神戸RANDOM句会

シニアの俳句仲間の吟行・句会、俳句紀行、句集などを記録する。

2010=神戸駅前フォト句会

2010-10-24 | 吟行句会

 

倒れたる案山子の顔の上に天 三鬼

 句会当日は、猛暑続きの後のいきなりの寒波。(後日続いて台風が来ました)天候もランダムで、暑いのか寒いのか服装が決まりません。夕方には雨が降るらしい。宿題の秋の句にも、異常気象を詠んだ句が…

  彼岸花酷暑に耐えて燃え盛る     稲村

  どんぐりや熊に出会つてさあたいへん 播町

  里山消え高齢者消え熊が出て     つきひ

 

楠公さん 枯蓮のうごく時きてみなうごく 三鬼

 平成22年10月24日(日)午後2時集合。句会場は神戸市中央区橘通の市総合福祉センター。楠公さん西側の建物の1室です。今日は吟行はなく、この部屋で初のフォト俳句(写俳)に挑戦します。

 句会場の東向かいの湊川神社は楠木正成をまつり、市民から「楠公さん」と親しまれてきました。正成は1336年に九州から攻め上る足利尊氏を迎え撃ってここで敗死。1692年に徳川光圀が小さな塚に「嗚呼忠臣楠子之墓」の墓碑を建て、尊王の聖地に。幕末には勤皇の志士たちが訪れ、明治の初め、政府が神社を創建しました。

  早や黄葉(もみじ)している欅(けやき)並木かな  だっくす

 この地には東海道本線の起点として神戸駅が置かれ、今ある裁判所だけでなく市庁舎もありました。現在、北側に中央体育館、文化ホール、中央図書館、神戸大学医学部、大倉山公園があり、南側は今はハーバーランドですが、江戸時代は北風家や高田屋嘉兵衛が活躍した兵庫津の町でした。

  棗(なつめ)の実馴染みある味また口へ どんぐり

 今回の句会の参加者は15名と大勢。雨女(雨男)の方もご参加のようです。

 出句は事前に作った当季雑詠句(秋の句)2句と今から作るフォト俳句3句の計5句。

 本日の新趣向は「俳句という非日常、別人格をたのしむために俳号をつけましょう」。本名や愛犬の名、趣味、ゆかりの地名などから即興で俳号を付けました。

  今日もまだ凛と煌く秋桜 一風

 今回、専業農家の稲村(とうそん)さんの誘いで、菊作りと俳句がご趣味の菊太郎さんが初参加。負け続きの男性軍にとって強力な助っ人です。

 今日の男性軍は、最近上達著しい一風(いっぷう、一風変わった性格と爽やかな風のイメージを重ね合わせて)さん、俳句に目覚め日々句作りに励むひろひろ(本名の博から)さん、初幹事を引き受けた英(はなぶさ、本名の英から)さん、この日のためにこれまで撮り貯めた傑作写真を思い切りよく提供されたろまん亭(ロマンチックにあこがれて)さんら、気合十分です。 

 

かけ算 算術の少年しのび泣けり夏 三鬼

 時間厳守の貸会議室なので、早々に句会が始まりました。

 最初にろまん亭さんが、フォト俳句(写俳)の作りかたを説明。写真と俳句はたし算でなくかけ算で、と強調。うーん、はたしてできるのかな。

 次に、全員で写真を選び、ABCの3グループに分類。ホワイトボードに貼り替えます。ABCの写真をじっくり鑑賞して各自1句ずつ3句作って、午後2時45分までに出句です。

 ハイ、時間です。提出された短冊をバラし、手分けして清書。選句表を完成させ、全員にコピーを配付。

 午後3時、つきひさんとだっくすさんの進行で句会が始まりました。

 10分間で各自、他のメンバーの句を選びます。フォト俳句・ABCの各句から1句ずつ3句選んで各1点、ABC全体から特選句1句選んで2点、宿題の当季雑詠句(秋の句)から3句選んで各1点、と各人の持ち点は計8点。参加者15名の総点数120点の争奪戦です。 

 

七五三 子午線と橋と淡路に七五三 一風(明石句会)

 各人選句を終え、順に選句を発表。15人全員の選句を集計し、獲得点数の多い句について、順に、選句者が選句した理由や感想を述べます。(○数字は句会獲得点数)

 まず、Aの写真から―

  新酒酌みハーフの孫を祝いけり  播町(ばんちょう)④

 奉納されている酒樽からの着想のようです。国際結婚が珍しくなくなった時代、新酒はきっとワインのヌーボー。俳号は居住地から。

  大あくび写真は笑顔七五三    さくら④

 慣れない着物を着せられてくたびれちゃったけど、いい笑顔。お祭りの笑顔ですね。俳号は寅さんの妹からでなく愛犬の名前。

  七五三ポーズをとれと云はれても つきひ③

 慣れない着物を着たとまどいを表現したいい句。傘を差してなかなかチャーミングなポーズです。俳号は本名の「明」を月と日に分けて。

生田神社の「国際七五三」で撮影された写真です。

  今日の日の主役はワタシ七五三      かをる② 

  住む国の風習に慣れ七五三        だっくす②

  シチゴサンアイアムサムライジャパニーズ 見水②

  国際化山車のかつぎて色添えて      ろまん亭①

  異国にもあるのかどうか七五三       英①

  七五三世界共通波低し           一風

  晴著きて日本人よりらしくなり        どんぐり

  悪ガキも衣装一つでそれなりに      蛸地蔵

  此の度も姉弟主役の七五三        菊太郎

  秋の日の青い眼をした女の子       りっこ

  笑ってる子供の笑顔秋まつり       ひろひろ

  もくせいの香するなか七五三       稲村 

 

