手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

怖がる患者さんとの思い出(関係づくりについて)その4

2012-05-26 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
≪前回からの続き≫


個人的距離には近づいたのですが、おばちゃんは顔を伏せたまま、私と目を合わせてくれません。



そこでまたお話をしました。





「リハビリをすることについて、今どのような気持ちですか?


これは、相手が自由に答えることができる「開かれた質問(open question)」ですね。


開かれた質問に対する回答には、さまざまな情報が入っている可能性があるので、会話の広がりや深まりを期待できます。


ところが、


「…」


おばちゃんは、首をかしげてだまってしまいました。





どう答えてよいかわからないようです。そこで、


「リハビリをするのは怖いですか?


先ほどベッドの反対側に隠れた様子から、怖がっているかどうか、YesかNoで答える「閉ざされた質問(closed question)」に切り替えました。


閉ざされた質問は、質問者の聞きたい情報を聞き出せ、回答者の負担が少ないという利点があります。


その反面、質問者の都合のよいように誘導尋問をしてしまう可能性があるという問題も併せ持っています。


この質問に対し、おばちゃんはコクリとうなずかれました。





「どうして、怖いと感じられるのですか?」


再び、開かれた質問です。


ここまで来たらおばちゃんの気持ちは、少し整理され始めたようでした。


「痛いことされるから


そう言って、ここでようやく私の方をみてくださいました。





ここで私のほうを見たという意味は、ベッドの裏に隠れてにらんだときと大きな違いがあります。


にらんでいる時は私に対して、対立するような意識が強く表れていました。


ベッドに腰掛けて目を伏せているときは、対立までいかなくても、まだ拒絶している状態です。


しかし、「痛いことされるから」と自分の気持ちを表しながら私のほうをみたこと、それは、おばちゃんのほうから大きく歩み寄ってくれたことを意味します。


コミュニケーションの歯車が少しずつ回り始めました。





「痛いことをされるから、怖いと思って嫌がられたんですね」


もういちど気持ちをなぞるようにして反復し、確認しました。


こちらが、気持ちを理解して受け止めたというメッセージを伝えるわけです。






『そう


私のほうを見たまま、ふたたびおばちゃんは、コクリとうなずきました。


その後、身体の状態や発症の経緯についていくつかことばを交わし、自動運動でどこまで動かせるか確認しました。


この場合、話の内容はもちろん意味がありますが、ことばのキャッチボールを数多く交わすというコミュニケーションの量も大切です。


それによって、とにかく私という人間に慣れていただくわけです。



はじめのうち、おばちゃんからの言葉のボールはぎこちないものでしたが、数を重ねるうちに慣れてきたのかだんだんスムーズになってきました。


その頃を見計らって、また私はたずねました。


≪次回に続く≫
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怖がる患者さんとの思い出(関係づくりについて)その3

2012-05-19 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
≪前回からの続き≫


「リハビリを受けたいというお気持ちはありますか?


という私からの問いかけに対し、おばちゃんはしばらく考えていらっしゃるようでした。


やがて、しぼり出すような声で、


『やっ、やります


と自分から声に出しておっしゃいました。





自分で意思表示することで、拒絶の壁が除かれはじめます。


さらに「やります」と言ったことは、アファメーションをしたということにもなります。


アファメーションとは、自分に対して肯定的な宣言をすることです。


これによって、前向きな行動を起こしやすくなります。


少しずつプラスの要素を増やしていくわけですね。





もし、十分に説明をしたうえでも『やりません』という返事だったら、受け入れる準備ができていないということなので基本的に無理強いはできません。


外来のリハビリで対象になっている体性機能障害は、今すぐ何とかしなければ命に危険が及ぶという緊急性の高いものではありません。


機が熟すのを待つということも、時に必要です。


その日は、最低限の日常生活上の注意点などを伝えて、お帰りいただくということになります。





この際に大切なのは、「リハビリをしようという気持ちになったら、いつでもいらして下さいね」と、こちら側の扉は開けておくことです。


患者さんによっては、いちど断ったのだから、やっぱりお願いしますというのは言いにくいという気持ちになる方もいらっしゃるはずです。


そのような方のために、配慮することも大切です。





さて話を戻して、おばちゃんの「やります」という意思を確認したところで、仕切りなおしました。


「では、ベッドに戻ってお座りください」


ご自身でやると言った以上、こうなると戻らない訳にはいきません。


おばちゃんはソロソロと、はじめの位置に戻って座りました。







こうして、社会的距離から個人的距離に近づくことができました。


まずは一歩前進です。


≪次回に続く≫

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怖がる患者さんとの思い出(関係づくりについて)その2

2012-05-12 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
≪前回からの続き≫



ベッドの反対側に隠れてしまい、私(オレンジの■)を近づけようとしないおばちゃん(青い●)に対して、私がまず行ったことは患者さんの希望を受け止め、それを言葉として相手に伝えるというものでした。


