内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

他者が信仰する神々との関係をどう考えるか

2016-11-30 19:58:33 | 読游摘録

 『多神教を讃えて』の著者マウリツィオ・ベッティニが特に憂慮の念とともに考察しているのは、現代社会に蔓延する宗教に関わる争いである。それらに対して、古代宗教は実践的に対処する手立てを与えてくれると著者は本気で考えている。そのために、古代宗教において他者の神々との関係がどう取りもたれていたかを特に重視する。なぜなら、古代宗教は、一神教に固有な心的枠組みとはまったく異なった心的枠組みによって動かされているからである。
 ここで言われる「心的枠組み」とは、著者によれば、ある一定の文化の中で稼働している思考の構成形態のことである。この枠組がある行動を準備・組織・実行する際に機能し、ある心的傾向を命令し、他のある心的傾向を禁じているとする。
 古代の多神教において機能している心的枠組みと一神教のそれとについて、他者の神々との関係という問題が提起される様々な場面での両者の対応の違いを比較検討することで、私たちが生きている現代社会が直面している宗教問題をそれが陥っている袋小路から抜け出させる手立てを提供しよういうのが本書の目指すところである。











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