旅とエッセイ 胡蝶の夢

亜細亜の旅日記、オリジナルエッセイ。投稿では万年佳作か特別賞。
まずはアンコール遺跡群

転校生

2016年11月05日 16時40分54秒 | エッセイ
転校生   

 転校生はせつない。新しい街・学校に一人で移って行くのは、本人が一番辛いだろうが残された方も悲しい。仲の良い友達と突然引き離された心の傷は、大人になっても時に疼く。
 その娘は確か小学校の3年生の春に転校してきて、5年になる春に去った。偶々2年間一緒で仲が良かった。もっとも彼女は明るくて面白くて、誰からも好かれていた。名前を加藤xx子と云う。名前の方はアヤフヤだ。なにしろ40年前の話だ。彼女のお父さんは海上自衛隊で、海辺の街を2~3年置きに転勤する。
 これは子供の身には辛い。せっかく友達になっても、長くて3年先の別れが見えている。彼女が横浜を出て向かった先は青森県の八戸だった。八戸なんて地名を始めて知った。その後どんな街だろうと、よく想像した。とても仲よしだったので1~2度手紙を出したと思うが、結局それきりになった。小学5年に文通は難しい。彼女も今までの経験からその事は知っていたに違いない。
 彼女が初恋の相手だった訳ではない。他に好きな子がいた。彼女とはふざけ合って楽しく遊ぶ親友だったんだ。毎朝会って言葉を交わすだけで心が浮き立つ。一緒にいるだけで楽しい、友達として大好きだったんだよ。それが急に断ち切られるとは思わなかった。彼女は内心はともかく、意外とアッサリ淡々として去って行った。直前に転校を知らされた自分達のほうが呆然としたものだ。
 40代で一度、小学校の同窓会がポっと行われたが、彼女は当然来ない。6年生の時のクラスが中心だからね。その時集まった男たちに話をした。「4年の終わりの春に転校していった元気な女の子がいたろ、覚えている?」「加藤xx子だろ、当たり前じゃない。」皆んなが彼女を覚えていた。彼女のことを好きだったのは、俺だけじゃあなかったんだ。
 加藤さん、どんな人生を過ごしてきたの。あれほど深く人の心を掴む女性に、その後の人生でもそうは会わなかった。
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