二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

音色探し。その3

2010-08-31 21:37:41 | ■工房便り 総合 
木の種類によって、音色が違う、

色々言われていても、私の興味は、どちらかと言うと、

ちゃんと鳴る楽器でした。

先ず、雑音も無く、高音もバイオリンとまでとは行かなくても、

演奏していて違和感のない状態までは出したい。

先ずそこまでどのように持っていくのか、殆ど、そのことで頭がいっぱいでした。

細かい事、書きません。

マニアックすぎて、例えば、皮の振動を最初に受けて、鳴る部分の、木の厚みの適正は、

木の種類によって、どのくらいなのか、、、とかになりますから。

不思議なことに、その雑音を消す、と言う作業、

木の厚み、削り、合わせ方、ボンドの種類、皮の厚みと張り具合、等々。

やっていくうちに、音色が徐々に変わっていきます。

雑音が減るという分、当然、音全体がクリアーになっていきます。

すると、木の種類による音色の違いというのが、物凄く解りやすくなってきました。

突然ですが、

みなさんの、頭の中にある、二胡の音ってどんな音なのでしょうか?

アービンさんの古い録音の、二胡の音、

昔、横浜で良く聞いた二胡の音、

様々私の中には、有ります。

パーンとラッパのように響く硬い二胡の音色もあれば、

霧の中を、探ってくるような音も有ります。

ホントに多分様々だと思います。

これこそ、二胡の音色ですと言い切れる楽器があると良いのですが、

弾く人に依っても、同じ楽器でさえかなりの違いが出ます。

以前、音色の事を書いた時、ピアノは誰が弾いても同じではないかと書いて、

コメントで、大変有益な指摘をいただいたことがあります。

「完全に調整された、グランドピアノは、弾き手によって音が違う、」

と言うご意見でした、浅学で、申し訳ありません。

只自分で、弾いたことがあり、まあそこそこ楽しみにやってますといえる楽器に関して、言いますと、

フルート、等は、ある程度演奏できる人だと、同じ楽器は、同じように聞こえます。

チェロも同じレベルの演奏が出来る人だと、只の音階だとすればやはりそれほどには違いません。

要するに、その楽器をやったことのない人が聞いたら、同じ感じがするでしょう、という意味です。

ところが二胡は、これ、かなり違います。

同じ楽器だとしても、同じくらいの演奏力を持った人が弾いたとしても、

エッツ、と言うくらいに、違って聞こえます。

先日、ある演奏家の方、と、演奏家としてはやってはいないが、かなりのレベルの方が、

たまたま御一緒されて、西野二胡、弾いていただきました。

これはホントに演奏の素晴らしかったですが、

音の違いに驚きました。(みなさんにお聞かせしたかったです)

同じ楽器とは、思えないのです、

大体が、空弦弾いた時にもう違います。

私なんかは、この、二胡の世界にはいって4年、まだまだ経験浅く、それほど多くの演奏家の演奏も聞けていませんが、

二胡はこれほど演奏者に依って、音色が違うのか、と、呆然としました。

光舜堂でも、こたにさんが、御自分の教室を開いています。(光舜堂の教室ではありません、場所提供と言う形です。)

たまに、こたにさんが、生徒さんの楽器を弾くと、この楽器はここまでなるか!、

みなさんもそのような経験ありませんか、先生が弾かれると、どの生徒の楽器でも、その先生の音になってしまう、と感じた経験です。

確かに楽器は、そのほとんどが弾き手によっては、かなり音が違います。

またこれが、同じ種類の楽器と思えるようなことも有ります。

随分前ですが、バイオリンの引き比べと言う、放送がありました。

ストラデバリウスと他の作家の楽器の引き比べです。

そのストラデバリウスは、彼の作品のん中でも少し変わった音色ではあるらしいのですが、

これ、バイオリンなの、どちらがバイオリンのホントの音?

と私なんかには、感じられるくらいの違いがありました。

二胡の、これこそ二胡の音色ですという楽器があるのでしょうか?

それに二胡程、形態も違い、ましてや材質が違うという楽器は、少ないのではないでしょうか?

