワンの恋」の放映予定を発見した。狂喜乱舞した。早速、予約をした。その後、鑑賞できた、という訳だ。(因みに、次回の放映は8/29のようです)

スワンの恋

映画「スワンの恋」は、その構成が巧みである。時間の流れがスッキリしている。一方、小説「第二部スワンの恋」は、途中から冗長な展開になる。何度も迷子になりそうになった。

映画では、アランドロンが主役(スワン役)を演じている、と予想していたが、メメ役であった。メメとはシャルリュス男爵のことである。しかも(彼は)男色家だ。

小説ではシャルリュス男爵は後半に登場するが、映画では冒頭から登場する。アランドロンは口髭のせいだろうか、さほどカッコよくない。胡散臭い感じがする。存在感はあるのだが、、。

スワンを演じているのが、ジェレミー・アイアンズというイギリス人。この男が中々良い。

一方、スワンが恋するオデット役だが、オルネラ・ムーティという女優だった。個人的にはイマイチな感じがした。オデットは高級娼婦という存在だが、オルネラ・ムーティという女優からはエロスを左程感じなかった。小説世界で描かれているスワンのような繊細な男が求める理想の女性像としては、物足りない感じがした。

「オルネラ・ムーティ  スワンの恋」の画像検索結果

映画作品としては完成度が高い。とにかく映像が美しい。時代考証も相当なレベルのように思えた。

この映画、原作を読んでから鑑賞してみると、多くのことに気が付くだろう。逆に、映像から観て原作を読むと、映像に多くのイメージが支配されて、なかなか小説から純粋なイメージを構築するのは難儀なことになるだろう。そのように感じてしまった。

僕は小説を60%程度読んでから、途中で映像を観てしまったため、とても中途半端な状態に放置されてしまった。

だが、小説を読了した今、やはり映像ではスワンの心理の深いところを描くのは難しいな、、と改めて気が付いた。

小説「失われた時を求めて」の醍醐味は、プルーストが登場人物たちの心理などを内省化するところにある。プルーストの内観こそ、価値がある。だから、入手しずらい映画「スワンの恋」を鑑賞しなくても、言語世界で映像を再構築していく方が、良いかもしれない。

明日から、第三部「土地の名-名」(失われた時を求めて(2)p425~)へ突入したい。

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