翻訳屋さんの日記

駆け出し翻訳者の日常です。

翻訳支援ツール

2005年08月03日 | お仕事
今週は仕事以外にも忙しくて、早く仕事を仕上げなきゃ!と昨日から必死こいて仕事してます。明日1日用事で出かけたいのと、出来たら金曜は別の仕事をしたいので、それまでに手持ちを終わらせないと。・・・なんて焦っていたら、使用していた翻訳支援ツールがダウンしてしまいました。あーー時間がないのに!

・・・という事で、ふらふらとブログでも書こうか・・・という所です。

この翻訳支援ツール。有名な所ではTradosがありますが、最近は似たようなソフトがたくさんあります。Tradosは、かなりお高いソフトなので、収入の見込みがないとなかなか手が出せない、でも、翻訳会社によってはこのソフトを持っていないと仕事をくれない。。。という悪循環もあるようです。

特にITの分野では、こういう支援ソフトを使わない仕事は最近では無いのではないでしょうか?

Tradosは嫌いな人は嫌いなようですが、私はそこそこ気に入っています。まず、訳抜けがないこと。タグの保護がしっかりしているので、間違って消してしまうことがないこと。それと、他の人、特にReviewerの訳が見られること。

翻訳会社によってはフィードバックがある場合もあるのでしょうけれど、私の取引しているところでは、トレーニーの人(翻訳見習い)以外はフィードバックはありません。なので、TM(翻訳メモリ)で自分の訳がどのように修正されたかを見るというのは、結構勉強になります。

今、Tradosのフリーランス用のバージョン6.5では、メモリは各自が所有して、メモリごとやり取りをしているのですが、Tradosも方向としてはメモリをサーバーで共有してリアルタイムに更新しようとしているようです。

現在使用しているソフトはこのタイプ。翻訳会社から支給されているソフトで、私が一つ訳をあげると、それが共有サーバーに自動的にアップロードされるという感じです。良い所は、最新のメモリを見ながら翻訳が出来るので、用語の統一が楽になること。それに、万が一、自分のパソコンにトラブルがあっても、メモリは別のサーバー上ですから、他の人に復旧してもらう事が出来ることでしょうか。幸い、今のところそのような悪夢はありませんが。悪い所は、今の私のようにネットの調子が悪いとサーバーとの接続が切れて翻訳を保存できなくなること。

家の中で無線LANを引いているせいか、時々調子が悪くなるんですよね。ま、息抜きの時間としていますが。。。

さて、そろそろ仕事に戻ります。

単語力

2005年07月31日 | お仕事
先ほど、英訳の仕事を仕上げました。うーーん、難しいですね。
日本語の表現に“こあくま系の美しさ”という表現が出てきました。どう訳したら上手な表現になるんだろう??と悩みながら考えたのが、

a little bit snobby but enchanting

です。
“こあくま”という表現から思い浮かぶ印象は、2つ。一つは、とってもかわいらしくっていたずら好きな感じ。なんとなく少年漫画とかに出てくる女の子のイメージ。もう一つは、とても高飛車な感じがあるんだけれど、どうしてもハマってしまう大人の女性という感じ。前後の文章から二つ目のニュアンスで使っているのだろうと判断して、上の訳になりました。

あと、今回の一連のエッセイの中でよく出てきたのが、“○○にはまっている”という表現。簡単に思いつくのは“crazy about”なんですが、日本語の“はまっている”の方が実は幅が広いように思います。

“crazy about”だと、“I'm crazy about her.”なんて感じに、もう他に目がいかないくらいの印象で使われる事が多いけれど、“はまっている”は、趣味にしている、今ちょっと注目している、くらいのニュアンスも含まれているように思います。口語で使われる場合なら、crazy aboutに近いかもしれませんが、文章となると、実はそうでもないけど“はまっている”を使う場合もあるような。違うでしょうか?

例えば、
“今、野球(の試合を見る事)にハマっているんです”を“I'm crazy about watching baseball games.”というと、なーんか違和感がある気がしませんか?
この場合なら、"I enjoy watching"くらいでちょうどいい感じかな?

