ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

アプトの道を行く(安中を訪ねてーその3)

2017年09月08日 19時45分51秒 | 風物・光景
今回は「アプトの道を行く」と題して、碓氷峠を越えた旧碓氷線跡の探訪です。

安中市に住む友人は、碓氷線を案内するインストラクターの資格を持っています。
史跡を訪ねる人にそこの歴史やいわれなどを説明して、理解の助けとなる事をボランティアとして行っているのです。
彼の案内で旧碓氷線の各所を見て回りました。

碓氷峠鉄道遺産は安中市の重要な観光資源でもあり、鉄道の技術や文化を後世に伝える教育資源でもあるのです。
まず向かったのは旧信越本線の横川駅からほど近い丸山変電所です。
此処です。

碓氷峠を越える電気機関車に電源を供給していた変電所です。
レンガ造りのとても古めかしい建造物です。綺麗に保存されていました。
この変電所の建物は一般公開される日が決められているそうなので、私たちが訪れた時には建物内部を見ることは出来ませんでした。
窓から覗いた限りでは、当時の変電設備などの機械類はは撤去されていて内部にはそれらの土台が残るのみでした。

碓氷線は特殊な登山鉄道を除いた一般の鉄道路線の中では、急な勾配があったことで知られています。
最大の傾斜3.8度あったそうです。
線路のの傾斜を表すのにはパーミルと言う表示をするのが普通だという事をインストラクターの友人より教わりました。
パーミルとは千分率の事だそうで、それによると碓氷線は、最大で 66.7 ‰(=66.7/1000, 約 3.8 度)という急な勾配だったそうです。
ちなみに私たちが歩いた遊歩道から見た線路の勾配を写真に撮ってみました。
私が持参したカメラには電子水準器の機能が備わっていて、簡易的ながら水平を保つことが出来るのです。
その時撮った写真をCADに読み込ませ、角度を測ってみました。
次のものです。


それによると3.2度の傾斜である事が解ります。


65‰の勾配票が線路わきにありました。

鉄道にとっては、かなりきつい傾斜という事なのです。

さて、次に向かったのは碓氷線の最大の観光名所の「めがね橋」です。
レンガ造りの鉄道橋です。


現在は線路が撤去されていて、その鉄道橋の上は遊歩道となっています。


旧碓氷線の鉄道遺構は橋やトンネルを含めて、そこを歩いてゆくことが出来ます。遊歩道になっているのです。
ですが私たちは、車で来ているので歩きならば、出発点の車を置いたところまで戻らねばなりません。
ロートルなので片道さえも難儀なので、往復はとてもスタミナに自身がありません。
そこで、次の見学地まで車で移動しました。
最後に向ったのは、「熊ノ平駅」の遺構です。
この場所についての案内板がありました。


そして、そこにも変電所跡がありました。
建物は古ぼけてはいますが、送電のケーブルなんかもそのまま残っていました。



碓氷線は市街電車を除けばわが国で初めて電化された幹線だそうです。
急な路線に鉄道を走らせるのには、多大な苦労があったとの事です。
それらの、先人の工夫と労力には敬意を払わねばならないでしょう。

今回は汽車が碓氷峠を昇るためにアプト式という優れた仕組みを見学してきました。
非力な蒸気機関車でも、歯車の一つ一つをかみ合わせて確実に前進してゆく方法でした。

人の日々の生活にも急坂を上っていかなければならない時は、どんな人にもあると思います。
そんな時前進するためには、アプト式のような仕組みをその人自身が考え出して、進んで行かなければならないのでしょう。
アプトの道を見ながら、そんな事を感じました。

次回に続く

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