内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

存在の中心から存在の生成を捉えようとする哲学 ― ジルベール・シモンドンを読む(126)

2016-10-14 17:19:26 | 哲学

 限りなく零に近い少数の人にしか僅かでも関心を持ってもらえそうにないテーマについて、容易には理解できないような論述を延々と展開するだけの記事を書き続けることにどんな意味があるのかと疑問に思われる方も当然いらっしゃるであろう。
 しかし、シモンドンの考え方を必ずしも充分には理解できていなくても(私自身がそうなわけだが)、その著作の中には、現代の高度技術社会において提起される倫理的諸問題の考察・検討にとって重要な示唆が多く含まれているという確信が私にその著作の読解を継続させている。
 差し当たりの目標として、ILFI の結論の最後まで読み上げたい。
 昨日読んだ箇所の次の段落では、そこで提示された哲学的方法論から導かれる帰結の一つが展開される。
 その帰結を、まず一言で言うと、生命は、物理的現実の「後に」現れ、その現実を統合することによってその上に立つと考えてはならない、ということになる。つまり、それとはまったく逆方向に考えて、生命の誕生は、物理的現実の展開を、その構成の初期段階を膨張させることによって、遅らせるという結果をもたらすと捉えるべきだということである。生命が現れることによって、物理的現実の構成の初期段階で与えられていた緊張と準安定性との成立の条件が複雑化・精密化される。このより複雑化し精密化する諸条件が物理的個体化を「幼態成熟化」する。つまり、再生能力を保持しながら、自己の形態変容の可能性を持った種へと進化させる。
 個体化された存在それ自体の生成以前に、生成と生成が含む交換とを研究することで、個体的存在 ― それが物理的であれ生体であれ、植物であれ動物であれ ― の生成がいかにして可能になるかを捉えることができる。

Qu’il s’agisse de l’être avant toute individuation ou de l’être dédoublé après l’individuation, la méthode consisterait toujours à tenter d’appréhender l’être en son centre, pour comprendre à partir de ce centre les aspects extrêmes et la dimension selon laquelle ces aspects opposés se constituent : l’être serait ainsi saisi comme unité tendue ou comme système structuré et fonctionnel, mais jamais comme ensemble de termes en relation entre eux ; le devenir, et les apparences de relations qu’il comporte, seraient alors connus comme dimensions de l’être, et nullement comme un cadre dans lequel il advient quelque chose à l’être selon un certain ordre. Le devenir est l’être se déphasant par rapport à lui-même, passant de l’état d’être sans phase à l’état selon des phases qui sont ses phases (p. 324).

 存在をその中心において捉えるというシモンドンの哲学的方法は、対立する諸項として分節化された存在を、緊張を孕んだ一つの全体として、あるいは構造と機能を持ったシステムとして把握するという態度において徹底している。
 生成とそれが含んでいる様々な現れは、存在そのものの次元なのであって、存在に何かがそこで到来する枠組みにすぎないようなものではない。生成は、己自身対して多相化する存在そのものなのであり、存在が無相の存在から複数の相を持った存在へと移行していくことそのことにほかならない。











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