そんな事をつらつら考えていると、やっぱり英訳をするにはもっと単語力がないとだめだなぁ。。。という事を実感しますねー。まだまだ修行が必要です。

英訳

2005年07月21日 | お仕事
昨日は、何とも暑かった!まるで日本の夏のようでした。
ここではたまに暑い事もあるけれど、長くても2、3日なので、冷房がありません。なので昨日の蒸し暑さはひたすら耐えるしかなく・・・。名古屋の夏を冷房なしで過ごした経験のある私はまだ何とかなりましたが(それでも辛かった!)、子供達が文句たらたら。夜遅くまで眠れなかったようです。

なので、昨日の夜に予定していた英訳の仕事は手を付けられず、結局今日やっています。

この仕事、エッセイを英訳すると言うものなので、英訳の仕方もいっぱいあって悩みます。原文にできるだけ忠実に、でもアメリカ人(かな?)にも伝わるようにと心がけながら、表現を考えます。例えば、「神秘的」とあれば和英辞典では「mysterious」とありますが、これはどうにもしっくり来ません。「mysterious」を英英辞典で引くと、「difficult to explain or understand」とか「you know very little about」という感じで、「理解不能」というニュアンスが強いんです。

なので、日本人の感じる「神秘的」は「peaceful」に近いのではないか?と。
どうでしょうか?ちなみに「peaceful」は「quiet and calm without any worry or excitement」という感じです。

この辺の語感を感じるには、たくさんの英語の表現を聞いたり、読んだりしないと難しい。和英辞典はヒントにはなりますが、英語で正しく表現するにはやっぱり英英辞典が必要。そのときのoptionの引き出しがたくさんないと、そこでいきずまってしまう。やっぱり、語彙力が少ないと難しいんだなぁという事を実感しました。日本に帰っても多聞多読を続けるには、どうしたらいいか方策を考える必要がありそう。

そんな感じで辞書を引き引きやっているので、時間も結構かかる!時間をかければ良いというものでもなくって、ちょっと休憩!なんてやっていると突然良い表現を思いついたり。英訳は(しかも文芸の)難しいけれど、結構楽しい。

アメリカに来て英語を再度勉強し直した時、冠詞や副詞の使い方が全然わからなかったけれど、これはだいぶましになっているようです。ちょっと嬉しい。

あとでネイティブチェックをしてもらうので、原稿がどれだけ修正されるか、楽しみです。ネイティブの思考はやっぱりネイティブに聞かないとわからないし、いろんな気づきがあると思うので。

でも、本当に英語と日本語は相性が悪いですよね。全然違うんだもん。日本語だと全然問題のない表現なのに、英語にするとどうも落ち着かない。日本語的に表現しても、絶対にわかりっこない!っていうものもあるし。私の中では、翻訳とは一つのイメージを別の言葉で表現する、という事だと思っているのですが、英訳をやるとこれがよくわかります。日本語を読んで、その言葉から受け取るイメージを頭に描いて、それを英語で表現する。和訳はついつい、英語から即!日本語、としているかのように思いがちだけれど、実は上手な翻訳者さんの翻訳はそうではないんですよね。

ちょっと気分が変わって、いろいろ勉強できた気がします。

今夜、もう一度見直してから納品します。

IT翻訳の実体

2005年07月13日 | お仕事
昨日は、きつきつのスケジュールでした。最初は納期が2日あったものが、先方の都合で1日に短縮されてしまったので、夜中までかかってしまいました。納品が終わった後、“もーーーー寝よっ!”とベットに向かったものの、頭が興奮状態でなかなか寝付かれず、結局2時すぎまで起きていました。

で、この仕事、実はとってもやりにくかったのです。というのも、翻訳対象が“単語”みたいなものなんです。もちろん、一定のテーマがある単語の集まりなんですが、前後の脈略もなく2、3語の単語のつながりを“適切に”訳すというのは、文章を訳すよりも難しい。

