金色銀色茜色

生煮えの文章でゴメンナサイ。

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なりすまし。(126)

2017-02-12 08:42:45 | Weblog
 俺はアリスの希望を打ち砕くことにした。
「確かに俺達姉妹は召喚祈祷の魔方陣のど真ん中に姿を現した。
だからと言って、魔物として召喚された分けじゃない。
ただの手違い。
期待を裏切るようだが、人間だ。
向こうの世界でも人間。
こちらでも人間。
ただ、ちょっと強いだけ」
 彼女の唇に自分の唇を軽く重ねた。
驚く彼女に、「魔物の臭いがするかい」尋ねた。
 彼女は目を白黒。
落ち着きを取り戻すと俺をジッと見詰めた。
表情を緩ませ、おもむろに俺に口づけ。
舌を伸ばして俺の唇を強引にこじ開け、侵入して来た。
舌と舌が絡み、唾液が入り混じる。
心地好い。
 俺は彼女に任せた。
彼女の好きにさせることが問題解決の第一歩と感じた。
 俺の首に回されていた彼女の両手が解かれた。
手探りで右手が俺の胸に、左手が俺の下半身に伸ばされた。
掌で乳房を優しく撫で回し、指先で下を弄ばれた。
感電したかのような痺れ。
 彼女は唇を離すと俺を見詰め直した。
瞳に妖艶な色。
頬が揺れるが言葉は発しない。
鼻と鼻が触れ合う距離で溜め息。
無言のまま唇を俺の首筋に這わせた。
時折、甘噛み。
小娘に手玉に取られるのも悪くはない。
 どうなるのだろう、と思った矢先、全ての行為が止んだ。
彼女が俺の鼻先を摘んだ。
「終わりよ。
・・・。
魔物の臭いはしない。
身体は私と同じ造り。
困ったわね」
 手足を投げ打つように身体を隣にバタリと倒した。
湯飛沫が激しく上がり、俺の顔を打つ。
 浮き上がって来た彼女の顔はサッパリしていた。
蒸し返すのも何なので、俺は話題を変えた。
「宰相の用件は」
「召喚の禁止を申し渡されたの」
「姫君より宰相の方が偉いのか」
「父が留守の間は宰相殿が全権を握っているの。
逆らえないわ。
逆らうと、戻っきた父に報告されて、私だけでなく女官達にまで罪が及ぶの。
みんなまでは巻き込めない」
「面倒なんだな」
「王宮なんて、そんなものよ。
・・・。
それに召喚祈祷をやってる最中のことなんだけど、
外は嵐が吹き荒れていたそうなの。
夕方までは晴れていたのに、真夜中に急に荒れて街中に被害が出たそうよ。
十数軒に落雷もあって、
それで宰相殿が言うには、祈祷が強すぎて嵐も呼び込んだのじゃないか、と」
 閃いた。
この城がフルーツの、ゆりかご、と呼ばれるのは、
魔術師が魔法をかけたため、との神話に由来した。
実際、この城のフルーツは一度も枯れたことがない、という。
それを強引に解釈すると、魔法の効用は今も尚健在であることになる。
稼働中の魔方陣の中で祈祷すれば、祈祷の力も倍増するのではなかろうか。
そうなると、嵐まで呼び寄せた、との曲解も可能だ。
 俺が祈祷の魔方陣に着地した際、姿は分からないが、何かが、先客がいた。
それを俺が上から押し潰した。
押し潰した際、モノに汚染されたように感じた。
その影響か、俺から座敷童子が分離し、アマゾネスと神憑りの姉妹になっていた。
これも偏に、魔術師と祈祷師の術が重なってのことなのだろう。
 アリスが半身を起こして俺を見た。
「どうしてスグル殿が貴女達を連れ出そうとしたのか、想像がつくわ」
「聞こう」
「おそらく背後にいるのは宰相殿ね。
貴女達に恨みがあってのことじゃないわ。
政治的な理由よ」
「どういう」
「今、後宮の女官に空きがあるの。
欠員が二人。
それを埋めようとしているのだけど、希望者が殺到して大変なの。
・・・。
後宮には王宮勤めの者の娘が女官として上がるの。
慣例では銅の身分票を持つ武官文官の家ね。
貴族身分の家は、まず手を挙げないわ。
ところが事情が変わったの。
モンスター騒ぎで私の縁談が立ち消えになった事は話したでしょう。
それと同じで兄の婚姻も直前で解消されたの。
娘を輿入れさせれば、当家からの援軍要請を断れなくなる、そう考えたみたいね。
お陰で元気付いたのが貴族達。
兄に見初められるように、娘を女官として後宮に送り込む工作をしているの。
他国の貴族もよ。
なにしろ将来の王妃でしょう。
一族こぞって必死よ。
・・・。
そこに現れたのが貴女達姉妹。
私が暫く傍に置く、と言ったことが影響したみたい。
小利口な宰相殿は面倒ごとが大嫌い。
私から二人を引き離そうとして、スグル殿に命じたに違いないわ」




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