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共産論(連載第52回)

2017-07-13 | 共産論[改訂第2版]

第9章 非暴力革命のプロセス

(3)革命体制を樹立する:Establish a revolutionary administration

◇対抗権力状況の解除
 革命的な民衆会議と既存政権の対抗権力状況を確定させた後、その状況を解除し、本格的な革命体制を樹立するまでの間が革命のプロセスにおける最大のクライマックスとなる。
 集団棄権による革命は本質的に非暴力革命であるから、まずは残存する旧体制政権との交渉によって平和裡に政権の移譲を実現させるべきである。これに合わせて街頭デモを組織して旧体制に圧力をかけることは効果的であり、むしろそうした民衆の意思表示なくしては旧体制は民衆会議を交渉相手として認めようとしないだろう。
 この局面で旧体制は警察や軍を動員して革命プロセスを粉砕しようとするかもしれない。そうなると、民衆蜂起型の革命と同様の対峙状況が生じる。それを決して望むわけではないが、万一そのような状況が生じた場合、警察や軍を敵に回すことは得策でない。武装しない丸腰の革命である以上、圧倒的な物理力を持つ警察や軍に対して正面から対抗する力はないからである。
 そこで、旧体制が政権の引渡しに一切応じない場合であっても、直接的な実力行使によって政権を奪取する方法は採るべきでない。むしろ、旧体制が警察や軍を有効に動員することができないように、革命運動の過程で警察や軍の中堅幹部以下の層には相当程度に浸透しておき、革命の最終段階では連携して革命体制樹立を導くことができるようにしておくことが望ましい。

◇移行期集中制
 革命体制樹立まで無事に漕ぎつけた場合、民衆会議の構制も「さなぎ」から脱皮する。まず民衆会議総会(以下、単に「総会」という)が暫定的な常設代議機関として招集される。これは将来、領域圏レベルの全土民衆会議が創設されるまでの間の臨時機関である。
 そのうえで、総会は「革命宣言」を採択し既存憲法を廃棄した後、「革命移行委員会(以下、革移会と略す)」を選出する。 革移会はまさに臨時の革命中枢機関であるが、性格としては現行の内閣に近い。しかし、「ボス政治」を避けるため、革移会には首相に相当するような筆頭職は置かず、完全な合議制によって運営される。
 革移会を構成する委員(以下、移行委員と略す)は現行の国務大臣と同様に所管分野ごとに総会によって任命されるが、その担当分野は旧政府の省庁に符丁を合わせる必要はなく、移行委員も省庁に常駐しない。この段階で残存している各省庁には移行委員の下で実務を担当する複数の「移行委員代理」を送り込む。
 革移会は総会の「革命宣言」に基づきいったん全権を掌握し、法律と同等の効力を有する「特別政令」によって統治する。こうした体制を「移行期集中制」と呼ぶ。
 これはありていに言って民主主義の一時停止である。しかし、恐れる必要はない。およそ革命にあっては初期の体制移行期に必ずこうした一時期を経ることが避けられないのである。

◇「プロレタリアート独裁」との違い
 マルクス主義の革命理論ではプロレタリア革命後、共産主義社会へ移行するまでの過渡期の政治体制を指す概念として伝統的に「プロレタリアート独裁」という規定が行われてきたが、その内容があいまいであったため、最終的には「共産党独裁」にすりかえられてしまった。
 我々の移行期集中制もそうした「プロ独」の焼き直し概念のように疑われるかもしれないが、決してそうではない。むしろより厳格に移行期に限定しての短期的な政令統治システムである。従って、「独裁」という語が含意するような恣意的権力行使はあり得ないし、あってもならない。
 もっとも、既存憲法が廃棄されるのに伴い立憲政治は一時停止されるほか、中央の代議機関もまだ暫定的な民衆会議総会という形でしか存在しないため、法律に基づく行政もペンディングとなる。ただし、革移会の特別政令は緊急的なもの(緊急政令)を除いて総会の承認を要するものとし、その専横を防ぐべきである。
 いずれにせよ、こうした移行期集中制は短期の期間限定的な体制でしかあり得ず、できる限り早期に立憲体制への移行を促進することが要求されることが、改めて強調されなければならない。

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