たとえば、
Note type
というものがあったら、“記号の種類”“注釈の種類”“手形の種類”“紙幣の種類”他にもありそう。Typeも種類よりもタイプの方がいいのかも知れないし。(ちなみに、これは私が適当に考えた単語です。)こんなのわかんないよー、と適当にやってしまえれば良いのですが、どーにも気になってしまう。フラストレーションがたまる仕事でした。

これまでにもUI(User Interface)のみという翻訳なんかもやったことがありましたが、今回のような短いものばかりというのは初めてでした。私の訳が実際にどれだけ採用されるのだろうか??と疑問に思ってしまいます。

IT翻訳、って結局“何でも屋”的な存在なんですよね。多分、翻訳の仕事をしようと思ったら、一番の近道はIT翻訳です。人気のある、医療翻訳とか特許翻訳、文芸翻訳などは、本当に大変だと思います。

IT翻訳は、まず仕事が多い。なので、私のように“できるだけユーザー向けの文書専門で・・・”なんて甘い事をいっても、それなりに仕事があるのです。その代わり、仕事の幅が広い。実は、“これはなぜ私に来たのだろう??”と疑問に思う医療関係の仕事もあったし、法律の文書なんかが来ることもあります。なので、いつでもファイルを最初に開く瞬間はどきどきします。

でも、これだけではいつまでも“駆け出し”の域を出られない、と感じています。まず、DTPが出来た方が仕事の幅が広がります。翻訳+DTPという仕事も結構多いのです。もうちょっと余裕が出てきたら、FrameMakerとかPhotoshopなんかもしっかりと使えるようになりたいと思っています。あとは、ファイルの変換作業にも精通する必要がありそうです。IT翻訳の場合、翻訳前のファイルの形式がたくさんあって、そのままでは翻訳出来ない(というか、不便)という場合がたくさんあります。それを、翻訳しやすいファイルに変換してから、翻訳作業に入ります。今はこの作業はすべて翻訳会社におまかせなんですが、最近、変換作業+翻訳という仕事も増えているようなので、勉強する必要がありそうです。

翻訳するだけでも、まだまだなのに・・・。先は長いのぉ。しかも、どんどん進化してるし。
がんばろう。

仕事はおもしろい?

2005年06月24日 | お仕事
昨日に引き続き、翻訳の仕事について、です。

どんな仕事であっても、“おもしろい”と思える仕事ができたら、とても幸せなことだと思います。翻訳の仕事の“おもしろさ”ってどんなものなんでしょう?そもそも、翻訳っておもしろい仕事なんでしょうか?

翻訳の一番“おもしろい”と思えるところというのは、言い表すことが難しいようなイメージを、うまく日本語で表現できたときでしょう。ただ、技術翻訳に限って言うと、こういう意味の“おもしろさ”は、残念ながらあまり多くありません。わかりやすく、正確に伝えることが第一の目的なので、詩的な美しさよりも、簡潔さ、明瞭さが問題になるので。

創造性のある仕事は、きっと“おもしろい”仕事だと思います。この点ではどうかというと、どうしても原文があるので、自分で文章を書くのと違ってあまり創造性は発揮できません。でも、原文が必ずしもすばらしい文章だとは限らないので、それをうまく言い換えたりして、原文よりもスバラシイ文章に仕上げるぞ!なんていう創造性はあります。

いろんな人と出会えることも、“おもしろい”仕事の要素でしょう。翻訳は、基本的に自宅が職場ですので、同僚はいません。取引先の人、同じプロジェクトに参加している世界中の面々と、メールでやりとりする事はあっても、会ったことのある人は一人もいません。ただ、大きなプロジェクトの場合、世界中に拠点があって英語のメールがびゅんびゅん飛び交ったりしますので、ある意味おもしろいのかもしれません。“妙な時間にメールが来ると思ったら、フランスチームかぁ。。。げ、日本人の人が返信してるよ。いったいいつまで起きてるんだろ?”“この人はいっつもリアルタイムでメール出来るんだけど、夜昼逆転してるよねー”とか、人様の生活を盗み見ているような気がしたりします。