私「わかりました。近づかないようにしますね」


こうすることで、それ以上の興奮を防ぐようにしました。





このようなことは、大したことないように思われがちですが、とても大切です。


何をされるかわからないというのは、とても不安なものです。


相手が緊張していたらなおさらです。


自分が何をしようとしているのか、それを相手に伝えておくことで、より安心していただけます。





テクニックを使う時も同じです。


私たちは患者さんに、「力を抜いてくださいね」というフレーズをよく使うのではないかと思います。


でもこれでは、ただ指示をしているだけです。


時と場合によっては患者さんも安心できず、力を抜きたくても抜けないということもあるでしょう。


「肩の動きをよくするために、筋肉を伸ばしていきますから、力を抜いておいてくださいね」


このように伝えると、何をされるか理解できるので、より力を抜きやすくなります。


不意打ちにならないよう、セラピストの動きを患者さんが予測できるようにしておきましょう。


「骨折を防ぐために」もご参照ください。≫


細かなことにちょっとした配慮をすることで、信頼関係も作りやすくなります。





さて、おばちゃんには近づかないことをお伝えしたうえで、病院にいらっしゃった理由を確認しました。


当然、肩の痛みを何とか良くしたかったからです。


肩の痛みを良くするためにはリハビリが必要になるなど、目的や意味をお話しした上で、リハビリをする意思を確認しました。





私「リハビリをしようというお気持ちはありますか?


おばちゃん『・・・


「もし、気が進まないようでしたら、今日はこのままお帰りになりますか?」


『・・・』


「どちらでも自由に選んでいただいて結構ですよ」





緊張して混乱している患者さんには、まず選択肢を提案することで情報を整理させるようにします。


緊張はともかく混乱なんて大げさな、なんて思われた方もいるかもしれませんが、私たちにとってリハビリ室などの職場は日常ですが、はじめての患者さんにとってはそうではありません。


まして、これまで傷めたことがあまりないような部位に異常を起こし、その方にとってあまり関わりのなかったところに行くとなると強いストレスがかかり、性格によっては心理的に混乱してしまう方もいらっしゃると思います。


混乱すると、ふだんなら普通に判断できるようなことでも、訳がわからなくなってしまうこともあります。


そのようなとき、こちらで情報を整理し、二者択一くらいにして示すようにすると、混乱した方でも判断がより容易になり、これをきっかけに冷静になる方もいらっしゃいます。





さらに自由意志で選んでよいというメッセージを伝えることで、無理やり何かをされるのではないという安心感を与えるようにします。

自分を守ろうとする気持ちが強くなっているので、守ろうとしなくてもいいんだと思っていただくようにするわけですね。





もうひとつ大切なのは、相手が落ち着くようにゆっくりと話しをするということです。


「こっちに近づかないでっ!!」と言ったときにおばちゃんは興奮状態で、早口でしゃべっていました。


これに対しこちらも早口で答えると、話の内容うんぬんではなく、そのスピートに反応してさらに興奮させてしまうことがあります。


だから、あえてゆっくりとお話しするわけです。





さて、私からの問いかけに対し、おばちゃんは何と答えられたのでしょうか。


≪次回に続く≫







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怖がる患者さんとの思い出(関係づくりについて)その1

2012-05-05 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
先日勉強会をしていたときに、治療を怖がって拒否した患者さんのことを思い出しました。


今回は、この患者さんとのエピソードを紹介しながら、手技療法の寺子屋ブログではあまり取り上げて来なかった、患者さんとの関係づくりについて考えたいと思います。


50代くらいの女性患者さんだったのですが、たいへんユニークな個性をお持ちで、その後、信頼関係もでき楽しくおしゃべりするようになりました。


とても懐かしく、思い出したら顔がほころんでしまいます。


ここではその患者さんのことを、親しみを込めて「おばちゃん」と呼びたいと思います。どうぞご勘弁のほどを。





私が整形外科クリニックのリハビリ室で、仕事をしていた頃の話です。


おばちゃんは右肩の痛み、主に外転時痛と可動域制限の相談で受診されました。


痛みがとても強かったようで、リハビリ室に入りベッドに腰を掛けて待っているときも、右肩を押さえて険しい表情をされていたのをよく覚えています


後から聞いて知ったのですが、診察は受けたもののまさかリハビリをするとは思わず、かなり緊張していたそうです。


そもそもリハビリで、どのようなことをするのかも知らなかったというのですから無理もありません。





私(オレンジの■)がおばちゃん(青い●)の担当をすることになり、名前を呼んであいさつをしながら、下の図のようにベッドに近づいて行ったその時です。







いきなり「痛い、痛い。痛いから近づかないでっ!!」と、大きな声で叫ぶようにしながらベッドの反対側に隠れてしまいました。



ここまで大きなリアクションをされたのは、後にも先にも経験がなかったので、私も一瞬呆気にとられてしまいました。





おばちゃんはベッドの反対側に隠れ、私をにらむようにしながら叫びます。


「近づくだけで痛いから、そばに寄らないで!!


