二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡は耳で育てる。

2017-02-16 17:29:07 | ■工房便り 総合 
「もう3年も弾いているのに、ちっとも良い音にならないのですよ」

などという、方もよくいらっしゃいます。

確かに楽器を見せていただくと、かなり皮が硬いままなどということもあります。

良い音に育っていないという方の二胡の多くが、この皮が育っていない、

皮が硬いままという場合が多いです。

でも、かなりたくさん弾きこんで、皮も柔らかくなって、

ちょっと見(聴き)にはかなり良い音色という場合もあります。

確かに良い音色なんだけれど、、、

響いて来ない。

「わーーー良い音色」と聴いている人に響いて来ない楽器もあります。

先生方や、演奏家の方が、目の前で二胡を弾いてくれる時、

弾いたとたんに、体の奥底まで響いて来るというのはありますね。

音色というよりは響きなのでしょう。

当然音色も良いです。

楽器全体が鳴っている、そんな感じで、曲を弾いたわけでもないのに、

二胡って良いなーーと、感動します。

これはなにが違うのでしょうね。

楽器が育つというのは、ただの木の塊であった胴や棹まで、良く振動する事でしょう。

その良く振動する原点は、当然弦です。

弦が振動して初めて楽器の音になります。

その弦を良く振動させるのは弓でしょう。

しっかりと弦をとらえ十分鳴らせば、二胡は育ちます。

ここで誤解があるのですよ。

強く鳴らすイコール(=)力を入れる、になりやすいことです。

力を入れれば音は大きくなりますが、良く振動しているという感じではありません。

子供がワーワー泣いてわめいているのと変わりないです

音が割れたり雑音になったりします。

木にはそれぞれ持っている基本的な音があります。

そして皮にもありますね。

その基本的な音まで響かせると、木が弦と共振して十分鳴るようになるのです。

先日北川浩子先生と話していて、

「ね、そこで音もう少し下げて、ほら、音のツボにはまったでしょ」

確かに、通常のデジタル的な音階ではないですが、例えば、人差し指の、Cの音、

普通にデジタル的に弾くより、ほんの爪半分、あるいは髪の毛一本くらいだけ音を下げたとたん、

ワーーーンと楽器が鳴るのです。

確かに C の音には違いありません。

たぶんピアノなんかで鍛えられた絶対音感を持っている人には気持ち悪いという人もいるかもしれない音ですが、

とても自然な人の感性に訴えてくる音です。

私なんかが演奏していると、そこまで正確な音程ではないのですが、指をほんの髪の毛一本ずらすと

とても良く振動する場所に行き当たります。

音階それぞれに、いわゆる平均律ではない音階なのかもしれませんが、

楽器が響きわたるところがあります。

それではその音が、音程から外れているかというと、そんなことはありません。

ちやんと、音階に聴こえる範囲以内なのです。

たぶん私なんかが演奏すると音階は、それ以上のずれがある、(大笑い)

この弦が響く場所を、探して、次々と弾いていくと、

まったく新しい楽器が1時間もすると、とても良い響きに鳴り始めます。

まさに、ツボにはまったという感じでしょうか。

ひたすら良い音を求める。

二胡は音色、です。

右手も大切、でも、左手も良い響きを求めて探っていくと、二胡はとても良く育ちます。

ですから、まずは、デジタルの調弦器を捨てましょう。

まずは耳で。
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9 Comments

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やってみよう! (桜ネコ)
2017-02-17 12:37:57
こんにちは! これは早速やらなければ!皮や弾き方にもよるのでしょうが、樹種によっても鳴り出すまでの期間?は違うのでしょうか。例えば、紫壇のような硬い木は相当弾き込まないと鳴らないとか。(紫壇の胡、難しいです。未だ鳴らせないです。)

