ネットにマカオを入れてクリックすると、上記のように電飾の粋を尽くしたかような夜景をすぐ見ることができる。これをマカオの夜と思っている人が多いだろうが、いつでも電飾がすかっと見えるわけではない。晴れた時間を狙って撮影していると思われる。
1日と半日ほどだが、ぼくの見たマカオは、水と霧と幻想の町であった。
この青空は偽もの。作った青空である。マカオヴェネチアというカジノホテルの中の高級ブランド店街である。しかし日が差さないときのマカオでは偽物でもいいなあと思うほどの空模様。
南シナ海に面し、半島と島二つを橋でつなぐ形のマカオは、ヴェネチアを連想するくらい水の影響を受ける。那覇市の緯度が北緯26度12分、マカオのそれは北緯22度10分。熱帯の入口といっていい。平均湿度79%で5月から8月まで80%を越す。
最初、これがガジュマルとは思わなかったが、市民は電子辞書で「熔樹」と教えてくれる。
マカオのガジュマルは枝の各所から気根が馬のたてがみのように垂れる。風に揺らぎ気根としてはあやふやの気がしてならぬ。
ちなみに、沖縄のガジュマルは次の通り。気根ががっちりしている。
ひめゆりの搭のガジュマル
伊芸(日本最西端および最南端)のガジュマル
気温が高く蒸発しやすい水は靄、あるいは霧となって視界を閉す。
湿気こそマカオなのだ。
5月11日朝5時から3時間ほど町を歩き回ったがいつ太陽が出たかわからなかった。
いや、太陽は霧に隠れていてたまに霧が弱いとき日差しを感じるほど。
ドライアイと乾燥に肌の弱い妻は、この湿り気を喜ぶ。
午後になっても大気は靄を帯びたままで暮れた。
3年ここに住む息子の話では、はっきりしない天気はしょっちゅうとのこと。洗濯物が3日乾かないことはしばしばとか。
空港から数キロ北の方に海だか湖だか知れぬ広い水面がある。
高層ビルが密集するところから来ると実に広々した気分。向こう側が霧で霞んで遠く感じる。一周約3キロ。朝から大勢の市民が歩いたり走ったり。
老若男女すべている。マカオ市民がこんなに運動好きとは思わなかった。掃除人も朝から働いてきれい。
中国の海洋進出が問題になっているが、ここマカオでも南シナ海へ向かって埋め立てを盛んに行っている。
上へ上へ集合住宅を建てて上へ上へ人が住む。
それでも足りず、新たに土地を作ってここにまた高層建造物を建てる。
何のために、何をする人たちがやってくるのだろう。
ぼくもやって来た一人なのだが。
マカオのもっとも海側の道路。左の海の中を埋め立てしている。高層ビルが建つ予定だがすでに受付が始まっているとか。中国人の底知れぬエネルギー恐るべし。