近よるだけで痛がるなんて気のせいではないの?と以前は思っていたのですが、どうやら脳の痛みを感じる感覚野は、物理的な刺激が加わらなくても活動することがあるようです。


だからこのとき、おばちゃんは本当に痛みを感じていたのだと思います。


そうはいっても、これでは仕事ができません。





私たちは日ごろから無意識のうちに、他人と心地よく接することができる適切な距離をとっています。


これを対人距離(Hall.1966)、もしくはパーソナル・スペース呼んでいます。


動物でいう「なわばり」に近いものですが、特定の場所ではなく自分を中心とした一定範囲のことです。


いくつかの段階があり、親密さの程度によって異なります。





1.2〜3.6メートルの社会的距離から自分のなわばりになります。


この社会的距離では、範囲内にいる特定の人と仕事上のコミュニケーションをとるのにふさわしい距離です。


職場での同僚との間隔や、お店での接客などですね。


45センチ〜1.2メートルは個人的距離といい、よりプライベートな内容についてコミュニケーションをとる距離です。


井戸端会議などがそうですね(最近は使わないことばかな?)。





45センチ以内の親密距離は、とても親しい間柄で身体的接触も容易に行える距離です。


この親密距離に親密ではない人が入ってくると、とてもストレスに感じます。


みなさんにも経験があると思います。


満員電車なんて、そうとうなストレスになっているはずですよね。


考えてみると手技療法は、相手の親密距離に一定時間とどまりながら治療をしていることになるわけで、これはなかなかたいへんなことだと思ってしまいます。





さて、おばちゃんは私が個人的距離に入ろうとしたとき、拒絶して社会的距離まで離れてしまいました。


はてさてどうしたものか?


みなさんならどう対応しますか?考えてみてください。


≪次回に続く≫







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ひとりでできる!!間接法の練習≪おまけの話‐2≫ その12

2012-04-28 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
≪前回からのつづき≫


次に、一部分を使って練習することについて。


「ひとりでできる!!練習法」シリーズでは、身体の一部分だけ使って練習しています。


一部分の練習だけでは、頼りなく感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。





確かに、一部分がみれたからといって全体がみれるとは限りません。


けれども一部分がみれないようでは、全体などみれっこないというのも確かなことです。


この一部分の動きがわかれば、やがて全身の動きがわかるようになっていきます。


大切なことは、動きが「ある」「ない」(大きすぎる・少ないも含めて)状態とは、どのような感触であるのか。


また、動きが回復していく感触とはどのようなものであるのかを、身体にしみ込ませておくことです。





それがなぜ大切なのか?


いくつか理由はありますが、たとえば関節モビライゼーションは刺激のグレードを、ある方法では5段階、別の方法では3段階など、メソッドによって異なる分類をしていることがあります。


