神戸RANDOM句会

シニアの俳句仲間の吟行・句会、俳句紀行、句集などを記録する。

宮田マスヨ句集『花季(はなごよみ)』2014年8月 

2014-07-26 | 句集

 

 

 

  

風やさしければやさしく舞ふさくら

 

交差する出会ひと別離花の下

 

永年の勤続終へて花の旅

 

離陸する花に思ひを残しつつ

 

ゆるやかに金の湯に解く花疲れ

 

花散りてより繚乱の百花かな

 

面差しの気になる人や薄紅梅

 

梅の香の海に流るる綾部山

 

遠き日の吾子の微笑み梅の花

 

梅の香や白衣のままで友は逝き

 

二輪草育て亡き人偲びをり

 

風生まる紫小さき山すみれ

 

紫木蓮チャイナタウンへ続く道

 

椿寺太閤愛でし五色八重

 

一つ散り一つ花咲く玉椿

 

草萌ゆる音す瓦礫の下からも

 

生きてます避難所のメモ春日射す

 

抱きしめて雛流す列待ちにけり

 

聞かせつつ問ひつつ雛に去年の地震

 

うつうつと犬も長生き春眠る

 

病得て白衣脱ぐ医師鳥雲に

 

春愁や靴もバッグも重たくて

 

村中が息吹く音する水の春

 

国生みの島のまあるく山笑ふ

 

春うららふらつと入る壺焼き屋

 

春の昼ふくふく旨し明石焼き

 

ガス燈のおぼろに溶けて港町

 

過ぎしことみな美しき花筏

 

 

 

 

この坂を登れば故郷花みかん

 

花合歓やためらひがちに昼の月

 

花菖蒲雨に乱れぬ立ち姿

 

観音の指やはらかや合歓の花

 

父母在りし頃ひまはりの広き庭

 

原爆忌千の黙秘め千羽鶴

 

黙祷のサイレン響く雲の峰

 

遠雷やベルリンの壁思ひゐる

 

市花なれやあぢさゐ深き海の色

 

群れて咲き一人静のなほ寂し

 

さくらんぼ食ぶみちのくをしみじみと

 

若葉風白き卓布のレストラン

 

大楠公御墓所を被ふ楠若葉

 

鯉幟一匹づつに子の未来

 

着るといふ感覚パリのサングラス

 

踊りの手昼はメス持つ医師の連

 

夏に入る急に変はりし風の色

 

夏帽子賑はつてきし須磨の駅

 

首元にまつはる暑さネックレス

 

夕蛍ふと亡き母に呼ばれたる

 

母恋しかなかなは声震はせて

 

忌日過ぎ開くことなき日傘かな

 

父祖の地の安らぎにあり盆の月

 

ならぬことならぬと会津麻のれん

 

風の道見ゆるもてなし夏座敷

 

後を追ふ光鋭き恋蛍

 

ほうたるの幽玄ライトにかき消さる

 

しあわせの村の一員夏つばめ

 

神戸港巡る船上ビヤガーデン

 

 

 

 菊人形花咲き大きくなりにけり

 

翔んでみて寝ころんでみて大花野

 

鷺草のまさに飛び立つ構へかな

 

いつまでも見送る母や月見草

 

手をつなぎ母待つ姉妹秋夕焼

 

飛騨奥へ奥へ芒の旅となり

 

安らぎの光と思ふ薄原

 

薄墨の波眠りたり夕芒

 

なでしこの神戸に咲きて逞しく

 

見はるかす神戸空港紅葉越し

 

天高し五輪招致の成りし首都

 

金秋や千の句遊ぶ夢舞台

 

被災地の心一つに秋祭

 

上棟の音高々と菊日和

 

身の丈のしあわせのあり村小春

 

干し柿の音符のやうに吊るさるる

 

暴れしも今は水澄む紀伊の川

 

嵐山ぐらりと揺らし秋出水

 

月今宵被災の古都を慈しむ

 

満月の不思議な力もらひけり

 

青き影畳に映し十三夜

 

穏やかや神旅立ちの明石の門

 

足音を闇に流して風の盆

 

茅葺きの一村ひびく虫時雨

 

五箇山の渓堰き止めて芋水車

 

また一人偲ぶ人増ゆ鉦たたき

 

 

 

寒菊やあの大地震を知らぬ子等

 

鎮魂のルミナリエ消え冬銀河

 

冬将軍またみちのくを脅かす

 

雪掻きやお天道様の待ち遠し

 

掻く雪の重さ八十路に容赦なく

 

どの道も淡路は石蕗の花盛り

 

一輪の真紅の気品冬薔薇

 

