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「騎士団長殺し」対策

2017-02-26 | 村上春樹

村上春樹の「騎士団長殺し」、amazonでの評価が高い。更に、ネットで色々な感想を拾っていくと、好評価が多い。村上春樹の集大成、、という評価を下している人もいる。気になる表現だ。直ぐに読みたくなるのだが、仮に購入しても、3月末までは色々と忙しいので読む時間がない。

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編
村上 春樹
新潮社

それにしても、村上春樹ビジネスは見事である。発売日前の新刊の中身の漏洩が全くない。そのスタイルを定着させた。そしてメディアの力を借りる。メディアは、大型書店に山積みされた「騎士団長殺し」を映し出し、約130万部という部数を版元は用意している、と喧伝している。

「騎士団長殺し 書店」の画像検索結果

更に、ノーベル文学賞候補という下馬評は毎年一度は必ずクローズアップされている。つまり、(間違いなく売れる!という)強いバックボーンがある訳だ。それらを担保にしながら、4年ぶりの新作!というアピールは強烈に効く。書店にとっても、村上春樹は大救世主となる。その後もamazonなどで人々が勝手に評価を下しSNSで高評価・好評価が伝播していく。

しかし、2冊で約4000円は極めて高い。2冊で2000円程度が妥当だろう。だが、人々の意識はそこには向かわない。本好き、特に春樹を一度でも読んだことのある人間に対しては、世間の好評価から新作の期待値が高められていく。直ぐに読んでみたいと思う。そのような欲望が大いに刺激されていく。だから、村上春樹ビジネス(モデル)は秀逸である。見事である!

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)
村上 春樹
講談社

では、僕らはこの”村上春樹をめぐる冒険”にどう対処すれば良いのだろう。唯一、僕らに残されている策としては”待つこと”だと思う。或いは、借りて読むことだ。

まず、図書館はどうか?調べてみると、地元の図書館では約600人が待機中である。入庫されているのは、たった2冊だけ。今、予約しても、いつ読めるのだろうか?

その期間においても、amazon評などで、莫大な数の好評価が更新されていくだろう。そして、しばらくすると文庫本が出される。益々、好評価数が増えていく。だが、ある日、頂点を迎える。そして、人々の関心が薄れたとき、逆相関として、ブックオフに「騎士団長殺し」が溢れ出す。その時が「買い」なのかもしれない。ブックオフでピカピカの廉価な古本として、或いは文庫本で。

 

僕は村上春樹をそれなりに読んできた。本ブログに村上春樹というカテゴリーまで設けている。しかし、前作で大いに失望し、更に春樹ビジネスやノーベル文学賞騒ぎにウンザリしてきている。だから、かなり冷静に、この作家を見つめることができるようになってきた。

でも、僕が春樹ファンであることは間違いない。優れた作家であると高く評価している。世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド、1Q84、海辺のカフカ、ねじまき鳥クロニクルなどは素晴らしい!

海辺のカフカ書評 

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)
村上 春樹
新潮社


「ねじまき鳥クロニクル」に関するメモ、その集成

また、村上春樹の作風は面白いと思うのだが、ノーベル文学賞に相応しい作家とは到底思えない。彼は単なる娯楽作家でしかない。多くの哲学的な逸話、会話などの挿入があるのだが、全てが中途半端で、読書空間の表層を漂流しているだけである。だからこそ面白い!という逆説が成り立つ。

「ノーベル文学賞をボブディラン」の画像検索結果

まあ、ノーベル文学賞をボブディランが受賞するぐらいだから、、、あの賞もどうでも良い感じがしてきている。だからと言って、僕がボブディランを否定しているのではなく、受賞作は”文学=小説”という定義を外して欲しくないからである。

 

「騎士団長殺し」、しばらく時間を置いて読んでみることにした。2冊で約4000円は極めて高い。優先して読むべき本は他に沢山ある。それらについて、久しぶりに4月ぐらいから、書いてみたい。


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