バイクと映画とひまつぶし

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「ダリ」って、だれ?(その1)

2016年12月13日 19時02分36秒 | 美術展 アート
12月の初め上京の折り、お上りさん気分で、ダリ展を観てきました。
ダリと言えば、だれ?と言うオヤジギャグは冗談でして、まじめな美術ファンには怒られますね。
とにかく、大勢の入場者でごった返しておりました。

私がが入場するときの待ち時間が10分でしたが、2時間後に出てきた時の待ち時間は50分にもなっていました。
それだけ人気のある現代美術の大家という事なのですね。

年代を区切った作品の展示がされていました。初期の作品は当然のことながら、私たちが良く知っているダリの非現実を描いた作品とは違っていました。

それらを見ると画家としてのダリの絵の特徴は、技法的な面から言えば、そんなに変わった技法は使われてはいないという感じを受けたのです。

例えば次の二つの絵を見てもらいましょうか。



この絵は、映画「デステイ―ノ」のための習作 と題されたものです。
そこに描かれている物の奇妙さはありますが、絵の構図としては、ごくあたり前の古典的構図です。
水平線の方向に延びている二つの道の遠近法的配置、そして左右に置かれた物体の配置の対称性。
水平線のかなたの空の白さと上空の青さ、・・・などを見ると、全く危なげのないセオリー通りの絵画技法と見て取れます。

次の絵はどうでしょうか。

この絵は<謎めいた要素のある風景>と題されたものです。描かれた対象の配置には全く不自然さを感じることはありません。この絵を見ていて思ったことは「どこが謎めいているのだ」と思ったほどです。
しいて言えば、絵を描いている画家が描かれていることが「謎めいている」ことなのでしょうか。

私たちは、シュルレアリスム画家としてダリを知っておりますが、実はダリは絵画技法の面でいえばそんなには「シュール」ではなかったのではないだろうかとも思えるのです。奇妙なものを描く方法をダリは採っていますが、その表現はあくまでも写実的であり、古典的な技法でした。それゆえ、現在私たちが違和感なく作品を観ることが出来ます。また、一般的な美術愛好者などに受けている所以だと思います。

そもそもダリがシュルレアリストとして知られるようになったのは、当時シュールレアリスム運動を担っていた芸術家たち、とりわけ、ルイ・アラゴンやアンドレ・ブルトンらの詩的、文学的な芸術運動に触発され、彼らの同調者になっていったのですが、ダリはその後シュルレアリスト達と意見が合わず彼らから離れていったことがあったようです。

「シュルレアリスム宣言」を書いたアンドレ・ブルトンはなどは言ってみればゴリゴリのシュルレアリストですから、ダリとはソリが合わないようになっていったのかもしれません。
ダリの絵画を見ていると、何となくシュールレアリスト達が求めるものとは違う傾向があるなと、感じました。
それは、どうゆう事かと言いますと、ダリが描く絵の対象物は、確かに「超現実的」ですが技法的には「超現実的」技法ではありません。
現代美術作家が描く抽象絵画に見比べると、むしろ古典的と思えるのです。

さて、シュルレアリスムは日本語では「超現実主義」と訳されています。
「超現実」と言うからには、何かが、または全てが「現実」から「超えて」いなければならない訳です。

一般に私たちは「超現実」と言う言葉から思い浮かべるのは、奇怪、超常、不思議、不可解などの観念です。
そのような意味でいえば、「超現実主義」は1920年代のヨーロッパを中心とした「芸術運動」だけではないと思います。
奇怪な妖怪画を描いた水木しげるや幽霊画を多く描いた画家もわが国にはおります。
ですが、そんな画家たちを私たちは「シュルレアリスト」とは言いませんよね。

さて、話は変わりますが、いま手元に次の書籍があります。


この本は白水社Uブックスというシリーズもので、海外の文学作品を紹介したものですが、この中に「小説のシュルレアリスム」と銘打たれたものがあります。
25年も前の物でしたが、この中で二人の作家の物を所有しておりました。
25年前に読んでみても解らなかったのですが、今また眼を通してみても、やはり解りません。
これ等の作家は言うならば生粋の「シュルレアリスト」であって、ダリは少し彼らとは違うな、との感じをを持ちました。
ちなみに、これらの小説と作家の名前を挙げておきます。
画像左の「異端教祖株式会社」がギヨーム・アポリネール、右の「水蜘蛛」がマルセル・ベアリュです。
シャンソン「ミラボー橋」はアポリネールの詩に曲を付けたものです。


余談はさておき、、私が興味を持ったのは、ダリのシュールレアリスム画家としてよりも映画の方でした。
「アンダルシアの犬」と「デステイ―ノ」という映像作品です。
これこそがシュルレアリスムと言う作品でした。

これについては、また別の機会にしたいと思います。
きょうの記事で使っている画像は、ダり展でのパンフレットなどからの転載です。
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