こんな風に書くと、翻訳業って根暗で、つまらん仕事みたいですよね。

でも、私は結構気に入っています。
いろんな業界の事を調べていくと、雑学のように、直接役にたたない知識が増えるのもうれしい。何より、日本にまだリリースされていない情報ばかりなので、世の中がこんな方向に動いていくのかなーなんて、情報の先取りしている気分にもなれます。すごい事が出来そうな技術だったのに、その後全然噂を聞かないなーー、なんて振り返ってみてもちょっと楽しい。その後順調に世の中に認められていく姿を見ても、少しでも関わった人間として、嬉しかったりもするし。ささやかだけれど、自分の中で“してやったり!”と思える訳が出来ると、それだけでも鼻歌歌っちゃうときもあります。

それに何より、子供の姿を長く見ていられるのが良い。集中したい時に、まわりで騒がれるとたまらないのだけれど、それでも、彼らの姿を見ながら仕事出来るのはとても良い。おまけに、仕事している背中を子供に見せてあげられるのも良い。何歳になっても、学んでいく事が大切だという事を彼らには感じてほしい。

なんとなく、翻訳の仕事をしているというと、“とりあえず今だけなんでしょ?”“内職みたいなもの?”という眼差しを感じるので、結構楽しんでやっているんだよ、という事を書いてみました。

さて、今日の作業量は約1500ワード。明日はお休みになりそうです。

報酬の計算

2005年06月23日 | お仕事
翻訳の仕事は、1ワードいくら、という内職のような報酬体系になっています。

翻訳の仕事を家でしています、と言った時の相手の反応を見ると、“安いんだろうなー”と思っているであろうという事がよくわかります。まぁ、確かにそれほど高給は期待できませんが。しかも、文芸翻訳とかなら、世に自分の名前が載った本が出るという夢もありますが、技術翻訳は、いくら有名な会社の文書の翻訳をしても、名誉的なものは一切ついてきません。出来がよければ、また次もお願いね!と言ってもらえるくらいのものです。

で、この報酬、通常は事前に○○ワードくらいで、単価は○円でと言われるのですが、実はそんなにシンプルでもないのです。というのも、翻訳支援ソフトを使用して、前のバージョンの訳が提供されていたりすると、すでに一致している箇所については、対価がしはらわれない場合もあるのです。

逆に、100%一致する箇所も、再度確認してほしいという要望がある場合には、50%くらいの率で対価が支払われる場合もあります。例えば、前のバージョンのマニュアルに、“Changing the classification”という英語があり、その訳が“分類の変更”となっていたとしましょう。この英語がそのまま次のバージョンでも出てきた場合に、その訳はすでに分かっているので対価は払われない、という場合と、英文3ワードX単価10円X50%で15円が頂ける、なんて場合もあるのです。

もちろん、100%一致も確認するという場合は、既存の訳でも、見直して直すべきものは直さないといけません。

翻訳会社からファイルをもらう時には、トータルのワード数と新規ワード数、それに単価が伝えられます。新規かどうか、は1つのセンテンスあたり例えば70%以下の一致率(マッチ率といいます)は無視して、70%以上のマッチ率は、ワード数X(1-マッチ率)=新規ワード数として計算されます。
ややこしいですね。5ワードのセンテンスで、50%しか一致していない場合は、新規ワード数が5となり、マッチ率が80%の場合には新規ワード数は1となります。

とにかく、そういうややこしい計算をして、新規ワード数がだいたい1日2000ワード程度の作業量となるように日程を組んでくれる訳です。

で、だいたいの報酬額は想定して仕事をしている訳ですが、これがどうしたことか、時々、予想を上回る金額がいただけたりする場合があるのです。うれしい、うれしい。

予想より少なかった、という事はいままでなかったので、きっと100%マッチの分などの計算の仕方なんかがその違いになるんでしょうけれど、詳しい理由は未だにわかっていないのです。ま、まだ収入云々よりも、技術を身につけることの方が先という気もするし、予想より少ないという訳ではないので、“ま、そんな事もあるのかな、らっきー”と思って過ごしています。

1ワード8円から10円がたいていの相場なんですが、8円が一定の金額までちりも積もるのって、途方もない彼方のように思えますよね。それが、“安いんだろうなー”という同情?のまなざしの元でもあるんでしょうけれど。ははは。

さて、今日の作業量は約1500ワード。さて、おいくら?