どのような方法を学んだときでも自分の感覚がベースにあれば、あるグレードはどのような刺激のことを指しているのか感覚的に理解できます。


刺激の分類が、それぞれのメソッドによって異なっていても混乱しません。





これがグレードの分類を知識だけで細かく記憶しようと思ったら、覚えるメソッドが増えれば増えるほど整理はたいへんになります。

そちらにエネルギーを取られすぎると、かえって実践がおぼつかなくなるかもしれません。


ですから知識を整理する上でも、自分の中に確かな動きの感覚をじっくりと養っておくことはとても大切になります。





また臨床では、組織の状態が各グレードにクリアに分類できるケースばかりではありません。


あるグレードとグレードの、中間程度の刺激を必要としている状態のこともあります。


その場合、自分の感覚で匙加減をして、刺激を調整しなければなりません。


それができるためには、身体でさまざまな感触を覚えておく必要があるわけです。





その土台になるものを、身体の一部分を使って鍛えているわけです。


ですから、たった一部分だからといって、軽くみてはいけません。


徹底的に練習してくださいね。





さいごに、学びと充実感について。


このシリーズのはじめのほうでも少しふれましたが、直接法と間接法それぞれのアプローチを身につけておくと、刺激を加える技術的な幅がグッと大きくなります。


これは、セラピストとして治療の幅が広がることを意味します。


私自身は、こちらもシリーズのはじめにお話ししたように、間接法をメインに使っている訳ではありません。


それでも、いざとなったら使えるという思いがあることで、気持ちに余裕を持てています。


ただ幅が広がるとは、それだけ目の前の患者さんにはどのような刺激が最適かなど、より多くのことを判断しなければなりません。


これには経験と知識、そして刺激に対する組織の反応を素早く感じとる触診技術に磨きをかける必要があります。





ひとつひとつを確実にとはいえ、学べば学ぶほどさらに多くのことを学ばなければいけませんね。


たいへんですが、できることが増えてくると、私たち自身も仕事をより面白く感じるようになります。


一日の仕事が終わった時「今日も面白かった」「良い仕事ができた」と感じられることは、とても幸せなことだと思います。





そして、できることが増えるということは、さまざまな状態の患者さんに対応できるということ。


多くの患者さんを笑顔にさせることができるということです。


手技療法が対処できる体性機能障害は、単独で命に直接かかわるようなことはないものの、患者さんの仕事や生活にとって大きな問題となっていることがあります。


ですから機能障害がよくなる、ならないで、患者さんの人生が変わってしまうこともあります。


その患者さんにとって、私たちはたいへん意味のある治療をしていることになるわけです。


長くこの仕事をしていらっしゃる方なら、ご経験はあるのではないでしょうか。





こうして学べば学ぶほど、自分やまわりの人の喜びが増えるというのはステキなことだと思いませんか。


それによって、私たちもより充実感をもって仕事をすることができるのだと思います。





よく「自分の仕事に誇りを持て」と言われます。


その核になっているのは、自分の内面で感じる充実感だと思います。


充実感が外に向かってかもし出されたとき、誇りとして自然と現れるのではないでしょうか。


ときどき、これみよがしに肩肘を張っているような方をみることがありますが、なにも不自然にそのようなことをする必要はないわけですね。





もちろん、落ち込むときだってときにはあります。


数日では立ち直れない場合だってあるでしょう。


でも、自分の中で仕事への充実感があれば、起き上がり小法師のようにまた起き上がって歩き出すことができます。


それ以前よりも強くなって。





伝えたいことを思いつくままお話ししたので、ずいぶん脱線してしましました。


私は仕事には、自分の人生観が現れるものだと思っていますので、このようなお話しになってしまいました。





この手技療法の寺子屋ブログでお伝えしているような練習法も、ひとつひとつは地味なもの、ちいさな石ころです。


けれどもそれを積み重ねていくことで、やがて強固な礎石のひとつとなり、セラピストとしての幅を広げ、多くの患者さんの役に立ち、みなさんの内面の充実感につながっていくものと私は信じています。


毎度のことながら、まとまりがないさいごになりましたが、「おまけの話」なので勘弁してくださいね。








ご案内
いただいたコメントをもとに、記事を加筆しました。
こちらの内容もご参考になれば幸いです。

「ひとりでできる!!腰椎の可動性検査 その5」



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ひとりでできる!!間接法の練習≪おまけの話‐1≫ その11 (ありがとう1500人)

2012-04-21 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
前回まで、10回にわたって間接法の練習を行ってきましたがいかがでしたか?


得手不得手がけっこうハッキリ分かれる間接法ですが、苦手だという方「自分にもできるかも」という気持ちになっていただけたでしょうか。


基本的なところはきっちり押さえたつもりですので、あとは全身どの部位でも、この基本に則って練習すると習得しやすいのではないかと思います。





間接法という用語について、少し補足しておきたいことがあります。


今回のシリーズでは直接法を、かたい方向、抵抗の強い方向、制限のある方向、動かしにくい方向に動かしていく治療手技としました。


反対に間接法は、やわからい方向、抵抗が弱い方向、制限のない方向、動かしやすい方向に動かしていく方法でした。


多くはこのような用い方をされますが、まれに異なる意味で用いられることがあるかもしれません。


それは、目標となる関節を構成する骨に「直接」コンタクトして操作する方法を「直接法」と表現される場合です。


この場合、「間接法」はいくつかの関節を介して「間接」的に、目標となる関節を操作する方法を意味します。


以前、「徒手的テクニックの使い分け3〜関節面への他動運動〜」で、小さいテコを使ったモビライゼーションと大きいテコを使ったモビライゼーションについてお話ししました。


