これからわしが申し上げますことには、皆様にあられましては多々ご異論もお持ちのことと拝察申し上げますが、孤死あるいは枯死を淡々と待つ一人の老人の戯言としてお聞き流しいただければ幸甚に存じます。
日本人を開祖あるいは宗祖とし、日本の地で生まれた仏教の宗派で、代表的であり且つ現在も信徒数が多いのは、開祖の生年順に並べますと、天台宗(開祖・最澄 767-822)、真言宗(開祖・空海 774-835)、浄土宗(法然 1133-1212)、臨済宗(開祖・栄西 1141-1215)、浄土真宗(開祖・親鸞 1173-1263)、曹洞宗(開祖・道元 1200-1253)、日蓮宗(開祖・日蓮 1222-1282)ということになりますじゃろう。
つまり、七宗派であり、それらの開祖あるいは宗祖たちは、日本仏教のいわば「神セブン」、ということになりますが、さすがに仏教の宗派のことですから、「神」はまずいじゃろうから、「仏セブン」となりますかのう。
もしこの「仏セブン」の人気ランキング投票をしたら、結果はどうなるじゃろうか……などと、ほんと他愛もないことを今日はぼんやりと空想しておった次第です(どなたかな、「あんたも暇じゃのう」とこっそり呟いているのは。わしは年は取ったが、耳はまださほど遠くはなっておらぬぞよ)。ただし、この投票に際して、教団および信者たちの組織票はこれを排除する、という約束は厳守しての話でござる。つまり、これら開祖の教義についてどれだけ知っているかどうかはともかく、誰の好感度が高いかってこっちゃ(そんなん調べて、どーすんねん)。
今の日本のことはもうようわからんようになってしもうたが、わしが思うに、やはり、一位は親鸞さんかのう。二位は、誰じゃろう。道元はんか、あるいは空海さんかのう。逆に、熾烈な最下位争いをしそうなのが、最澄、栄西、法然さんたちやろうか。過激な日蓮はんの人気はどうやろか。
わしの個人的ランキングは、トップから順に、親鸞、道元、空海、最澄、日蓮、法然、栄西となるかのう。ほんま、どーでもええことやけど。
こんなアホなことを空想しながら、空海はんの『即身成仏義』(ちくま学芸文庫版『空海コレクション 2』所収)を覗いておりました(やっぱ、空海すっげー)。
最後に、爺の戯言をここまで読んでくださった慈悲深いこと海の如き読者の方々への感謝の徴として、末木文美士『日本仏教史』(新潮文庫)から、『即身成仏義』についての一節を引用いたしまする。それでは皆様、ごきげんよろしゅう。
この理論は密教の理論であると同時に、もう一方では、興味深いことにいわば日本人の宗教観を理論化したともいえる面をもっている。一体、日本人はこの現象界の外に絶対神をたてたり、イデア的世界を認めたりせず、現象世界をそのまま肯定する傾向が強い。もともとアニミズム的世界観に由来するもので、とくに自然世界を尊重することが多い。汎神論的な六大説はこのような日本人の世界観にきわめてよく合致している。のちの道元の思想や親鸞の自然法爾説にもこの傾向は受けつがれる。(115頁)
この人気投票にあっては、問答無用に空海に投票します(笑)
そうなる背景に、京都学派が親鸞びいき、道元びいきであることへの反発もいくらか混じっております(笑)
教義はさておいて、その人生についての興味ぶかさ、という点で空海がおもしろい。その対抗馬としての最澄も興味深いですが。
なによりも空海は字がウマイ、というのが決め手ですかねwww
当方が好きなのは、女房が狐だったという話で、子供までもうけたのに、女房が狐だとわかってしまい、それでも「まあいいじゃないか」的な展開になるのが、おおらかだなぁと思うわけです。
狐のとしての女性が、ことによると異民族の女だったのかな?とかいろいろ発想できて愉快だな、と。すいません、それだけです(笑)
以来大好きな方になりました。
全てが好ましいのです。お蔭で書の世界にも首を突っ込む事が出来 どれ程私は救われたかと日々感謝して生きております