雲上快晴

プーさん爺じが、何の変哲もない日々を綴る

座椅子

2010年02月15日 | 徒然
 2月5日、父が急逝した。
 享年91歳、動脈瘤の破裂による失血死、そんな爆弾を抱えていることなど全く解らなかった。

 亡くなる2時間前までいつも通りに生きていて、前の日には宇都宮まで自転車で買い物に行って、家族の好みなど関係なしにいろんな物を買ってきて。

 誰の言うことも聞かずに生きて、誰にも何にも言わずに逝ってしまった。


 父は、「特攻隊」の生き残りだった、昭和20年8月18日の出撃命令が下っていたそうだ。
 もし、戦争があと3日長引いていたら、その時点で父の人生は終わっていたろうし、もちろん私の存在も有り得なかった事。
 九死に一生を得て90歳を超える長寿を全うできたけれど、最後は桜が散るように逝ってしまった。
 最後の瞬間まで、『軍人』だった。


 父が逝ってからずうっと考えていた、私にとっての父はどんな存在だったのかと。

 今日、会社の帰り道でいきなり解った。

 父は、私の『座椅子』だったのだと。

 私が、得意な時に踏ん反り返れたのも、疲れた時に身を委ねることが出来たのも、全て父という座椅子に胡坐をかいていられたからのこと。
 いつも私の後ろ盾に父が居てくれたんだと。

 座椅子が無くなってしまって、果たして座り続けることが出来るのだろうか、そしてまた、今度は息子の座椅子になり得る男になれるのだろうか、、、そんなことを思っている。
コメント (1)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする