債券・株・為替 中年金融マン ぐっちーさんの金持ちまっしぐら 

ウォールストリートで20年、生き残ってきたノウハウを開示、日々のマーケット・社会情勢を分析します。

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そしてこれから・・・・

2008-11-12 23:32:52 | サブプライム

今回のトラブルはこのままでは終わらない、のは間違いありませんが、今回の金融危機を総括する意味で、今日はちょっと自分の話をさせて下さい。参考になるかもしれません。

ご存知の方も多いように、ぐっちーは日本の総合商社からモルガンスタンレーを経てずーっと外資系金融機関で働き、そこそこの業績を上げつつ楽しく暮らしておりましたが、2004年には、

「こんないんちき商品は売れん」、

と本社に噛み付いたことから某ベアースターンズという会社をクビになります。

倒産して、ざまみろ、といいたいところですが、退職金代わりにもらった株がゼロになった被害の方が甚大で笑っている場合ではありません(笑)。

売りたくない、といったものはまさに今破裂し続けている分散型CDOそのものです。

そう考えた理由は単純で、証券化に相応しいいいアセット(ローンですね)は当時すでに破格に割高な水準まで買い上げられていたのに、その割高なものを購入するのにレバレッジ(何倍もの借金)をするのは危険であると考えたこと。

一方、価格がリーズナブルと思えるものは単品では自分では絶対買わないだろうような劣悪なアセット(サブプライムが代表例)しかなくなり、これをいくら分散しても(一つ一つを小さくしても)必ず破綻すると確信した訳です。ですから、当然リストラされました。ほんとのこと言うな、という訳ですね(笑)。

その後再度渡米などをしつつ、アメリカのCDO、CLOの専門家とじっくり話をしてみると、やはりプロと呼べる投資家やコラテラルマネージャーは既に2000年の段階でCDOというレバレッジを効かせるスキームには同じ理由で皆反対でした。

例えばマイケル・ミルケンの一番弟子、ラリー・ポストはなぜみんな手数料を払ってまで、わざわざレバレッジの高いCDOを買うのか理解できない、と明言していました。理由は同じです。この段階でレバレッジをかけること、自分が判断できないリスクアセットに資産を分散することは納得できない、ということに尽きるわけです。

実はくやしいことに、ラリーにしてもこういうプロ中のプロはなかなかお金を預かってはくれません。アメリカで十分に集まるからです。日本は時差がありますし、日本の投資家はうるさい報告書を事細かに要求するので有名なので「本物」の連中は実は日本のお金は扱いたくないのです。

これは覚えておいて損はありませんが、そういう事情で、日本にわざわざ来るのはアメリカでは相手にされない人々や商品で、、箸にも棒にもかからない輩がぞろぞろやってきています。

倒産寸前になってエンロンやアイスランドのサムライ債が多発するのは偶然ではないのです。今思えばモルスタもメリルもそうでした。

やっとの思いで、そういった私が満足できるプロ中のプロ数名からコミットメント(日本でお金を集めてもよろしい)というLOIを頂き日本で活動を始めましたが、今度はこういう本物が売れないのが日本という所。これはこれで大変な苦労の連続でした。

日本の金融機関は、まず、どんなに優秀なファンドマネージャーの商品であっても大手金融機関の商品じゃあない、ということで門前払い。逆にモルガンスタンレーやゴールドマンサックスアセットマネージメントのものであればOK、となる。

ラリー・ポストという、アメリカ金融界の王貞治ともいえるキングが運用しているファンドを却下して、大学出て2年目のやつがちんたら運用している大手投資顧問会社のファンドを買っているというあほらしさ。

まあ、毎日日経を読んでるとこうなるのですが、とにかく自分で理解して、納得して、信頼した相手に運用を任せる、という気はさらさらなく、まず名前優先となる。 大手のヘッジファンドは金額も膨大なので、職人芸なぞはなから不可能で、限りなくインデックスに近い運用になってしまうものです(だからPCさえ使えればシロートでも運用できる)。そのくらいなら株を単一銘柄で持っていればいいし、インデックスそのものを買えばコストも安いですよね。

皆さんもご自分の投資されている投信のファンドマネージャーの顔を見たことはない、という方がほとんどではないでしょうか。それではいけないのですよ、本当は(笑)。

さらに我々の商品はレバレッジがかかっていない、つまりクッションにエクイティーがないからだめだという機関投資家も多かった。 いくらシニアを持っていても、エクイティーが飛ぶときは選んだ原債権のアセットクラスそのものに異変が起きているときなので、その上のシニアも絶対にやられますし、そもそも絶対にやられないアセットを組み込んで(これ、職人芸。そのためにお金を払っている)その代わりエクイティーも含めて投資するものです、といってもそんなの信用できない、とおっしゃる。