秋祭 漁夫の手に綿菓子の棒秋祭 三鬼

 次に、Bの写真―

  だんじりの果てて今宵はぬくめ酒  りっこ⑦

 祭りの後の酒は、冷だ、燗だと議論が沸騰。いずれにしても美酒に惹かれて本日の最高点の7点を獲得。俳号は幼いころからの呼び名。

  男子(おのこ)等のここが見せばぞ秋祭り 一風⑤

 祭りは男たちがええカッコできる晴れ舞台。一風さん、いきいきした表情をうまく詠みました。

  神の前相撲取る子の男振り     さくら④

 緊張の一瞬を的確に表現。ちょっと写真の説明だが「男振り」の言葉良し。

  秋しぐれ御輿にカバーかけ練りぬ  だっくす③

 立派なおみこしを雨に濡らさぬようにとの心くばりが憎い。俳号のだっくすは、孫んちの愛犬ダックスフントのラナちゃんから。

  秋祭いまごろなんで雨降んねん   見水(みみず)③

 異常気象に苦労したあげく収穫の祭に雨。なんでや、と神戸弁。俳号は初回のランダム句会に出句したミミズの句から。

 淡路の秋祭を撮影された写真です。

  やみやぶる太鼓の音で祭知る   稲村②

  泥酔に終る再会秋祭        播町②

  忘られぬ太鼓の音と秋祭り     英②

  秋祭り相撲の後は直らいや     蛸地蔵(たこじぞう)①

 「直らい」は祭りの後の食事のこと。蛸地蔵(たこじぞう)さんの俳号は、南海電車のおもしろい駅名から。由来は別にしてタコのように自在柔軟に句を作りたいとのことです。

  秋の日の終い御輿のかけ声に    かをる

  おみこしの列乱したるにわか雨   つきひ

  いややった赤いべべ着た村祭り   ろまん亭

  ねばり腰男の勝負相撲取る     ひろひろ

  秋祭専用道路我のもの       どんぐり

  笑顔よし大逆転の泣き相撲     菊太郎 

 

紅葉 夕紅葉谷残虹の消えかかる 一茶

 そして、Cの写真―

  冷やかな闇も友なりひとり旅    りっこ⑥

 写真とピッタリあった句。写真を見て「この人どこへ行くんやろ」という思いを句で表現。りっこさんBに続いてCも最高点獲得。

  あやとりの遠い思い出紅葉渓    菊太郎⑤

 赤い鉄橋からあやとりを思い浮かべたメンバーたちに驚嘆。本日の秀逸句の一つ。さすが菊太郎さん。

  鉄橋の奈落最も濃き紅葉      どんぐり④

 鉄橋の高さとすばらしい濃い紅葉、情景が浮かぶ。俳号は今の時節柄から。

  誰が待つぞ行きて戻れぬ紅葉橋   かをる④

 大げさでドラマチックなところが面白い。西村京太郎のトラベルミステリーを連想させます。

 紅葉の橋の写真が皆さんお気に入り。この写真は広島県の帝釈峡で撮影された写真です。

 下の燃えるような夕焼けの写真の白い丸は月ではなくマグネット。

  鉄橋が二等分して秋の山      つきひ②

  紅葉も黄落もなく朽ちにけり    播町②

  紅葉狩り孤独を愛す男かな     だっくす②

  男一人秋思滲みし赤き橋      さくら②

  国境分け入る先に待ち人が     蛸地蔵

  もみじ葉の音サラサラと秋の朝   一風

  よい写真観てびっくりの秋楠公   ひろひろ

  夕やけやとんぼとともに稲を刈る  稲村

  この橋を渡れば明日秋思かな    見水

  鉄橋をわたる風受け秋ふかし    英

  振り向けばいつか来た道秋の道   ろまん亭 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋の句 秋浜に描きし大魚へ潮さし来 三鬼