最低60%保証

2005年06月05日 | お仕事
仕事が終わって迎える週末の、なんてすがすがしいこと!!
今日は朝も家族で一番遅くに起きて、一通りの家事が終わったらゴロゴロと。のんびり、というよりダラダラという表現がふさわしい一日。あーー久しぶり。

昨日の納品の時に、担当のマネージャの方に“ご迷惑をおかけしました”というような内容のメールを送りました。いろいろ考えても、自分で100%納得のいく仕事、とは言えないと思ったのです。その返信メールに、“またお願いします”と一言つけてもらえました。きっと、マネージャさんも私の守備範囲の翻訳対象ではないことはわかってくれていたのでしょう。この一言で、気持ちの中でむずむずとしていたものが解消されて、のびのびとした週末を過ごすことが出来ました。

プロの翻訳者に求められることは、“常に最低60%の出来が期待できる人”と聞いたことがあります。翻訳者も人ですから、どんな分野でもまかせなさい!という人などいるはずもなく、専門分野というものがあります。でも、常に仕事を受けていると、必ずしもこの範囲に入る仕事ばかりではないのです。それでも、どんな仕事に対しても最低でも“多少の修正を入れればなんとかなる”というレベルに仕上げられる事、も翻訳者として生きていくには必要な条件のようです。

今回の仕事では、恐らく、最低レベルには達していると判断してもらえたようです。本当に貴重な経験になりました。

私が現在主に取引している翻訳会社は、契約している翻訳者の人数も20名前後と少数です。翻訳会社によっては、1000名以上が登録して、実際稼働率は100名程度なんて会社もザラにあります。登録者を多く抱えれば、それだけ対象にあった人選が出来るのでしょうけれど、受ける側にしてみれば、たまーーにしか仕事が来ないのでは困ります。逆に、頼む方も常に翻訳者がどの程度の人なのか?が把握できていなければ、一定の品質を保つ事は難しいと思います。登録人数が少なければ、専門分野からはずれた仕事も受けてもらわないと困るけれども、仕事を長く続けていれば翻訳者のくせとか、レベルが把握できるというメリットがあると思います。

たまたまの縁で今の会社と取引させてもらっている訳ですが、これは私にとってとってもラッキーな事だったのかもしれません。これも運命というものでしょうか。縁って不思議ですね。

翻訳の種類

2005年06月01日 | お仕事
いくつか購読しているメールマガジンの中に、とある翻訳会社が発行しているものがあります。その会社は金融・経済を専門にする会社です。そもそも、私の経歴からすると、この分野を専門にしたいところなんですが、今の所はIT翻訳がメインになっています。(国家資格が泣いている?)

で、このメールマガジン、今回は、翻訳者さんの日常のようなもののアンケートがありました。その中で、一日の処理量はどのくらい?という質問がありました。で、実際は一日に1500から2000ワードだけれども、4000ワード!位は処理できないと・・・と考えている、というような答えでした。

4000ワード!!

実感からすると、無理ですねー。
・・・といっても、翻訳の対象によって3000ワード近く出来るものもあれば、1000ワードだってキツいものもあるわけです。あんまり数をこなすことを考えても、結局、納得のいく翻訳は出来ないし。あ、それが出来る超人的な人もいるかもしれませんね。

ただ、翻訳家として一家を支える!となると、その必要性はあるのかもしれませんが。

金融翻訳は、IT翻訳とはちょっと質が違うので、感覚からすると2000ワードだって、結構難しいんじゃないでしょうか?Glossaryがどの程度あるかにもよりますが、私が受けたものは、“用語集はありませーん”というものばかり。

で、このメルマガは何を言いたいのだろうか?と考える訳です。

私の試算によると、翻訳業で達成可能な年収、というとだいたい4百万円くらいです。主婦のかたわら得られる収入としては、まずまず。ただ、一家を支えるとなると、苦しいというレベルです。これを超えるとなると、ものすごいスピードと品質とたくさんの取引先を確保する、自分で直取引する、副業を始める、翻訳会社を作って人にやらせる、のどれかしかありません。

いずれにしても、翻訳会社がメルマガで“これだけのスピードが必要ですよ~”と翻訳希望者におどしをかける必要はあるのでしょうか?