じっくりゆっくり基礎練習しよう!
Unknown (名古屋人)
2017-02-17 12:58:14
まずは耳、というのは
自分の師匠や周りの音楽人からずっと言われているのでずいぶんできてきましたが
楽器がよく響くところ…というのは意識してなかった!
これからは指先でちゃんと感じられるように気を付けてみます!
桜ネコさん、名古屋人さん (nisino)
2017-02-17 14:35:37
これが見事にはまるのですよ。
ピタッとはまると左手の指先に相当の振動があります。
最初は、第一ポジションぐらいから初めて、少しずつ増えていくと、楽器の育ちはかなり早くなります。変にデジタルの調弦や、絶対音感などにこだわると、ほんとの二胡の響きというのがとらえられないかもしれません。
皆さんの二胡それぞれに特性があると思います。
だからこそ、二胡は楽しい。
これは私が北川浩子先生から教わったことで、楽器つくりとしては知っておかなければいけないことですね。
Unknown (名古屋人)
2017-02-17 15:12:56
あっ、振動…
すごーく指に感じるところ、あります!
それ千斤とか駒が合ってないとかの不具合かと思っていました…
今日早速検証してみます!
名古屋人さん (nisino)
2017-02-17 15:34:28
素晴らしい、、

その早速実行するところがいいですね。

そのびりびり来るところが全部になったときに、名器になります。
純正律 (絢々)
2017-02-17 17:41:25
こんにちは。

多分、純正律というやつ、ですかね?

ざっくり説明になりますが、平均律は、無理やり音を均等に割っているので、厳密には本来のハモりは得られないと言われてます。


例えば、わかりやすくチューナーの目盛りでいえば真ん中で外弦のAをきちんと調弦したとして(音叉の440はチューナーでも目盛りは真ん中)、完全5度で合わせる内弦のDの正しい位置は、チューナーの目盛り真ん中じゃないはずです。あえてチューナーの目盛りで言うならば真ん中からちょっと左側だと思います。真ん中で合わせる音よりほんのわずかに低い音です。耳で聴いて、完全に5度、美しくハモる位置は、チューナーの真ん中ではないこと、みなさんちゃんと先生から教わっているのでしょうか。。。
ネット上では、これをきちんと提言していらっしゃる方たちもおりますし、教則本にも完全5度の話は書いてあったりするのですが、ちゃんと教室で習いたい話ですよね。文字だとわかりにくいですから。
わたしの先生は、自分ではわかってるくせにちゃんと教えてくれていません。

音程を指摘する割には先生はこのあたりの話をちゃんと教えてくれていない場合も多いのではと思いますが、うちだけでしょうか?


で、まずは調弦をきちんと完全5度にしないと、いつまでも耳が鍛えられないかなあと思います。


平均律で鍛えた絶対音感は、二胡では困ることもありますが、例えばウィーン少年合唱団などの合唱の響きが美しいと思うならば(美しい合唱の響きは平均律じゃないはずです)、本来の美しい響きもちゃんと理解できているわけで、平均律と違うことさえ理解していれば、対応できるかなと思います。

私もピアノで鍛えた平均律的絶対音感なので。。(^-^;)二胡弾くときは気をつけています。

二胡は、相対音感を鍛えるほうが大事かな?と個人的には思います。相対音感は、あとから鍛えられる音感ですし!

外弦のAを基準に、美しい響きがどこか理解できる耳を鍛えること、大事だと思います。

西野さんの耳は、とても鍛えられているのですね!!
絢々さんへ (ほぉ)
2017-02-18 08:32:27
絢々さん、お久しぶりです!
コメントいっぱい、ありがとうございます!

合唱団の話で思い出したのが、とあるアカペラグループ。
歌は素敵なのに、各パートに分かれてハモってるはずなのに、時々何だか綺麗に感じなくてモヤっとしたのは、彼らが平均律だったからだったのかしら????

二胡の場合、そもそも弦の巻き方を正しく出来ていないと弾いていてどんどん調弦が狂いますから、まずはそこから、、、なんですが。
あまりにもこれが出来ていない人が多い。。。先生さえも。



振動しない所ではないですか? (二胡村胡二)
2017-02-21 08:46:54
コメント欄のところ、純正律の話かと思いますが、
その場合、振動のない場所ではないでしょうか?
ハーモニクスが出る位置
ラケットやバットで言うスイートスポットのように打った感触のいいところ
楽器としては気持ちのいい音

ただ、内弦外弦でハモる音(たとえばドミソ)を追求するとしたら、それは振動が多い場所になるでしょうね
二胡村胡二さまへ (ほぉ)
2017-02-21 09:21:06
大変申し訳ございませんが、設定されたリンクは外させていただきました。
あしからずご了承くださいませ。

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