神戸RANDOM句会

シニアの俳句仲間の吟行・句会、俳句紀行、句集などを記録する。

2008=明日香村句会

2008-11-23 | 吟行句会

 

RANDOM句会は、毎回、企画・準備・ガイド役の幹事が交代します。第7回RANDOM句会は、古代史“熱中人”の弥太郎さんに白羽の矢。

古代史の宝庫なら奈良。晩秋の奈良の俳句といえば、

  柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺(子規)

が浮かびますが、今回は、弥太郎さんとだっくすさんのお世話で飛鳥が開催地に。1450~1300年昔の150年間、豪族・蘇我一族が盛衰し、聖徳太子が国づくりを行い、天智・天武や万葉の歌人らが活躍した日本のふるさとでの吟行です。

句会の翌日、弥太郎さんからA4サイズ3枚の「RANDOM 飛鳥句会 実施記録」のメールが送られてきました。日程と句会の結果、そして〈つれづれなるままに〉と題されたあとがき。「…あくまでタタキ台で…書き直し…結構」との弥太郎教授のコメントに甘え、いただけるものはいただきながら吟行記をまとめました。

RANDOM 飛鳥句会 実施記録

◆実施日  平成20年11月23日(日)

◆参加者  つきひ・一風・弥太郎・かをる・蛸地蔵・播町・見水・

        英(初参加)・さくら・だっくす・りっこ   計11名

◆会 場   明日香村健康福祉センター「たちばな」2階 会議室3

◆日 程

 ☆JR西明石8:00→(新快速)→明石→三宮→大阪→(環状線)→天王寺

  近鉄大阪阿部野橋→(吉野行き急行)→橿原神宮前駅東口

  から送迎バスで句会場へ

 ☆10:15頃 句会場着(日程説明,投句(5句)用紙配布,会費徴収)  

明日香村へ 村一つ渋柿勝に見ゆるかな(子規)

新快速に乗り込むと、三連休の中日なので、混み合っています。

弥太郎さんは最近、北アフリカ・チュニジアの遺跡ツアーに参加されたとのこと。旅の話に花咲かせていると大阪駅着。大阪駅から環状線で天王寺駅下車。近鉄急行に乗り替え着席するや、弥太郎さんから各メンバーに飛鳥路の各種案内パンフ一式が配付されます。

 暖房車句会資料の配らるる  つきひ

午前9時59分に橿原神宮前到着。送迎バス15分で「たちばな」に到着。

傘の心配がうそのような好天に。のどかな里山に囲まれ、刈り入れを終えた田んぼやキャベツや白菜畑が広がる、落ち着いたいい感じの保養施設です。 

☆今回の句会のため、3回、下見に行った。

 初めて知ったのは、明日香法による規制のためか、村内にコンビニがない(選句表をコピーできる会場が限られた)ことだった。

 また、同時に、多くのユニークな飲食店(農家を改造した地元産食材の店など)を発見した。

 馬酔木(ペンション飛鳥内)、さらら(奥明日香)、い助鮨(甘樫丘北)、椎の葉(祝戸荘内)、萩王(飛鳥寺北)、ひょうひょう(飛鳥寺北)、カフェことだま(西明日香)、夢市茶屋(石舞台北)―飛鳥巡りのご参考に―

 

記念写真のあと、ロビーの一角に全員そろうと、ガイド役・弥太郎教授の開会挨拶と、本日のスケジュールの確認。

「飛鳥の雰囲気は韓国に似て、石の彫刻も韓国とそっくり」とのこと。 

☆10:30頃~村内吟行 (橘寺、川原寺、伝飛鳥板蓋宮跡、飛鳥寺、甘樫丘、酒船石、石舞台古墳等)

☆12:45    投句締め切り 

播町さんが「今日は飛鳥寺と橘寺を見ようと思う。時間があれば石舞台も」と提案すると、蛸地蔵さんは「ぜひ甘樫の丘から全体を眺めたい」の希望。2時間歩いてすべてを訪ねるのはきついが、とにかく出発。

 天高し慶州の風古都に吹く  弥太郎①(○数字は句会での獲得点数) 

