考えるのが好きだった

徒然でなくても誰だっていろんなことを考える考える考える。だからそれを書きたい。

基礎力と戦略

2010年02月16日 | 教育
 スポーツの場合、勝つためには体力や技術力などの基本的な能力と、作戦などの戦略が重要だろう。小学生レベルからプロレベルまで、それぞれに基礎力と戦略があろう。
 しかし、同じ基礎力と言っても、小学生の基礎力とプロの基礎力は全然違うだろう。ただ、ここで言う基礎力とは、ボールを自分の思ったところに飛ばすなどの力だったり、思った通りに素早く動けたり、などの力だったりする。また、戦略もレベルによって大いに異なり、高い戦略を用いようと思ったら、高い基礎力も同時に必要にもなる。理想的なのは、十二分の基礎力の上に戦略を持つと言うことだ。
 ただし、ここで、ちょっと考える。
 もしも、同じレベルの基礎力を持つ相手との対戦ならば、基礎力をより高く伸ばす努力をするより、戦略を工夫した方が即効性がある勝ち方ができるだろう、ということだ。たぶん、これに同意しない人はいないと思う。策を弄せずとも基礎力で勝てるのは、その差が圧倒的な差である場合だろう。
 さて、もし、あなたの相手が同じ程度の能力の持ち主だったらどうだろう。おそらく、戦略を重視するはずだ。
 やっとここで、話の前提が整った。
 同じことが勉強についても言えるだろうと言うことだ。
 これが、最近とみに増えてきた「問題の解き方」の類の問題集や参考書がこれである。読み方を指南していないとは言わないが、解説の何割かが問題の解き方という視点で書かれている。その問いを解くためにはこれこれの知識が必要である。解けなかったら、これこれの復習をしなさい、という類でも良いだろう。それで、今これを読む人中でも、かなりの方はそこに問題を感じないだろうと思う。
 結論を言うと、勉強をしても出来るようにならない生徒の多くは、スポーツで言うと、基礎力を鍛えることが二の次になって、戦略をどうするかばかり考えているということである。深い思考なしで小手先の技術ばかりを鍛えている。おそらく、目先の点は取れるようになるだろう。小テストの点は上がるだろう、定期試験の点は取れるだろう、低学年次の範囲のある程度決まった模擬試験の点も取れるだろう。しかし、何がどのようにどこから出るのかわからないような試験となると、お手上げだろう。あるいは、出題傾向が少し変わっただけでお手上げになるだろう。
 ふつーの考え方をすれば、目の前の1点を取る努力を続けていけば、遠い先の目標に到達できるというものだ。しかし、実際は、そうでなかった。目の前の1点が、基礎力を充実させるものであるならば、遠くの目標に続いていっただろう。しかし、単なる戦略としての1点でしかないことが多い場合には、決して遠い目標に到達しないだろうということだ。
 大昔だが、私の親の教え子で、物理の公式を覚えてないのに物理はいつも100点だったという生徒の話を聞いたことがある。(いやらしい言い方だが、ストレートで東工大だから信じて良いだろう。)その生徒は、試験の時に、その問題にふさわしい公式をその都度導き出していたらしい。公式を導き出すのは基礎力である。公式を用いるのは戦略である。更に、「解法」を用いるのは、更なる戦略であろう。圧倒的な基礎力の持ち主だからこそ、難問も解けたのだ。単なる「解法」としてだけの理解で難しいひねった問題は決して解けないだろう。
 今の教育で欠けているのが、こうした基礎力の育成だろう。似たような偏差値、似たような能力の持ち主同士の勝負は、戦略で決まることが多いから、戦略を磨こうとする、そんな指導が多いような気がする。たぶん、どんな能力の生徒についても、同じような指導法を取っていると思う。だから、「圧倒的な基礎力」で相手を打ち負かすような生徒が育ちにくくなっている。これは、総じて言えば、どんどん平均的な学力が低下していくということに繋がる。

 うん。こう考えると、いろんなことがとてもよく理解できる。
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2 コメント

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Unknown (学力向上委員長)
2010-02-21 23:23:23
いつも楽しく拝読しております。
先生のお考えに賛同です。
「圧倒的な基礎力」を獲得するには
先生はどうすればよいとお考えですか?
基礎力 (ほり(管理人))
2010-02-22 00:17:26
学力向上委員長さん、ご訪問&コメントをありがとうございます。

基礎力は、めんどー臭いことを忌避せず、手間暇かけることを厭わず、うんうん唸ることで獲得するものだと思います。今日の無駄は明日の余剰、未来の豊かさです。
これは、昔も今もいつも変わらない事実だと思います。

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