挙句の果てに、そんな分散度の低い商品(50社程度)なんて危なくて買えないよ、とまで言い出す始末で、「CDOなんじゃら」、という本で勉強したとおりの机上の空論を展開する。

倒産はありうる話で、問題は原資産が棄損したときにどうやってリカバーするかが大事なんです、と説明しても、「もう、あなたの考え方は古いのです」とよく却下されたもんですね。

そういう金融機関を信頼して皆様はお金を預けています。 問題の農林中金も、全共連も、日本生命、第一生命問わず、東京海上、損保ジャパン、みずほ銀行などなど、ありとあらゆる金融機関はこういうスタンスでした。結果は皆様ご存知のとおり。

一担当者個人としては100%理解しておられる方は何人も見ました。おっしゃることはよくわかるんですが・・・ という訳です。サラリーマンですから・・・・と。そのうちお金持ちになったら一緒にやりましょうね、と言って、まあそういう方とは、いまでもお付き合いがあります。 しかし、こちらも売れなければ食えないわけですが・・・・

で、いるんですよ。こういうものをきちんとご理解いただいたうえで投資される方が、日本にも。こちらは名前は申し上げられませんがね。

結果でみると・・・
もちろん、これだけマーケットが下がり、資産をロングしてますから、NAV(資産価値)は購入時よりマイナスです。しかし、肝心のポイントは・・・・そのNAVでいつでも売れて、いつでも買えるということ。まさに価格が機能しているのです

一方、CDOというCDOはすべて売買不能になっている。それが諸悪の根源な訳です。今回の信用恐慌の最大の原因です。

評価はいくらです・・・って言っても外資系みんなで談合して出した評価価格です。それ、実際に売ってごらんよ・・・・

業者という業者は、いや、オーダーベースじゃなきゃ、売れません、となる。何だよ、それ! 

いやいや、オファリングメモランダムに小さく、「本件は著しく流動性が低下することがあります。」って書いてあるもん、となる。 しかし、自分が持っているCDOも同じことなので結局支えきれずに投資銀行の看板を下ろす羽目になりました。

ちなみに先程のラリー・ポストのファンドもいわゆるハイイールドばっかり組み込んでますが同じ時期に組んで価格100のものが現在大体80位でしょうか。それでまじで売れます。ラリーが評価したポートフォリオなら買う人間がいるのです。

プロの評価したものは買う人がいる。当たり前の市場原理ですよね。 さらに、マーケットが止まりさえすれば・・・倒産しなければ・・・もともとの利率がとても高いので利払いが溜まっていくだけでファンドの価格が回復してくる、という単純な仕組み。

どっかのあほなグローバルソブリンだとか(国債の利率はかなり低いので一度別の理由で価格変動を受けると回復不能になる)、永久に価格が戻らないCDOとは訳が違うわけです。このまま3年持っていれば利息だけで相当戻る。 至極単純な話ですよね。

ただ、売る方もこの正論を展開するやつはクビにするし、買う方も相手にしなかったという現実がある。 売る側から見るとハイイールドを集めても、ただのロングオンリーのファンドを組んでもたいした手数料はとれませんね。特にアメリカではここはほとんど成功報酬のみです。

しかし、CDOに組んでさえしまえば・・・・5ポイントも6ポイントも手数料が稼げるわけですから、証券会社はどうしてもその形にこだわる訳です。

我々からみると本質を見誤ってそれを欲しがった投資家も自業自得ですが、そういう中でしっかり投資対象を見据えて投資をされた方々もおられるのですから、みんなやりました、という言い訳は今回は通用しない。

いずれにせよ、これからは、政府、銀行、証券会社などはグルになって自己責任の名の下に皆様個人を切り捨てますから、ここは我々のようなブティック投資銀行家ががんばって彼らの罠にはまらないように投資家をお守りせねば、と気合を入れている次第です。

ながながと個人話を聞かせてしまいましてすみませんでした。ご参考になるといいのですが。

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42 コメント

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やっぱり・・・ (ど素人)
2008-11-13 00:46:52
いつも大変参考にさせていただいています。

やはり日本の”金融のプロ”という輩達はその程度の人たちだったんですね。

今日の記事でよ~く解りました。
ひどいもんですね (事象収集者)
2008-11-13 00:51:29
就職活動していた頃が「デリバティブ」という言葉や金融工学をマスコミが取り上げていて逆上せて追いかけていました。就職先は全然違う日本の企業になりましたが当時活動したコンサルタント会社はエンロン事件の時に潰れ、金融系は今回軒並み逝ってしまいました。