この項続く

西野和宏



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8 Comments

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違い (るつ)
2010-09-01 08:17:57
そうですね。二胡は、いちいち差異の大きい楽器だと思います。他の楽器とは、違いの幅が違う、というか(笑)

まず、楽器そのものの木や形の違いによる違い。
それから、同じ楽器でも弾き手による違い。
それからそれから、同じ楽器を同じ人が弾いても、弾く場所や気温、湿度による音の違い。
駒や千斤などの調整による違い。
……

どんな楽器にも、これらによる違いはあると思うのですが、その差が二胡ほど大きい楽器って少ないような気がします。

音色を求めれば求めるほど、迷路に迷い込みそうな…。
いろんな二胡を聴いて、いろんな二胡を弾いて、自分の音色探しの旅に出たいものです。
理科実験楽器 (ぺんぎん)
2010-09-01 08:59:07
私的には‥‥差異多いからこそ理科実験として面白楽しく遊べる楽器の1つが二胡です♪
(そんな遊びしている奴は少数派だけど..........

その辺が要因なのかは??ですが。。◎◎流とかが無いのも自由で素敵な楽器だと思います。

そして光舜堂に並ぶ二胡は、カンブリア紀のような進化中......楽しい??
るつさん (nishino)
2010-09-01 09:08:40
そうですね、

たぶん、この項の最後はそこに話がいくのでしょう。

お楽しみに
ぺんぎんさん (nishino)
2010-09-01 09:10:45
私は、恐竜ですか、恐竜は、ジュラ紀でしたっけ、
それ以前ですかね、

とほほほ、、、
その答えはないかも… (Jimmy)
2010-09-01 09:57:15
随分哲学的になってきました。製作者なら必ず一度は悩む問題ではないでしょうか。ま、麻疹みたいなものかも(笑

これが本当の楽器の音だというものは、官能の世界では特定するのは難しいでしょう。良い音、たいしたことない音というのは評価できるでしょうけど。
ストラディバリだって、これがバイオリンの真の音色ってことではなく、究極に近い良い音色ということで評価されているのではないかと愚考します。

二胡の場合は音を変えるパラメータを比較的自由に変えられるので余計に複雑なだけだとおもうのでするよ。

著名演奏家って、自分が追い求める音っていうものが少なからずあって、それを実現しようとしていますね。だから音を聴くと誰それのおとだとなんとなく分かる。それが個性なんでしょう。

なので、西野さんはご自身が考える良い音をいかに出すのかをずーっと考えれば良いのではないかと思うのでございます。それが「西野の音」と評価されればOKなのではないでしょうかね。
二胡の原器みたいなものが世にあったとして、それを皆が目指してたら、ワタクシは面白くないです。

個性ですよ。

エレキギターですら、演奏家は自分の音を追い求めますから。
ボディ材、ネック材、ピックアップ、ナット材やらブリッジ構造、アンプ。。。

誤解を恐れず極論すれば、真の音なんてどーでもいいって感じでしょうか(笑

スミマセン。真に自分勝手且つ生意気でございました。

う~ん、なんかブランド論的になっちゃいましたね。お許しを。
jimmyさん (nishino)
2010-09-01 11:22:13
確かに、仰せごもっともでございます。

ただ私は、職人です。?。

むしろいま望んでいるのは、自分の音を作りたい人の為に、

私自身が、あらゆる事を出来るようになりたいのです。

何時か言ってみたいのです。

貴方のお望みの音作お手伝いが出来ます。
と。
私は演奏家ではありませんから。(絶対なれないでしょう、そういう性格では無いですね)

それにいまの、方向で追及していくと、自然と材料が作り出す、音にたどりつくのだと思います、

もちろん、鳴り、という点では、目指せ、ストラデバリウスですよ。

一段落したら、自分の楽器、自分が活きる音作って、大道芸やりたいです。

来週、8角形弾きながら、そんな話したいですね。

進化分岐点 (ぺんぎん)
2010-09-01 11:45:13
恐竜になっては絶滅してしまいますよ~!!(笑
。。現世人類へと進化する二胡だと思うからこそ>>オーダーなんですから♪


※確かに恐竜に進化しそうな二胡も多いような気もしますが‥‥‥
是非! (Jimmy)
2010-09-01 13:17:14
そのお気持ちは良くわかります。
ワタクシもモノ作りの端くれだった頃はそう思ってました。まー、マスプロダクションな製品なので個別対応は難しいですが、いろいろ用意してあなた好みにしますってやってました。
どちらかと今の光舜二胡みたいな感じですね。

でもそのお覚悟なら音色だけではなく、全体のサイズ、棹の太さや形状まで演奏家の要望に応えるくらいやるとより良いでしょうね。
でも音色が一番難しいか(笑

実はワタクシが西野さんに楽器を注文するような時があれば生意気ですけど「こんな音色にして」ってお願いしようと思ってました(大笑

著名演奏家は我がままですから大変ですよ(笑

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