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JR東日本、被災地の線路いつ戻るのか

2012年02月14日 | JR事故情報
2012/2/13 6:00 日経
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 東日本旅客鉄道(JR東日本)の収益回復のピッチが速い。東日本大震災から半年で震災前のダイヤに復旧した東北新幹線を中心に、旅客需要が想定を上回っている。だが、大津波で不通になった太平洋沿岸部の在来線は11カ月たっても手つかずの区間が多い。同社はバスを使った「仮復旧」を模索するが、沿線自治体側には鉄道の復旧を求める声も強い。すんなりとは決着しそうにない状況は、大津波が残した爪痕の深さをうかがわせる。</form>

 

「大動脈」の東北新幹線は震災後49日で全線の運転再開を果たしたが…
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「大動脈」の東北新幹線は震災後49日で全線の運転再開を果たしたが…

 「当初予想は強気だと随分言われたが、実際の需要はそれ以上だった」。ある幹部は2011年4〜12月期決算をこう振り返る。連結売上高は前年同期比3%減の1兆8830億円、経常利益は7%減の2494億円。期初の落ち込みを補えていないが、鉄道運輸収入の7割を占める関東圏の在来線は4%減で踏みとどまった。昨秋開業した「ルミネ有楽町」など関連事業も順調だ。

 

 決算発表に合わせて12年3月期通期予想を上方修正し、経常利益は前期比1%増の2570億円と従来予想の16%減から一転、増益を見込む。

 東北新幹線は震災復興関連のビジネス客やボランティアの利用が想定以上。定期券以外の収入でみると10〜12月期は前年同期を8%上回った。4〜6月期の29%減と比べるとV字回復ぶりが分かる。昨年4月末、一部で徐行しながら東京―新青森間の全線で運転を再開し、9月に震災前の通常ダイヤに戻した。復旧作業を急いだことが功を奏した。

 

東北地方の大動脈に返り咲いた新幹線に対して、大津波の被害を受けた沿岸部の在来線7線区の復旧状況はどうか。常磐線と仙石線は一部区間で運転を再開。八戸線と石巻線の一部も今期中に再開する予定だ。しかし山田線、大船渡線、気仙沼線の不通区間については復旧のメドが立たない。駅舎が流失し橋げたが落ちるなど被害が大きいからだ。

 

 清野智社長は7日の記者会見で、岩手県を走る山田線と大船渡線について、専用道によるバス高速輸送システム(BRT)の導入の検討を提案する考えを明らかにした。宮城県内の気仙沼線に関しては、既にBRTを沿線自治体に提案している。

 鉄道の復旧とは、列車が再び走ることではないのか。清野氏は「全く同じ所に線路をつくればいいのか。同じこと(大津波)が起こったら『想定外』では済まない」と強調。(1)大津波の際の安全性(2)復旧にかかる時間(3)乗客の利便性――を挙げてBRTによる「仮復旧」を目指す考えを示した。

 対策なしに線路を敷き直せば、同規模の大津波で乗客が危険にさらされかねず、清野社長は「鉄道事業者としての責任が問われる。バスは万一の場合道路を使って逃げられる」と話す。高齢者の通院や中高生の通学には、低床バスで停留所と運転本数を増やした方が便利なのも確かだろう。必ずしも鉄道にこだわる必要はない、という見方は国土交通省の中にも少なからずある。

 

 JR東日本の腰がやや引けているように見えるのは、鉄道の復旧費が大きいのも一因だろう。同社は7線区を原状復旧するだけで計1000億円超かかると試算。今期の純利益見込み(1030億円)に迫る規模だ。バスならそれより負担は軽い。加えて旅客需要の問題がある。対象の沿線地域は人口密度が相対的に低い。鉄道復旧の投資をして回収できるのか。株主への責任を負う上場企業が尻込みしても不思議ではない。

 JR東日本には過去にこんな例がある。岩手県の山間部を走る岩泉線は10年夏、土砂崩落で不通になった。今も全線運休で代行バス輸送だ。復旧し崩落を防ぐ工事には100億円規模が必要とされる。

 同社の今期の連結営業利益は3470億円と前期比1%増を見込む。年間配当は前期と同じ110円を予定。配当金総額は435億円だ。最大710億円の地震保険金の受け取りも期待できる。復旧の余力が皆無とは言い難い。足元の回復は順調。それだけに、BRTでの「仮復旧」が恒久化し鉄道の廃線につながるとの懸念が強まれば、沿線住民の理解は得にくくなるだろう。中でも山田線の宮古―釜石間をBRTに転換すると、復旧工事を急ぐ第三セクター、三陸鉄道の南北を結んでいた鉄道網が途切れることになる。

 清野社長はBRT導入後について「利用者、行政のご意見を踏まえながら考えていけばいい」と述べるにとどまった。被災地以外にも、同社が投資をすべき先は少なくない。とはいえあからさまに採算性を前面には押し出しにくい。JR東日本は慎重に「現実的な解決」を探るが、決着にはなお時間がかかりそうだ。

(久門武史)

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東北新幹線 国土交通省 第三セクター 鉄道事業者 バス高速輸送システム 東日本大震災 東日本旅客鉄道
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