個人はマスコミや政府の出す情報に流されやすいです。乗せられて傷ついたら自己責任。
一方仕掛けて火傷をした側は政府が救済。
こんなことでいいのでしょうか。

ぐっちーさん達のような職人としての金融業の方々は百万円単位からでも商売はされているのでしょうか。メジャーに騙す資本より事実をキチンと扱う職人さんと自己責任でビジネスができたら、とふと思った一個人でした。
ラリー・ポスト氏のことを早速勉強してみます。
恐れ入ります (てんぞ)
2008-11-13 01:03:53
金融の事はなにもわからない素人でございますが勉強を兼ねていつも拝見させていただいております。

僕の場合は外食産業を軸として個人で小さなお店などしておりますが今回の記事、通じるものがあると思い書き込みさせていただきました。

まさに同じです。

内容は半分も理解できない若輩者ですが、切り口がスゴイ興味がわく!そんな僕の個人的視点でございます^^

とくに今回、個人的には関係ないのですが関係あるような…そんな10月の金融事情、勉強になりました。

ありがとうございます^^
Unknown (新入社員)
2008-11-13 01:27:16
CDO商品に対する金融機関の姿勢や問題点など、
非常に分かり易かったです。
有難うございました。
Unknown (YEN蔵)
2008-11-13 01:37:46
今日のコメントは、いつもと違い熱き思いをぐっと抑えてクールな口調であえて淡々と思いを述べてる文章にもちょっと感動しました。
おっしゃるようにみんなで渡れば怖くない式運用じゃいつまでもババをつかまされますよね。
日本人投資家がなめられなじゅなり、ぐっちーサンの商品が瞬間蒸発で売れるようになった頃、日本は投資立国になれるのでしょうね。
それまで頑張ってください。
妄想ですが、、。 (kuro)
2008-11-13 02:31:56
CDO、末期のネズミ講?のようです。
真の受益者はとうに逃げ出し、残るは、無数の債権者と誰にもわからぬ(公表できない?)巨額の負債。
通常はそこでジエンドですが、今回はサプライズとして、、。
建前は債権者救済、本音は首謀者救済の公的資金投入のオマケつき。
おちは、本受益者の底値株買いあさりとつづけば、、。
お後がよろしいようです。素人の妄想でした。

門外漢の独り言 (やすじ)
2008-11-13 03:09:56
やっぱ空気なんでしょうね

しっかり考えたら 判るハズが

みんなやってる
何を考えてるの

大丈夫 大丈夫

あんた 暗いねー

っていうのが ついに

こういう事は世の中 他にもいろいろありそうですね。(´Д`)
Unknown (タマ)
2008-11-13 04:38:29
こういう個人話、好きですよ。すごく参考になります。どんなハウツー本にも、雑誌の記事にも出てこない、こういう、ブログの気軽な、でも、本当は中身のある記事、楽しみにしています。批判を気にせず、どんどん書いて欲しいです。
ポールソンお手上げ (プッツン)
2008-11-13 06:13:20
CDOを売りまくったころのGSのCEOであるポールソンがついに 不良資産の買い上げは不可能と万歳しましたね。単に 「一体どうやって値段をつけるのだ」と言ったのでなく、「CDOを組成した奴以外に誰も価格の評価なんかできっこない、唯一やれるならゼロ評価」とまで言い切った ぐっちーさんは 矢張り凄いなあと思いました。
私も社会主義者??? (プッツン)
2008-11-13 06:40:46
あそうそう、大半の過去ログは読ませて頂きました。全然歩んできた人生は違うし、趣味なんかも全然違うのに、ぐっちーさんって、どうしてこんなに私とその価値観が近いのだろうか ってちょっとびっくりしています。ウォール街の社会主義者?とのことでしたが 私も価値観の違いから 同じく相場やる人達と全くといっていいほど話が噛み合わず、ついにもうあほくさくなって、話すのをやめたくちです。
ほりえもんのことを、最初から単なるあほあほ って言い切っていたので、相場する人からネット上で相当私は嫌われました。逮捕されたあと、それ見ろ、単なるあほだっただろう、彼を信奉した人はちょっと反省したら? って書いたら、マザーズ株で大損こいたのではなかろうかという人に荒らされたりでね。
そんなことはさておき、昨年の8月6日のエントリは特に印象的でした。

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