私の邪推によると、この翻訳会社には付属の翻訳スクールがあります。“こんな大変な事、一人じゃできなーーい”と思った翻訳希望者に、スクールに入れさせることが目的なんじゃないでしょうか。

私はこういう通信教育とか、受けたことがないのでわからないんですが、あまり良い噂を聞いたことがありません。翻訳業は職人技ですから、誰かに手取り足取り教えてもらうのではなく(教えてくれるかどうかわかりませんが)、上手い人のかくれた技をこっそり盗み取っていくしか上達の方法はないのでしょうね。

がんばろっと。
今日の作業量は約2000ワードでした。




英語の上達(その2)

2005年05月29日 | お仕事
土曜日の今日は、長男のT-Ballの練習がある予定だったんですが、なぜかお休み。せっかくなので、ダンナとテニスをした後は、家族でのんびり過ごしています。

昨日もたくさん書いたけれど、せっかくなので勢いで書いてしまおう。

自分の話になってしまいますが、アメリカに来た当初は、まだ次男が生後数ヶ月。日本では育児休暇中でした。初めての海外生活、英語も勉強したいし、こっちの生活も楽しんでみたい。でも現実は、次男の世話と、日本では毎日保育園に通っていた長男も、週に3日しか行けなくなり、逆にずしっと子供達の重みがのしかかります。

結局、毎日の生活に流されて、当初の決意はどこへやら、たまに子供とテレビを見たり、週に2回英語のクラスに行くのがやっとでした。

そんな生活が2年になろうかとしていました。友人も増えたし、英語を使う機会も多少は増えて、恥もいっぱいかいて、高校生の頃に記憶して以来、なかなか開かなくなった引き出しがようやく開くようにはなりました。それでも、所詮、日本の高校生レベル。わかっているようで、よくわかってない状態です。

でも、生活するにはそれで十分で、何の問題もありません。

アメリカ生活が2年になろうとする頃、ようやく次男も保育園に通わせられるようになって、よーーーやく、さて、何しよう?と自分と向き合う時間が持てるようになりました。

そして、思いついたのが翻訳です。
早速、Webで募集のある翻訳会社を探し、片っ端からトライアルを受けてみようと思いました。

結果は、合格した所もありますが、落ちた所の方が多く、レベルとしてはどうやら合格ラインのぎりぎり、より少し下という所のようす。でも、ここで気が付いたのです。このレベルでは、仕事をもらえたとして、早晩失敗をして干されるに決まってる。自分の理解に、しっかりと芯がない事に気が付いたのです。

そこで、トライアル受験はしばらくやめて、本気になって勉強してみようと思いました。

この時、初めて目標が決まりました。翻訳の仕事が出来るレベルの英語力を付けること。目標が決まると、自分に欠けているものが何かがわかります。そのためにどうしたらいいのか?日本の書籍を買いたくても、送料もばかにならないし、主婦ですから、投資にも限界があります。

この時、自分に欠けていたのは、しっかりとした文法の理解です。文法といっても、○○法の××構文、なんて名前を覚える必要はなく、一つの英文を見たら、その意味するイメージが確実に描けるようになる事、でした。

まずは、自分の描くイメージが、上級者と比べて、どれだけずれているか?を知るために、上級者の訳と見比べる必要があります。さて、どうしよう?