ここでの小さいテコが直接法で、大きいテコが間接法となります。



      ≪ 小さいテコ:直接法 ≫


      ≪ 大きいテコ:間接法 ≫


何だかややこしいですね。





手技療法のなかには統一されていない用語もあるので、混乱してしまうことがときどきあります。


たとえば、仙骨が前方へうなずように傾くことを、ふつうは運動学に則って「屈曲(=点頭:nutation)」と呼んでいます。


ところがオステオパシーの頭蓋仙骨テクニック(CST)では、同じ動きを「伸展」と表現します。


これは蝶形後頭軟骨結合を基準にする、CSTの特徴的な考え方のためですが、詳しいお話は省きます。


とにかくこれを理解しないでCSTを学ぶと、骨盤に関して何が何やらということになりかねません。


その場合は、前後の文脈や話しの流れから判断するしかないかもしれませんが、用語の統一は業界にとって必要だと思います。





さて、この「ひとりでできる!!練習法」シリーズも、これまでずいぶんいろいろな方法をご紹介してきました。


脊柱・骨盤の自動運動による可動性の触診や、肩・膝を用いた関節構成運動の触診、他動的な関節あそび検査も行いました。


関節モビライゼーションや筋肉エネルギーテクニックなど、直接法や間接法によるテクニックの練習法もやってきましたよね。


手技療法の習得するために、身につけておいたほうがよいものが、ある程度はカバーできるようになってきたかなと思います。


練習相手がいなくても、ヤル気さえあればいろいろできるものです。





せっかくの機会なので、「ひとりでできる!!練習法」を通して、伝えておきたかったことをいくつかお話ししましょう。


まずは、学んで習得するまでのスピードについて。


前回は一話だけで、間接法による関節モビライゼーションの練習を終わらせることができました。


そのようにできたのは、関節あそび検査にはじまり、直接法による関節モビライゼーション、間接法による筋筋膜リリースやストレッチの練習を積み重ねてきたからです。


これが、いきなり間接法による関節モビライゼーションを覚えようと思ったらそうはいきません。





このように手技療法は、ひとつの方法をきちんと習得すれば、それを次のテクニックにも生かすことができるので、学べば学ぶほど身につけるスピードは速くなっていきます。


スポーツや武道、料理なども同じはずです。


ですから、習得しなければならないことが多いからといって決してあせらず、ひとつひとつの基本技術を確実に身につけるようにしていってください。


結局はそれが近道になります。


いくら手数を多く覚えたからといって、基本ができていないとテクニックの切れ味が悪くなり、効果は上げにくいのではないかと思います。





≪次回につづく≫








おかげさまで週間訪問者が1500人になりました。
週1回の更新で続けてきた「手技療法の寺子屋」ブログは、はじまってからもうすぐ4年6か月になりますが、前回初めて週間訪問者が延べ1500人を超えました。
ちょうど一年ほど前、1000人をこえましたので、この1年で500人増えたことになります。
1500というのは、とても大きな人数だと思います。
このブログでは「手技療法に共通する基本は何か」「どうすれば基本を効率よく身につけることができるか」という問いを主なテーマとして、私なりの考え方で少しずつまとめてきました。
私も小さな石ころのひとつにすぎません。
それでも、このようにたくさんの方に関心を持ち、共感していただけるというのはとてもうれしいことです。
あらためてみなさんに感謝いたします。





「手技療法の寺子屋ブログ」が電子書籍になりました。
Apple版(iPad / iPhone 対応)も発売になりました。
「手技療法の寺子屋ブログ」に若干の加筆修正を加えた総集編(1〜150話)です。
手技療法(=徒手療法・マニュアルセラピー)を「身につけ、使いこなす」という視点から、治療の考え方、体性機能障害の捉え方、評価のコツとポイント、触診のトレーニング方法、テクニックを効かせるための技術などを紹介しています。
専門書ではなかなか触れられていない、技法の習得をスムーズにするためのポイントを多数紹介しています。
学生から臨床経験3年までの方が主な対象ですが、経験年数のある方にも復習用として、あるいは指導用としてお役にたてる内容です。
この書籍が多くの仲間の役に立つことを願っています。

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手技療法の寺子屋セミナーのお知らせ

 「胸椎の評価と治療 〜関節あそび検査と関節モビライゼーション(PIRを含む)」不良姿勢である円背などにみられる胸椎後彎位での固定化は、胸椎の伸展制限をもたらします。それによって胸背部痛などの直接的原因になるとともに、頚椎や腰椎の前彎を増加させ、頭痛・頚部痛・腰痛などを持続し、症状を慢性化させる要因のひとつともなります。
胸椎の評価と治療は、体幹を操作していかに問題となる分節に刺激を限局化(ローカライゼーション)させることポイントとなります。
本セミナーでは胸椎の機能的評価を行い、その異常を改善させる上で有効な、関節モビライゼーションと等尺性収縮後リラクゼーション(PIR)を用いたアプローチをご紹介します。
興味をお持ちの方、下記リンクをクリックしてください。
●開催日時 12年05月13日(日) 15:00〜20:10
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ひとりでできる!!間接法の練習≪関節モビライゼーション≫ その10

2012-04-14 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
間接法のまとめとして、今回は関節モビライゼーションの練習をしましょう。


ここまでお話ししてきた間接法と、過去にお伝えした直接法による関節モビライゼーションの組み合わせです。


ですから細かい解説はあえて行いません。


みなさんにたずねながら進めますので、これまで練習してきたことを生かしてみてください。





「昔のことは忘れちゃった」という方は「関節あそび検査練習法」シリーズと「関節モビライゼーション(直接法)練習法」シリーズを復習しましょう。

「ひとりでできる関節あそび検査練習法1」

「関節モビライゼーション(直接法)練習法」


続いて、今回の間接法の練習シリーズも念のため復習しておいてください。





よろしいですか?