 小春日の飛鳥散策せわしなく  だっくす

 

 畦を行く あぜ許り見えて重なる冬田哉(子規)

明日香村健康福祉センター「たちばな」は、聖徳太子ゆかりの橘寺に近い。天気が良く暖かいので狭い道をレンタサイクルで移動する観光客が多い。歩いていると発見が。

「これ彼岸花の葉やで」

つやつやした細い葉。

「この葉は花が散ったあとで出てくるんや」

 曼珠沙華葉の濃く茂り花を恋ふ  りっこ

歩く脇を、「ごめんなさーい」と自転車がすり抜けていく。

つきひさん、レンタサイクル店にたどりつくや、さっそうと自転車に飛び乗ります。広い車道では、巡回バスが行きかっています。

 冬ぬくし巡回バスの日章旗   つきひ①

 祝日や旗立て走る冬のバス   蛸地蔵

橘寺の北向いの川原寺跡では、この日、参加者にCG映像の映るメガネをかけてもらい飛鳥の都を再現する「バーチャル飛鳥京」のイベントをやっています。どこにでもあるような田畑や里山ですが、ここにはかつて日本最古の都・飛鳥京があり、山々は祖先の宿る神聖な神奈備(かんなび)山でした。

 無言なる礎石に冬日集まれる  かをる③

 乙女背に渡りし秋の飛鳥川   弥太郎

飛鳥川を越え、明日香村役場の前を北に下ると、大化の改新で蘇我入鹿が討たれた伝飛鳥板蓋宮跡。ここでも「バーチャル飛鳥京」開催中。飛鳥寺に向かって歩いているのですが、道は曲がりくねって遠い。

 満天星(どうだん)の紅葉包囲す村役場  つきひ③

 すすき枯れ板蓋の宮夢はるか      弥太郎①

自転車のつきひさんについていけないので、畦道をまっすぐ進むことに。

 飛鳥路の小春の畦は賑はいて      一風②

 ひつじ田をのんびり眺め明日香村    だっくす

 二上を遠くに籾焼く煙這ひ       りっこ③

 泥に足とられて小春日和かな      見水②

先回りしていたつきひさん、何やら見つけました。

「スミレが咲いているわよ。ほら」

 寒すみれかぐわしき香に驚きぬ  だっくす①

 冬待ちの畦に咲きにし寒菫    蛸地蔵①

 宮跡とアスカの恋人寒すみれ   弥太郎

 

日韓合作、チェ・ジウ主演、明日香村舞台の” アスカの恋人”は韓流トップスターが出演するテレビドラマ。明日香村(伝飛鳥板蓋宮跡付近)でロケが行われ、大勢の人々が見物。過去の同種のドラマは、韓国では30%を超える視聴率。

飛鳥と朝鮮半島の古代国家との結びつきが強いこともあって、奈良県を訪れる韓国からの観光客は、平成18年の推計で約13万人、2位の米国(約5万人)の2倍以上とのこと。

 

行く手右側に飛鳥寺、左側に甘樫丘が見えます。

「結構高いなあ。登るのしんどいで」

「やめとくわ。行きたい人は行ったらええけど」 

  行く我にとどまる汝に秋二つ(子規)

一行は、蘇我入鹿の首塚で2つのグループに分かれます。一風・蛸地蔵・見水・さくら・りっこの5氏は甘樫丘へ。つきひ・弥太郎・かをる・播町・英・だっくすの6氏は飛鳥寺へ。

「ゴーン」、飛鳥寺で鐘が鳴りました。午前11時です。

飛鳥寺のそばの柿の木にはまだたくさんの柿がついています。

 実もたわわさみしさしみるくれの秋  英

 柿の木の下の庚申さんの石      りっこ①

 柿の実を見上げる猿石―猿蟹合戦ですね。

 柿たわわ百年のちも鐘鳴りて     見水③

子規の句の本歌取り。「柿食えば」とすれば、◎がとれたのにね。惜しい。

 甘樫の丘 うれしくば開け小春の桜花(子規)