 次は、事前に作った宿題、当季雑詠句(秋の句)の合戦です。

  布団乾すとんとんとんと秋の詩    ひろひろ⑤

 リズムの良さに5人が選びました。師匠のもとに日々作った句を送った成果がありました。 

 秋高しためらい一つ吸い込んで    ろまん亭⑤

 何もないすがすがしい青空の下、心が洗われる句。ろまん亭さん、いいシャッターをきりました。

  豊の秋丹波に黒豆係長        さくら④

 黒豆の枝豆・紫頭巾が年を追って人気上昇。県下で生産を競うようになり、発祥の篠山市には係ができたとサ。

  歳重ね鉢減らしつつ菊作り      菊太郎④

 おだやかな老いの暮らしぶりが素晴らしい。「理想ですね」と共感。

  コスモスや空には雲の天使達     見水③

 メルヘンのような雰囲気のいい句。

  スピードを落として見れば案山子かな 見水③

 田舎道をドライブしている情景がよくわかる。

  僻地にて暮す決意の冬支度       だっくす③

 北国の山中に引っ越した知人から薪ストーブの用意をしたという便り。

  お決まりの席は窓際蔦紅葉         かをる②

  草刈りに残してうれし秋桜花(コスモスカ) 稲村②

  玄米茶熱きをすする夜長かな        りっこ②

  百舌鳥鳴いて心ざわめく昼下り       蛸地蔵②

  はてしなく北の大地に稲の秋        英②

  大弓を射る一呼吸秋日濃し         かをる②

  銀山の間歩の奥にも秋の風         菊太郎②

  間引き菜を汁の実にして母思う       英①

  その節はどうもと遺影露けしや       さくら①

  秋風に葉づれの音や今年竹         蛸地蔵①

  水引の花の間隔いいかげん         つきひ①

  わらべ歌母は達者か秋日和         ろまん亭

  そこここに紫苑咲きたり母の墓       りっこ

  誰が持つ掘り出せし藷帰り道        どんぐり

  こんにちはどこでもドアで天高し      ひろひろ

  黍(きび)吊す軒先見れば懐しく      一風

  旧職場見過しており秋日和         播町

 以上でフォト句と宿題句のすべての獲得点数が決まりました。

 総点数120点の行方は、女性軍6名で56点、男性軍9名で64点。いつものごとく女性軍が健闘しましたが、期待通り菊太郎さんの男性軍への貢献大。出句した5句すべてが得点したパーフェクトは、さくらさんお一人でした。

 予定どおり午後5時に句会終了。 

 

直らい 秋の暮大魚の骨を海が引く 三鬼

 句会の後はお待ちかねの表彰式兼反省会の懇親会。会場は本日の主役・ろまん亭さんがJR神戸駅前「日本海庄や 神戸店」を予約。今日の渾身の句会を海の幸のごちそうと「ぬくめ酒」でいやす「直らい」です。

 市総合福祉センターを出て、小雨の中を楠公さんの塀に沿ってJR神戸駅へ。楠公さんの正門前には七五三のノボリがはためいています。

 店に到着して着席。午後5時半、表彰式です。

 受賞をして、各自、俳号を紹介。「そんなのだめよ」の一言で再考も…。

 今日のはじめてのフォト句会の各賞と受賞者は、次のとおりです。

   1位 優 勝           りっこさん 15点

  2位 準優勝           さくらさん 15点

  3位 殊勲賞           菊太郎さん 11点

  4位 敢闘賞           見水さん  11点

  5位 技能賞           かをるさん 10点

  6位 フォトS賞(ほっとした)  だっくすさん10点

  7位 フォトS賞(ほっとした)  播町さん   8点

  8位 フォトS賞(ほっとした)  ろまん亭さん 6点

  9位 フォトS賞(ほっとした)  英さん    6点

  10位 フォトS賞(ほっとした)  つきひさん  6点

  11位 逆引技能賞         一風さん   5点

  12位 逆引敢闘賞         ひろひろさん 5点

  13位 逆引殊勲賞         どんぐりさん 4点

  14位 フォトM賞(ほとほとまいった)稲村さん  4点

  15位 フォトK賞(ほっといてくれ) 蛸地蔵さん 4点

  特別賞-フォトI賞(ほんとにいい写真)ろまん亭さん

  (同点の場合、高得点句のある者が上位に)

 表彰式の後は、句会の反省や近況報告など、ざっくばらんに懇親会。

 「初めてのフォト句会だったけど、よく短い時間でいい句ができたと思います」と、つきひさんの感想。

 今春から動物園勤務の蛸地蔵さん、一番のお気に入りの動物はカピバラ。ぬーぼーとしているのがいいそうです。女性軍は集まって「あやとり」に夢中…。あっという間に終了の時刻。

 惜しみつつ「直らい」はお開き。賞品を手にぞろぞろと神戸駅へ。

 この神戸駅で、西東三鬼が戦後の買い出し風景句を詠みました。

 みな大き袋を負へり雁渡る 三鬼

 優勝したりっこさんから、その後に2句。

  句会佳し宴なほ好し秋深む

  桐一葉待ちにし集い終っちゃった

 お世話いただいた、だっくすさん、英さん、ろまん亭さんに心から感謝。

 そして、次回、来春の句会「王子Zoo観桜句会」で“動物俳句”に挑戦、また「絵手紙句会」などの案があります。少々早いですが、皆さんよいお年を。

2010.11 写真/romantei,文/mimizu

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