ひびのあわ

ゆりかごから箱庭へ

無題 19

2016-12-20 19:38:09 | 日記




小さな部屋のワンルームのベランダで、ライターに火をつけてタバコを口に咥えて深呼吸をする。溜息みたいに白い煙を吐き出すと、生活とか今までのことや、あの日のこと、一緒に吐き出されていく感覚に陥る。
なんてことはない、どうしようもない生活というものに日々背中を無理矢理押されている。満員電車で乗り換えの時に、降りるつもりもないのにぐいぐいと背中を押されているような、そんな感覚。生きている。こんなどうしようもない生活を。誰かと接触すればとてつもなく内側のやわらかいところがべりべりと剥がされていくような、そんな感覚。煙草は苦手だから、深呼吸するとむせてしまう。電子タバコのリキッドはきれてしまった。こんなどうしようとない夜は、暗闇からなにかが襲ってきそうだ。買ったと思った人形は、夢のなかの話だった。あのとき話したことも、川を隔てた向こう側から呼ばれて駆け出した頃のこともぜんぶ夢なのだろうか。ああ、こんなこと考えたところで何もならない。どうしようもないからまた溜息をつく。むせる。この繰り返し。東京でも星が見えるのですね。雲は橙色をしてます。月は綺麗です。東京の片隅に生きる、なんてことのない人の物語。



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