「甘樫丘組」の5氏は、飛鳥川を渡り、古い家並みを抜け、紅葉ふみわけ細い山道を登ります。

 モズ一声(いっせい)響きわたるや明日香村   蛸地蔵②

 甘樫に登れば落葉はらはらと               一風①

 

汗をかきかき山頂にたどりつくと、大勢の観光客。絵を描く人もいます。

 小春日や大王の意気旧き丘   蛸地蔵

 冬日さし大和三山すがすがし  見水①

 秋嶺や悲劇の皇子を遠拝む   さくら①

晴れわたる青空の下、甘樫の丘は風も無く暖か。大和三山、二上山、飛鳥京跡、藤原京跡を一望。

とはいえ、のんびりもできず、丘を下りかけると、桜の花がちらほら。

「いま咲くと春に咲く花が少なくなるよ」

また少し下ると、一面に大粒のどんぐり。

「甘樫のどんぐりや。記念に拾って庭に植えたら」

のんきな会話を続けていると、茶店の店先に「やまと芋1個500円」。

りっこさん、グローブぐらいのやまと芋を1つ選んで店内へ。店内で見つけた指先ほどの埴輪のミニチュアも気に入ったよう。

 明日香路の残菊なほも艶やかに  さくら②

古い家並み、町並みを大切に残しているので、旅の気分満喫。

「こんな民宿にいっぺん泊まってみたいなあ」

元伊勢神社の看板にも後ろ髪引かれつつ、飛鳥寺に到着したとたん「ゴーン」と12時の鐘。甘樫丘で1時間使い、あと30分しかありません。

単独行の英さんは「甘樫丘組」が去ったあとの甘樫丘で、2句作りました。

 甘樫に蘇我の夢散り暮れる秋   英②

 甘樫に寒ざくら咲く好天気    英

 飛鳥寺 行く秋や奈良の小寺の鐘を撞く(子規)

 

時計の針を午前11時にもどします。

「飛鳥寺組」の6氏が飛鳥寺の西門をくぐります。午前11時なので鐘を撞かせてくれました。

 冬暖か老々男女飛鳥寺へ       播町

 飛鳥路の仏の微笑(えみ)は謎めける  かをる①

飛鳥寺は蘇我馬子が596年に建立。完成当時は広大な伽藍を誇っていました。本尊の大仏は606年に完成した日本最古の仏像。渡来人・鞍作止利の作で高さ2.7m。

「飛鳥寺組」は、飛鳥寺参拝の後、東の門から出て、酒船石に行くことにしました。

12時の鐘で飛鳥寺東門から境内に入った「甘樫丘組」は、しばし句作に専念。

 大和路の古寺の礎石の冷たさよ   りっこ

 飛鳥寺太子も見たか堂の菊     一風

 酒船石~石舞台 行く秋の涙もなしにあわれなり(子規)

「飛鳥寺組」は、飛鳥寺を出て酒船石へ。酒船石はうっそうとした木々に囲まれた遺跡です。

 柿落葉酒船石はひっそりと   かをる②

石舞台近くのあすか夢舞台では明日香村農林商工祭が開催中で大勢の人が集っていました。

 即売の大根(だいこ)の泥も明日香かな  播町①

だっくすさん・かをるさんは、地元の人に道を尋ね、「すぐそこですよ」の返事で石舞台へ急ぎます。

 石舞台室に入れば冬陽さす   だっくす②

 石舞台日矢射し込みて暖かし  かをる②

つきひさんは、「バーチャル飛鳥京」に惹かれ、CGのメガネで“飛鳥美人”のいる飛鳥京を体験。

  CGの飛鳥美人と会ふ冬野   つきひ③

石舞台行き断念のさくらさんは、「たちばな」へ急ぐ野道で蝶々を見つけ、ひらめきました。

 石舞台静かに舞いし秋の蝶   さくら③

 橘寺 道の辺や荊(いばら)がくれに野菊咲く(子規)

