金色銀色茜色

生煮えの文章でゴメンナサイ。

(注)文字サイズ変更が左下にあります。

なりすまし。(113)

2017-01-03 20:23:26 | Weblog
 俺は石畳の上に両足で立っていた。
光の保護を失った代わりに肉体を得ていた。
はて・・・。
この肉体は誰のモノ・・・。
光の中には俺以外に人はいなかったはず。
正確には俺の霊体に座敷童子が居候しているが、女児は妖精なので無関係。
ここまでを、どう振り返っても、この肉体の持ち主は存在しなかった。
俺の目を眩まして、途中で紛れ込むのも不可能。
なのに俺は肉体を得た。
もしかして神の仕業か。
神が存在するとすればだが。
 安易な方法だが、死亡寸前の肉体に憑依する。
そして記憶を喰らって乗っ取る。
今回は段階を省略し、人間が存在しない空間で肉体を得た。
好むと好まざるに関わらず、これが事実だ。
真相は不明でも事態は現在進行中。
そこで疑問を一旦、凍結した。
暇を見つけて後で謎解きすれば良い。
 肉体を得た幸運に感謝し、大きく深呼吸した。
すると摩訶不思議な力が体内に満ち溢れて行く。
それも自信を形作るほどに。
根拠は知らぬが、何も恐くなかった。
気概を持って室内を見回した。
 床に座っていた中には女子供もいた。
彼女等が悲鳴を上げた。
「いやー」
「きゃー」
「なにー」と。
 俺は自分を見下ろした。
驚きを通り越して言葉を失った。
布切れの一つも身に着けていない。
裸体なのだ。
驚愕は続いた。
首の下に豊満な胸と尻を見たのだ。
さらに下の陰でも金色の毛がフサフサ。
どこから見ても、これは女の身体ではないか。
何がどうなっているのか。
見間違えたかと我が目を疑った。
まさか・・・。
見直しても結果は変わらなかった。
 もう一つ別の驚き。
俺の右隣に女児が並んで立っていた。
女児も裸体。
見下ろす俺に気付いて、「でっけ、どんず」と俺の尻を引っぱたくではないか。
元気な女児だ。
 金髪で、おかっぱ頭。
頭髪の色は違うが心当たりがあった。
もしかすると、するかも知れない。
思わず尋ねた。
「座敷童子か」
 女児が顔を上げて頷いた。
知らぬ顔、幼いけれど美しい。
十年もすれば大輪の花を咲かせるに違いない。
その対極にあるのは凛とした百合の花以外には思い付かない。
「んだ、んだ。おもへ、おもへ」訛りは座敷童子そのもの。
 ところが言葉や口調は別人であった。
双子の怪物から逃げていた頃とは打って変わって堂々たるもの。
弱々しさは欠片もない。
どこをどう捏ねくり回せば、こうも人格が一変するのやら。
もしかして新しい身体の影響か。
 とかく人生は移ろいやすいもの、ままなぬもの。
成るようにしか成らない。
座敷童子の耳元に囁いた。
「俺に任せろ。
恐いと思ったら、遠慮なく俺の後ろに隠れれば良い」
 座敷童子はニコリと笑い返した。
裸体を恥じる様子は一切みせない。
身体は女児でも、実際は年齢不詳の長寿な妖精、ということか。
 俺も裸体だからといって恥ずかしがる年齢ではない。
この肉体の年齢は知らないが、実際の俺は四十手前。
大股開きで室内を見回し、祈祷の中心にいた老人で目を止めた。
老人は口を半分開けたまま。
祈祷の結果が予想に反していたのだろう。
 こういう場合は最初が肝心なのだ。
俺は老人を叱りつけた。
「この馬鹿者が。
・・・。
これでは二人とも風邪をひく。
何か着る物を持ってこさせろ。直ちにだ、急がせろ」厳しい口調で註文した。
 老人は居眠りしているところを叩き起こされたかのように、身体をビクッと震わせた。
困って口籠もっていると、後ろにいた女子供が立ち上がった。
「はい、持って来ます」
「私は貴女の服」
「私は子供さんの服」口々に言いながら五人が地下室から駆け出して行った。
 残った男達は無言。
灯りを持って来た者達もだ。
視線を泳がせ、時折、俺と女児の裸体に目を遣るだけ。
 部屋の片隅に大きな鏡を見つけた。
俺は座敷童子の手を引き、そちらに歩いた。
鏡は等身大で、多少曇っていたが使用には問題なかった。
灯りを呼び、座敷童子と二人して鏡の前に立った。
 似通った顔が並んでいた。
年の離れた金髪の姉妹と言っても差し支えないだろう。
咲き誇る薔薇の花と、時期を待っている蕾。
 俺には太い棘があった。
豊満な胸と尻は良いとして、手足に太い筋肉がついていたのだ。
首も太い。
加えて長身。
これではアマゾネスではないか。
並みの男なら尻込みするに違いない。
 気になって座敷童子の身体特徴を仔細に観察した。
すると女児にもアマゾネスの傾向が見られた。
俺に似て手足が長い。
胸も尻も筋肉も、年頃には大輪の花を咲かせることだろう。
 女子供五人が息せき切って、大量の衣服を抱えて駆け戻って来た。
先頭の若い金髪娘が、みんなを代表して言う。
「お持ちしました」丁寧な物言い。
「すまないが、この時代の衣服は着慣れていない。
着替えを手伝ってくれないか」
 すると黙っていた男達が次々に立ち上がった。
「貴様、何様だ」
「我が国の姫様に着替えさせてくれだと」
「姫様は侍女ではないぞ」
「死罪に値する」口々に喚く。
 立ち上がった中に一人だけ無言の男がいた。
見るからに偉丈夫、皆より首一つ高い大男で屈強そのもの。
首から肩胸にかけての筋肉の盛り上がりはゴリラを連想させた。
彼が一歩踏み出した。
拳を固め、俺をグッと睨みつけながら、大きな歩幅で歩み寄って来た。




ランキングの入り口です。
(クリック詐欺ではありません。ランキング先に飛ぶだけです)
にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ




触れる必要はありません。
ただの飾りです。
PVアクセスランキング にほんブログ村




PVアクセスランキング にほんブログ村
ジャンル:
小説
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« なりすまし。(112) | トップ | なりすまし。(114) »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。