弁護士公認会計士 横張清威のニュース斜め切り

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1円売却(債務超過会社の譲渡)

2013年06月17日 | M&A

実務では1円で会社が売却される事案も散見される。


というのも、会社が債務超過となってしまうと純資産はマイナス、つまり当該債務超過会社の株式は、純資産ベースでいうと負の資産とも評価できるのである。
我が国には債務超過の会社は多数存在する。
そのような債務超過会社を買いたいと思う人はいないのではないかと思うかもしれないが、実際には当該債務超過会社が有しているノウハウに着目し、買収後のシナジー効果を見込んで債務超過会社を購入するというM&Aもしばしば見られる。

1円で債務超過会社を買うのであるから、わざわざ費用を支払ってデューデリジェンスを実施する必要などないと思うかもしれない。
しかし、意外とこのような案件でデューデリジェンスを依頼されるケースは多い。

というのも、債務超過会社を買収して、放置しておけば利益を生むなどということは起こりえない。
実際に利益を生ませるためには、不採算事業の縮小、リストラ、コストカットなどを徹底し、当該債務超過会社のブラッシュアップを行う必要がある。

当然のことながら、これらの作業には多額の費用がかかることになる。
また、債務超過会社の負債項目には通常多額の長短借入金が計上されており、これらの支払についても買主が行わなければならない。

つまり、1円で債務超過会社を購入するということは、何千万円という多額の投資を行った結果、それ以上のリターンを期待するという投資活動なのである。
そのため、投資対象である債務超過会社に予想以上の問題(簿外債務や法律上の問題点)がないかにつき検討する必要があり、1円でのM&Aについてもデューデリジェンスが実施されるのである。

実際に合った事例として、経営不振会社の買収につきデューデリジェンスを実施したところ、簿価純資産は一応プラスだったものの、修正後純資産は大幅にマイナスとなったケースがある。
一般的に、デューデリジェンスを実施すれば、資産の含み損や引当不足が判明し、簿価以上に純資産のマイナスが積み上がるものである。
しかし、これらのマイナス要素を勘案したとしても、それ以上のシナジー効果が期待できるのであれば、M&A契約は締結されることになる。
実際に、買主は問題点を全て把握したうえ、当該会社を1円で買収した。

なお、このような債務超過会社の買収案件では、問題が発覚したときに売主に賠償請求をしたとしても、何も被害回復されないおそれが高い。
そのため、M&A契約書の表明保証条項などに期待するのではなく、通常よりも深くデューデリジェンスを実施して対処しなければならない。

 

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