では示指DIP関節を対象にして、関節モビライゼーションによる間接法の練習を行いましょう。


「関節あそび検査練習法」や「関節モビライゼーション(直接法)練習法」では、以下のように示指の中節骨と末節骨を固定し、DIP関節の側方すべり検査とそのモビライゼーションを行いました。





骨を固定するときには、どのように固定したでしょうか?





続いて、天井側・床側に末節骨を側方にすべらせて、関節のあそびを確認してください。


どのように力を加えて操作するのでしょうか?





このとき、エンドフィール(関節終端感覚)だけを感じるのではありません。


動かし始めからエンドフィールに至るまでのすべてを感じとり、なめらかに動いているかどうかなど、動きの質も評価するようにしましょう。





関節あそび検査の結果、仮に天井方向に側方すべりが制限されていたとします。


直接法ならそのまま天井方向にモビライゼーションをかけますが、今回は間接法なので床方向に動かします。




間接法で練習した、組織がゆるむ程度を感じながら操作しましょう。


ほんのわずか動かしただけで、ゆるむポジションにくるのではないかと思います。





操作する力に注意してください。手先で動かすのではありません。


手先で動かすと、ゆるむポジションを感じとりにくくなるだけではなく、組織がリリースしていく変化のプロセスも感じとることが難しくなります。


「小さな操作は大きな動作で行う」ですよ。





ゆるむポジションがわかれば、そのまましばらくキープしてください。


これが間接法による関節モビライゼーションになります。





関節がリリースするとき、どのように感じますか?


感じとり方はセラピストによって個人差があると思いますが、私はフワッと関節が膨らんで温かくなるような印象を持ちます。





リリースを感じたら、再評価してみてください。


動きの範囲や質は変化したでしょうか。


側方すべりのみ練習しましたが、余裕ができたら前後のすべり・傾斜・軸回旋など多方向へ同時に行ってみるとよいでしょう。


より精度の高いアプローチとなります。





関節にアプローチする場合も、このような間接法を中心に使っているというセラピストもいますが、私の場合は、このシリーズのはじめにお話ししたような用い方をしています。


みなさんそれぞれ、自分のスタイルに合わせて取り入れていただければと思います。


次回は、このシリーズのまとめ(おまけの話)です。

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ひとりでできる!!間接法の練習≪拮抗筋のストレッチ≫ その9

2012-04-07 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
≪前回の続き≫


なかには練習をしていて「前腕の屈筋が弛緩した位置を感じとることが、どうしても難しい」という方もいらっしゃったかもしれません。


そのような場合はワンステップおいて、ストレッチしている拮抗筋の状態に注目し、感じ取る練習をしてもよいでしょう。





まず屈曲の時は、前腕伸筋が十分にストレッチされる角度で止めます。



前腕の回内・回外(手関節の側屈)では、もっとも伸筋がストレッチされると感じたところで止めます。


手首の回内・回外でも、同様にします。


弛緩させた場合と比べ、ストレッチしたときの張力を感じとるほうが、より簡単ではないでしょうか。





最も伸筋がストレッチされるポジションが決まったら、意識を屈筋のほうにもっていき、弛緩した状態というのを感覚で覚えるようにします。


以前、「体性機能障害の評価の流れ4〜エンドフィール 2〜」で、「やわらかい」よりも「かたい」ほうが知覚しやすいので、そちらから練習することをおすすめしました。


徹底的にかたさを感じとる練習をすると、その対極にあるやわらかさも感じ取りやすくなる、というのがその理由でした。


今回ご紹介した方法は、緊張と弛緩という対極の状態を、ひとつの姿勢で作り出しているので、弛緩したやわらかい状態を覚えるためのよい練習法になるかもしれません。





話のついでですが、やはりこのような技術を身につけるときには器用・不器用があらわれてしまいます。


不器用な人、あせりはとくに禁物ですよ。


あせってしまう方は、気持ちのどこかで「どうせ自分は不器用なんだからのんびりいこう」と、良い意味での開き直りを持つことも大切だと思います。


短期的な結果を期待せず、地道に練習を重ね、自分の中で技術が熟成してくるのを待ちましょう。


器用な人はすぐにわかり、どんどんできるようになっていくのですが、不器用な人はゆっくりと一歩ずつ、地道に積み重ねていくしかありません。

( 「器用な人と不器用な人」シリーズもご参照ください。)