私は、そこで無料のメールマガジンを選びました。英語のメールマガジンは掃いて捨てるほどありますから、とりあえず片っ端から購読して、上級者の訳に触れることにしました。文法を解説しているものもたくさんあります。メルマガは双方向の情報交換ですから、発行者もそうそう下手な事はかけません。購読者からの間違いの指摘があったりして、その方がかえって記憶に残ったりします。

一日に届くメルマガが30通以上。それに、テレビドラマや映画など、一日のほとんどを英語の理解のために費やしました。数ヶ月後、ようやく英文のイメージにぶれがなくなって、イメージ出来ない英文がほとんどなくなり、翻訳の仕事を始める自信が持てました。

今でも、“この用法を何というか?”と問われたら答えられませんが、英文の理解力は格段に違っているのがわかります。そして、英文和訳と意訳と翻訳、の違いも実感するようになりました。さらに副産物として、英文を書く力も上がったし、話す時も、文法を意識して正しい英語表現を心がけられるようになりました。

結局、英語の上達には文法の理解は欠かせません。それは決して○○用法という言葉自体を覚えることではなくって、たくさんの英文に触れて、辞書を引いて、相手と同じイメージを共有できること、です。これには、たーーーっくさんの英文を読むことが大切。

さらに、日本語とはまったく違う英語の発想を意識することも大切。このためには、テレビドラマや映画などが一番おすすめ。Subtitle(英語字幕)を付けて目と耳の両方から英語を聞き取るのは、とてもいい勉強になります。

そして、話す練習にはシャドーイングといって、聞いた言葉をそのまま真似する練習をします。ドラマを見ながら、言えそうなセリフをつぶやいてみる。他の人に見られると気持ち悪いですから、一人の時にやってみましょう。

そして、このすべてを実行すると、単語力はあとから付いてきます。テレビや映画を見る時には、電子辞書(この場合は英和辞典でOK)をお供に、気になる単語は即チェックです。

辞書は英英辞典が一番です。私はLONGMANを愛用していますが、英語の単語の本当の意味を知るには、英英辞典しかありません。実際の翻訳の仕事でも、英和辞書の表現ではどうしてもしっくり来ないものが、英英辞典を見ると、なるほど!という事もたくさんあります。

そして、自分の実力を知るためには、5、6歳児向けの絵本を読んでみてください。難しい英文は、わからなくても、“こんなの普通の表現じゃないよ”なんて言い訳したくなるものです。子供向けの絵本の英文をなめてはいけません。英語をしっかり理解していないと、絵の助けがある児童書だって“読め”ないのです。言い訳をなくすために、かんたんな絵本を選ぶ必要があります。

このすべてを実行するには、時間がかかるし、なにより強い、強い意志が必要です。だから、目標がなければ続けられない、と思うのです。

逆に、目標がない、という事は、必要性がないという事なのですから、英語なんてわからなくても大した問題ではないのです。日本人は、○○が劣る、といわれると、なんとなく何とかしないといけないような気になるようですが、そんなに自虐的になる必要はないのです。英語を何とかしたい、と差し迫れば、数ヶ月でも何とかなるものなのです。そして、英語を使う必要性のある日本人の英語に対する理解力は、かなり高いレベルと言えると思います。(私も早くその仲間入りをしたいものです。)

私の使った英語教材は、テレビや映画のDVD、メールマガジン程度ですから、映画を見るのが趣味な私としては、費用も大した金額ではありません。

おすすめの番組は、「フレンズ」です。ストーリーも楽しいし、ジョークもあって、スピードも速すぎません。一度でわからなくても、何度見ても楽しいので、勉強としてはもってこいの教材です。

あとは、まだDVDにはなっていないのですが、「Judging Amy」がなかなか良い表現が揃っています。子供のいる身としては、参考になる事も多くて、楽しいドラマです。DVDが発売になったら、ぜひ、チャレンジしてみてください。

英語の上達(その1)

2005年05月28日 | お仕事
先ほど、今週の仕事を納品しました。今週はまずまずの出来だったんじゃないかと思います。先週の仕事はちょっと悔やまれるけど・・・。今日の仕事量は約2300ワード。明日から、アメリカは3連休だけど、私は日本基準で仕事しているので、月曜は仕事です。ちょっと残念!