駅出れば雪の立山迫り来る

 

雪催今宵鎮もりゐる赤穂

 

風鳴りて早や六甲に冬を聴く

 

病床へ写真メールで石蕗の花

 

その隅に父植えくれし花八手

 

雨粒に花柊の香を閉ざす

 

二十四の瞳の島も雪化粧

 

蓑笠を被り地蔵も冬支度

 

咳込んで視線の痛き車中かな

 

一病を深々沈め柚子の風呂

 

突然に逝きし妹星凍る

 

忘れたきこと多き日よ落葉焚く

 

落葉して風の見えなくなりにけり

 

冬日和メールより文書きたくて

 

夢千代を偲ぶ湯村のなごり雪

 

枯野には枯野の音を足が聞く

 

時雨忌や琵琶湖一面細波(さざれなみ)

 

風花や色の褪せたる湯屋のれん

 

大皿に開く花びらふぐ刺身

 

新しき夢を紡いで年忘

 

 

 

地震の傷癒えてお礼の初詣

 

元朝や争ひのなき空の色

 

初詣世界の子供に幸あれと

 

夫婦杉樹齢に満つる淑気かな

 

須磨の海黄金に染めて初明り

 

初春の光曳きつつ通る船

 

横書きの句に絵文字添へ初メール

 

初鏡襟を正せる年女

 

去年今年仮設住居の人のこと

 

一人居の仮設家小さき注連飾

 

 

 

  季は俳句で四季折々の景物を詠じ入れることとあります。季節、時節、時期であり、春夏秋冬を指します。

  季節は移ろうもの、暦も又年代、歳月、齢、等自然界の事象物事が移り変わっていく様子を表します。人間も自然界の一部、人そのものも心も移ろいます。

  この世に存在する全てのものは季、暦である、その思いを花に託して花季(はなごよみ)というタイトルにしました。

 

 平成7年神戸は大震災に見舞われ多くの人が被災しました。

  被災しながらも仲間と一緒に俳句を作り、悲しみ苦しみそして感謝等心の内を十七音に託し、思いを共有して乗り越える事ができました。

  十七音で繋がっている心強さ、俳句があるから希望をもって前に進む事ができました。

 

 ランダム句会で趣向を凝らした句会や吟行を通して句友達と勉強しながら楽しく作句を続けています。

「俳句は詩である、そしてそこには愛があること」

  この師の教えを胸に作句をしながら、私の人生の目標「感動と共に」を貫けたらと思います。

 句集を作るに当たり御指導御協力をいただきましたランダム句会の諸先輩、句友の皆様に深く感謝を申し上げます。

 

    平成26年朱夏           宮田マスヨ

 

 

 

私の好きなマスヨさんの句 

駿河亜希

 

花合歓やためらひがちに昼の月

  ためらいがちに出るとは昼の月にぴったりの表現。合歓の花の淡い雰囲気が 

上手く言えている。

 

しあわせの村の一員夏つばめ

   しあわせの村に相応しい一句。巣作りに子育てに忙しい夏つばめを村の一員

  とはまさにノーマライゼーションの世界。一員と言い切ったところがいい。

 

干し柿の音符のやうに吊るさるる 

 干し柿が音符に見えたとはユニーク。秋の日を受けて出来た干し柿の濃い影が音符さながらであったのではと想像出来る。

 

雪催今宵鎮もりゐる赤穂

 今宵とは12月14日。折りしも空は雪模様。誰もが知っている忠臣蔵の里

 赤穂。赤穂以外は考えられない地名の使い方、見事。

 

落葉して風の見えなくなりにけり

 風が見えると言う句は多いが見えなくなるという句は珍しいのではないか

 落葉を使って見えない風を詠んだところが手柄。風の中の裸木の様子が見えてくる。

 

 妻、母、祖母、ナース、三味線、胡弓、二胡奏者etc多彩な顔を持つマスヨさん、俳句も自由自在で生き生きと屈託が無い。                        

 

わが青春布引にあり燗熱く 

 その昔、布引に中央市民病院があり、看護学校があった。こよなく神戸を愛するマスヨさんの原点とも言える句である。句とは裏腹にマスヨさんアルコールは苦手。

  

黒豆パンうふふ!小さき夏の旅 

風柔しふふっと六甲山笑ふ   

 

 お茶目で可愛らしい句もマスヨさんらしくて私は大好きである。

  益々の御健吟を祈りつつ

 

 

 

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句集 花季(はなごよみ)

 

著者:宮田マスヨ

maiko575mm@yahoo.co.jp

 

2014年8月1日

 

発行 KOBE@RANDOM

naka.kobe@nifty.com

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