弥太郎さんは、最終目的地の橘寺へ。橘寺は聖徳太子生誕の地と伝えられ、本尊は太子35歳の摂政像。

 芙蓉枯れ太子ゆかりの寺静か   弥太郎①

 小春日の御簾の奥なる太子像   播町①

「甘樫丘組」は、飛鳥寺を出て酒船石や石舞台の看板を横目にようやく橘寺。遠拝みして細い野道。この季節なのにつゆ草や野菊、たんぽぽが咲いています。

 冬日和橘寺に後光さし      一風

 あたたかし万葉の里感謝の日   見水②

 飛鳥道なづな矢車かへり花    りっこ②

英さんは、巨石の一つ亀石をみて、奈良県立万葉文化館で「 田中一村展」も鑑賞し、句会会場へ。

  亀形に斉明の宴しのぶ秋   英②

たちばな 十一人一人になりて秋の暮(子規)

集合に遅れたメンバーが多く、12時45分の投句締切を15分延長。早く投句した面々は缶ビール片手に、「ええ句できたか」とプレッシャーをかける。午後1時に全員投句を完了し、昼食タイム。ここで弥太郎教授のミニ「飛鳥学」講義。

 

☆飛鳥に関する参考書

 和田萃著「飛鳥-歴史と風土を歩く-」(岩波新書)

 同著p238より 著者作

 「大和恋ひ国内(くぬち)ことごと歩めども夢(いぬ)に浮かぶは二上の山」

☆大和を讃えた折口信夫(釈迢空)の言葉

 「一くれの土も、歴史の香を含まぬはなく、ひと本の草も、古歌の匂ひをのせぬもののない大和」

 堀内民一著「大和万葉旅行」(講談社学術文庫)P8より

            

昼食は、豪華会席膳風の弁当。だっくすさんが地元即売所で10個入りを11人だからと1個まけてもらった明日香特産の蜜柑のデザートも頂戴し、句会の始まり始まり。

11名5句ずつ55句を順不同・作者不明で清書しコピーを配付。各人10分間で5句選び、うち1句を特選句2点に換算のルール。総点数66点の争奪戦。各人選句を終え、さくらさん進行で選句を発表。

獲得点数の結果は次のとおり。

優勝=さくらさん・11点、2位=播町さん・10点、3位=かおるさん・見水さん・8点、ブービー賞=ジャンケンにより一風さん

総点数66点の行方は、女性軍5名で35点、男性軍6名で31点で、女性軍優勢。高得点句2句と選評は以下のとおり。

  秋天にたじろがざるもの石舞台   播町 ⑧

      

   「天と地をとり入れて、スケールがでかい」

   「秋天がいい。堂々とした、飛鳥へのご挨拶句」

   「悠久の歴史を感じさせる」

   「動と静の組み合わせがうまい」

   「デンとした感じがいい」

   …メンバー中、7名が選びました。

  返り花飛鳥美人の紅ほのか   さくら ⑤

  

   「ほんわかとしたいい感じ」

   「返り花、がよく効いている」

   「優しさがあふれる句」

   「美しい桜のイメージが浮かぶ」 

☆今回の利用施設の「太子の湯」の入浴を予定していたが、句会が盛り上がり、入浴出来なかった。 

午後1時半にスタートした句会は、「たちばな」からの差し入れのおでんや昨冬の伊丹句会で好評を博し今回もご持参のつきひさんお手製クリスマス菓子・シュトーレンとホットコーヒーをいただき、心もお腹も満たされ、あっという間に午後3時を回ってしまいました。あわただしく、帰り支度をします。

  柿一つ空に残して明日香村   播町

 

15:20発 送迎バスで橿原神宮前駅東口へ

☆夕刻 大阪阿部野橋駅着後、有志で駅近くの居酒屋

 ”にじゅうまる阿倍野筋店”へ(俳句特選も◎)

☆次回幹事は、一風さん。来春開催の予定。

☆俳句はハイク。 次回の句会に備えて、日頃から歩くことを心がけ、

 元気で再会しましょう (~o~)

お世話された弥太郎さんとだっくすさん、ご協力いただいた明日香村健康福祉センター「たちばな」の職員のみなさんに心から感謝。 

実施記録:Yataro/写真・イラスト・文:Mimizu

『俳句』 ジャンルのランキング
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
   | トップ | 2009=龍野句会 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

吟行句会」カテゴリの最新記事