私は自分が不器用ですから、不器用な人でもステップ バイ ステップで進んでいけるような技術の習得法をつくることができたらと思っています。





さて今回ご紹介したのは、対象とした筋を間接法によってリリースするため、拮抗筋のストレッチをするというものでした。

これが、カウンター(拮抗筋)にストレイン(この場合はストレッチ)をかける、カウンターストレインというテクニックの意味になります。


もしくは、特定のポジションをとって組織をリリースするテクニックという、ポジショナルリリースセラピーというものです。


ポジショナルリリースセラピーは、カウンターストレインが商標登録されている関係で使われている別称のようです。





カウンターストレイン(ポジショナルリリースセラピー)では、はじめに押えると飛び上がるくらい痛い圧痛点(ジャンピングポイント/テンダーポイント)を探します。


今回の前腕屈筋なら、手首または内側上顆の周辺に出現します。


続いて圧痛点をモニターしながら、それが軽減・消失する姿勢を探します。


今回の練習ではモニターがなかったので、自分の筋の感覚を頼りに行ったわけです。





圧痛点が軽減・消失する姿勢がみつかれば、一定時間(教科書的には90秒)そのまま保ちます。


その姿勢が、もっとも筋が弛緩するポジションということになります。


時間がくれば、ゆっくりもとに戻して、飛び上がるような圧痛点が軽減・消失しているかどうか確認します。





慣れてきたら、リリースを感じた時点で姿勢を戻してもかまいません。


圧痛点がなくなる姿勢を探すには、圧痛点が弛緩していく様子を感じとる必要があります。


筋膜リリースのところで、コンタクトした部位の弛緩を感じとる練習をしたことが、ここで生きてくるわけですね。


このようにカウンターストレイン(ポジショナルリリースセラピー)は、圧痛点を手掛かりに進めていくテクニックです。





今回ご紹介した技法は、筋紡錘の異常などによって筋緊張(筋トーヌス)が亢進している場合に有効です。


ただ、線維化などによって組織そのものが短縮している場合は、直接的にストレッチをして伸ばしていく必要があるでしょう。





次回は、関節のあそびを回復させるための間接法の練習です。


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ひとりでできる!!間接法の練習≪拮抗筋のストレッチ≫ その8

2012-03-31 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
今回は、関節運動を伴ったストレッチによる間接法の練習です。


