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【小説】「パスク、あの場所で待っている」第35話

2017年06月20日 11時11分10秒 | 小説「パスク」(連載中)
 意識が戻った翌朝。キョウコが宿を出たのを見計らってか、ある人物がひっそりとこの部屋を訪ねた。キョウコ以外は知らないはずなのに、見つけだすなんて仕事はしっかりとやっているみたいだった。
「でも、良かった……。パスクさんが無事で」
 ここを見つけたことには感心した。しかし、本気なのか、ウケ狙いなのか、可愛らしい声を出す。だがそれが、子供っぽいコトミだしな……。
「お前は、助けてくれないのか?」
 相変わらず、床に伏せていたオレの横に、今にも泣き崩れそうなコトミが寄り添っていた。
「だって。あたしたち監視員は候補者に対しては、手助け禁止なんだもん。瀕死だったとしてもできないの」
「非人道的だな……」
 節々の痛みを抑えながら起き上がってみた。思っていたよりかは、痛みがなかった。
「そんなことをしたら、参謀総長に怒られるだけじゃすまないよ。なにをされるか……」
 コトミは怯えた目で訴えてきた。相当の処罰が待っているのだろう。
「でも、安心して。またパスクさんが瀕死状態でも絶対に助けないから!」
「大丈夫だよ。その時は化けて出てやるから」
 手首を垂らし、声を細めながらコトミに近寄った。
「やめて! 夜、一人でトイレに行けなくなる……」
「子供だな……」

 まだ外には出ていないので、具体的にここがどこだか分かっていない。騒がしくないところをみると、それほど大きな街ではなさそうだ。
「でも、ピーノは失格処分になると思うよ。決着がついた後でも、それが原因で仮に瀕死でも追いやるとルール違反だし。そうなった場合は、無効試合になるからあの敗戦は記録されないはずだよ」
「それは、別にいいんだが……」
 だが、負けた事実は消せやしない。
「いろいろ聞いた情報だと、ピーノはずっと無敗で勝ち続けていたみたいだよ。プライドが高そうだし」
 さすがに今回は心が折れた。愛剣もあんな重量のある剣で対抗してせいで、二つに折れていた。キョウコが一緒に拾ってくれたが、その時に負けた事実を受け入れるしかなかった。
「オレは自信をなくしたよ……」
「じゃあ、辞めれば? 命があるうちに」
「お前なぁ……。簡単に言うなよ!」
「じゃあ、続ければ? どうせ辞める気なんてないんでしょ」
「……まあな」
 こんな事をコトミに言われるとは、思わなかった。
「まずは、この折れた愛剣を直さないとな」
「自分の体を治すのが先じゃないの?」
 コトミにそれを突っ込まれるとは思わなかった。
「余計な心配だよ!」
「その元気があれば、大丈夫ですけどね!」
 今日のコトミは、不安で心配しているのか、弱っているところを突いてやろうとしているのかよく分からない。


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