昨日、同じように翻訳の仕事をしている人のblogを見つけました。彼女のblogは、私のとは違って、翻訳を目指す方へ!といった内容で、翻訳業界の事などをいろいろ説明してありました。特に、“英語の上達法”が、中心。なので、ちょっと私も思うところを書いてみようかと。

英語が上手くなりたい!と思う人は多いと思うのですが、一般に、日本人は英語が出来ない、と言われています。他のアジアの国よりも悪いと言われているようですから、日本語と英語の違いだけがその理由、というのは少し弱いように思います。

でも、これには実は少し嘘があるのではないか?と思います。ちょっと長くなりますが。。。

確かに、日本人は英語を話すのは苦手かもしれません。でも、それと必要とされる英語力とは別のものじゃないか?と思う訳です。日本の教育しか受けていなくても、十分、海外で活躍している日本人もたくさんいるし、英語ができない、ってどういう事なんだろう?と。

英語が使えるようになる人とそうでない人の一番の違いは、“目的”です。

海外に住んでみたら、英語なんて出来るようになるんじゃないの?って、私も思っていました。・・・というか、英語が話せないのは、留学したことがないからさっ!って感じでしょうか。でも、今思うのは、英語が使えないのは、英語を上達させる目的がないから、だと思います。

20年以上もアメリカに住み続けるという場合を除いて、5、6年のアメリカ滞在では、本人の相当の努力なくしては英語は身に付きません。現代では、大して会話をしなくても、ごく普通にどこでも生活できてしまうものなのです。生活していれば、英語が自然に出来るようになるのは、10歳以下の子供だけ。彼らだって、学校に行き、大変な思いをして耳に入る英語をpick up していかなければなりません。ましてや、大人が、滞在するだけで上達なんてするはずがありません。

英語は海外に住まないと身に付かないか?というと、これも間違い。日本にいたって、十分なMotivationを持って学び続ければ、十分上達します。
Nativeのアメリカ人に習わなければ、ちゃんと英語が身に付かないか?というと、これも間違い。大人はしっかりと英語を理解した日本人から学ぶ方が上達が早いと思います。

なぜか?それは、Nativeの人には、何がわからないのか?がわからないからです。

アメリカには英語学校がたくさんありますが、ここに通うだけでは、英語を身につけることはできません。日本人に特化した語学学校があれば、違うかもしれませんが・・・。

じゃ、日本の駅○留学はどうか?実は私もちょこっと通ったこともありますが、あれでも無理です。いろいろ理由はありますが、あそこまで高い金額を払う価値はありません。

じゃ、TOEICやTOEFLの勉強はどうか?実はこれも私はあまり意味がないと思います。あれはクイズであって、使えるかどうか、との直接的な関係はありません。人にアピールする目安くらいにはなると思いますが。

なんだか間違いだらけの英語勉強法みたいですね。

つまり、英語を上達させるには、まず上達したい目的を持つことです。これが一番大事。これさえあれば、どこにいようと、何歳だろうと、絶対上達します。しかも、英語の上達にお金は大して必要ありません。留学もいらないし、高い機材も何にも要らない。必要なのは、まず目的、そして辞書、良い本、そして、英文を聞くためのDVDとかCDとか、出来たらOutputの練習としてNativeの人と話す機会、という感じです。

英語って、地味な勉強ですから、どーーーしてもという理由がなければ絶対に続きません。それを自分に強制する手段として、留学、というものが入ってくるかもしれませんが、あくまでoptionにすぎません。

私自身、夢大きかった高校生の頃は、英語の勉強が好きでした。それがだんだん、自分の進路が見えてきて、仕事について、英語が趣味でしかなくなってしまうと、なんやかんやと後回しになって、結局10年近く、ほとんど英語とはなんの関わりもない生活を送っていました。結局、そんなもんなのです。

そして、それが変わったのが、アメリカに来てから、です。

でも、アメリカに来たから、ではありません。アメリカに来る時に失った、私の仕事。絶対に取り返したかった。何としても手に入れたかった。この思いは尋常ではありませんでした。そして、その時漠然と思ったのが、次の仕事は英語を使ったものにしたい。でも、この時は、どう英語を生かしたいのか?までは分かっていませんでした。

それでも、少し自分の中で何かが変わりました。

----つづく----