ストレッチの間接法?何だかピンと来にくいかもしれません。


ストレッチの間接法ということは、伸ばすことの反対で筋を弛緩させるということになります。


だからといって 「筋の弛緩法」にすると、言いたいことはわかっても、具体的に何をするのかますますわかりにくくなります。


ですから、方便として 「拮抗筋のストレッチ」 と表現することにしましょう。


まわりくどいようですが、このように表現することで 「対象となる筋を縮ませて弛緩させるのだな」 というように、何をするのかわかりやすくなると思います。





関節運動を伴うということは動きが大きくなりますが、基本は筋膜リリースの時と同じです。


ただ、浅筋膜層の筋膜リリースでは、体表面を滑らせるとい平面上の動きであったのに対し、今回は立体的な動きになります。


また筋膜リリースでは、リリースしたい部位にコンタクトするので、組織の状態をモニターしやすかったのですが、ストレッチとなるとリリースしたい部位に直接触れません。


そのあたりが、ちょっと難しくなるかもしれません。





ではさっそく練習しましょう。対象は前腕屈筋です。


まず 「前へならえ」 のかたちをとり、指は伸ばしたまま、手首だけ反ります。



その時に前腕屈筋の緊張の度合い、あるいは動きのスムーズさを感じとり、左右で比較してください。


ここでは仮に、右手首のほうが反らしたときの緊張感が強い、または、動かしにくかったとしましょう。





イスに座りテーブルの上に右腕をつき、肘は曲げておきます。



反対側の左手で右手の甲を押さえ、手首を屈曲させます。



前腕屈筋を弛緩させ、拮抗筋である前腕伸筋をストレッチしている状態をつくるわけです。


そのとき、前腕の屈筋に意識を向け、じょじょに筋が弛緩していく様子を感じとるようにしましょう。


屈曲させる角度は、右手首に苦痛を感じない程度です。


屈筋側に異常があるなら、屈曲させることはむしろ楽だと感じるかもしれません。





続いて前腕を回内・回外し、手関節を側屈(尺屈・橈屈)させます。


右手の屈曲位を保ったまま、左手で操作して、前腕の回内・回外をします。


      ≪ 前腕回内/尺屈 ≫



      ≪ 前腕回外/橈屈 ≫



この時も前腕の屈筋に意識して、回内位・回外位の間でもっとも弛緩している角度を探し、そこで止めます。


身体を動かしながら弛緩するポジションを感じとる。


はじめはこのような操作を、難しく感じる方もいらっしゃると思います。


よくわからなければ 「だいたいこんな位置かな?」 でかまいません。





最後に、手関節を回内・回外して回旋します。


          ≪ 回内 ≫


          ≪ 回外 ≫



これまでと同じように、もっとも弛緩している角度を探すわけですが、これは微妙な感じかもしれません。


わからなかったら、パスしましょう。





さて、これで屈曲・側屈・回旋方向の立体的なかたちで、筋肉が弛緩するポジションをみつけることができました。


このままの状態で90秒ほど待ってみましょう。


時間の単位は筋膜リリースでも目安とした、カウンターストレインの方法を参考にしています。





その間、右前腕屈筋の状態をよく感じとっておいてください。


温かくなってくる、ゆるんでくる、そんなリリースの感覚を感じとることができるでしょうか。


わからなくても、とにかく集中してください。


この努力を繰り返すによって、少しずつ感覚が養われていきます。





90秒経ったら、ゆっくりと元に戻します。


このとき右手の力ではなく、左手の力で右手を動かして戻します。


ほんとにゆっくりゆっくり戻しましょう。


それがポイントです。





はじめの位置まで戻ったら再評価です。


再び「前へならえ」のかたちをとり、指は伸ばしたまま、手首だけ反りましょう。



右前腕屈筋の緊張や、動かしにくさが少しでも改善されたでしょうか。


とくに症状を持っていなければ変化はわずかしか感じないかもしれません。


それでも、感じとることができればまずは成功です。


(次回に続く)
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ひとりでできる!!間接法の練習≪筋筋膜リリース≫ その7

2012-03-24 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
ステップ3 多方向へ同時にリリースをかける

前回までは手背部浅筋膜の筋筋膜リリースによる間接法を、中枢⇔末梢、橈側⇔尺側、時計まわり⇔反時計まわりの6方向に分けて練習しました。


今回は、より実践的な練習として、それらを一緒に行います。


多方向に同時に筋膜リリースを行うわけです。





左手背の上に右指をのせ、中枢⇔末梢、橈側⇔尺側、時計まわり⇔反時計まわりのどれからでもかまいません。


順に動かしてもっとも動きやすく、ゆるむ方向を特定します。







たとえば、はじめに中枢⇔末梢方向を比較して、動かしやすいのが中枢方向ならそちらに動かします。


そのまま橈側⇔尺側方向を比較して、動かしやすいのが尺側方向ならそちらに動かします。


さいごに、そのまま時計まわり⇔反時計まわりを比較して、動かしやすいのが時計まわり方向ならそちらに動かします。


もともとわずかしか動かしませんが、それでも各方向によって動かす量の大きい小さいは出てくると思います。





こうして中枢+尺側+時計まわりという、筋膜が滑走するすべての方向に間接法による操作が加わりました。


局所的ですが、より患者さんの状態に合った、精度の高い刺激を加えることができたわけです。





そのまましばらく待っていると、モニターしている組織がさらに柔らかくなるなど、リリースの反応が起こってくると思います。


リリースが確認できたら、いちど元に戻してそれぞれ抵抗の強かった方向に動かして、動きを確認してみてください。





3つの方向に動きを改善させることができたでしょうか。


もしかしたら、先ほどとは異なる方向に抵抗の強さを感じるようになったかもしれません。


一度リリースの反応があったからといって、その組織がすべてリリースできているとは限らないのです。





もう一度、これまでと同じ手順で間接法を行ってみてください。


先ほどとは、より動かす方向とその量が変わっていると思います。


終了したら、再評価してください。


より動きは改善しているでしょうか。


こうして、少しずつきめ細かいアプローチができるようになっていくのです。





ここで間接法を用いる上で、覚えておいていただきたい大切なことをお話しします。


間接法は通常、6方向の組み合わせの中からもっとも動きやすい方向に動かしていきます。


今回なら中枢⇔末梢、橈側⇔尺側、時計まわり⇔反時計まわり方向、ほぼ平面上の二次元の操作でした。


関節なら屈曲⇔伸展、右側屈⇔左側屈、右回旋⇔左回旋の組み合わせとなり、立体的な三次元の操作になります。


複合された方向へ操作するとなると複雑になっていきますから、間接法を練習していても、なかなかできるようにならないという方もいらっしゃいます。





上手くいかない原因はリリースできるポイントを、ただやみくもに探しているため、きちんと探し出せていないかもしれません。


そのようなときには今回ご紹介した手順のように、多方向にリリースを書ける場合でも、操作段階ではそれぞれの方向に分け、最も動きやすい方向をひとつずつ探しながら進めていくようにするとよいでしょう。


その方が確実ですし、やがて上達するにしたがって、もっとも動かしやすい方向を瞬間的に判断していく感覚も養うこともできます。





次回からは、関節運動を伴ったストレッチによる間接法の練習に進みます。
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