天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

俳句甲子園へ出場する選手諸君へ

2017-05-15 13:45:24 | 俳句


6月10日、小生は俳句甲子園神奈川大会の審査員を務めることになりました。
俳句甲子園の審査員は今年で6回目(東京大会3回、神奈川大会3回)です。
若い君たちとまた会えるのが楽しみです。

優劣を競い、勝ち負けが発生する、珍しい暴力的な句会とお考えください。情操というのを点数で評価することがまず暴挙の極みですが、まあ遊びと考えて、勝ち負けを楽しむ心を涵養する、といったことを学んでもいいでしょう。

句会はわれわれ大人が若い世代に伝えられる数少ない遊びです。
飲食なしに15人もの大人が長い時間をいきいきと共有できるパーティです。
むかし小生の生まれた長野県伊那市の在に、主婦がめいめい料理一品を持って薬師堂に集まって、飲み食いして、おしゃべりする集まりがありました。
その料理一品が俳句一句に代えたのが句会であり、俳句甲子園の集まりといっていいでしょう。

世界に誇ることができる日本ならではのパーティ文化です。
大いにおしゃべりを楽しみましょう。
俳句を読んでその背景を語ったり、よさをアピールしたりしてイマジネーションに遊ぶのです。
日本人はテーマのないおしゃべりはするがテーマがあるとなかなか意見を言えない国民性でしたが、君たちはだいぶ変わってきました。
みなさん堂々と発言していてぼくのそのころを思うと仰天するほどです。ぼくは人前でなにも言えない子どもでした。

君たちの討論を5年見てきて思うのは、活発はいいのですが点数が欲しいあまり相手の句の粗探しに走りすぎてはいないか、問題のないところに問題を起こそうとしすぎていないか、ということです。
敵失を突くというのは弁論の要点ですが敵失が見えないとき問題を起こそうと躍起になると<粗探し>に見えてしまうのです。
むしろ、<敵に塩を送る>ほうが美しい。
ぼく以外の審査員諸氏も粗探し的発言に疲れているでしょう。
相手の句を相手以上に深く読んでやるというセンスに拍手したい。<敵に塩を送る>という日本人ならではの美意識が日本人のディベートにあっていいのではないか。俳句を論じているのですから。そう思うようになりました。
法廷において検察と弁護士が少しでも自分の有利になるように論理を組み立てるのがひとつの討論の形ですが、俳句という情操種目においては、勝ち負けを超えた境地を目指してもいいのではと思うようになりました。むつかしいことですが、そういう意識を持つことで、相手も自分も生かす豊かさを生み出すことを考えてもいいのではないでしょうか。

日本人はそもそも控えめの国民性です。
ディベートも日本人的な控えめさが逆に効果を発揮するということを意識していいでしょう。
すなわち、<逆手に取る>ということ。
相手の攻撃の手段を逆用して自分の決め手とすること。
英語にも<カウンターブロウ>というのがあるでしょう。相手の攻撃を受けつつ切りかえしていつの間にか相手を真綿で包むように追いこんでいる…。

一昨年まで、「その句はどういう意味ですか」「その句はどういうことを言おうとしているのでしょうか」という発言がありました。
これに対して天地審査員は「そんなのナンセンス! ここは相手の句をとにかく読む場ではないのか。句の意味を聞くなんてありえない。ディベート以前の問題」と排斥しました。
以来、神奈川大会の討論はよりよくなりました。
今年はさらなる奥行のあるみなさんの読み、鑑賞を期待しております。

どうか選手諸君は元気で出場してください。フレーフレー!俳句小僧たち。
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2 コメント

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シェアさせてください (比々き)
2017-05-26 09:14:14
夏井いつきさんが選者をつとめる「松山俳句ポスト365」の投稿者たち(通称ハイポニスト)が主に書き込む「ハイポ掲示板」の管理者をしています。

私たちは毎年1月松山で開催される18歳以上の「まる裏俳句甲子園」出場を目指し、毎月の吟行句会でもディベート練習しているのですが、掲載の内容は私たちも是非心に留めたい大事なことなので、是非掲示板で皆さんにもシェアできたらと思っています。

ご許可頂けるようでしたら、転記したいのですが、いかがでしょうか?
どうぞお使いください (天地わたる)
2017-05-26 12:18:34
比々き様
わがはいの意見に耳を傾けてくださり感謝です。
ただしこれは天地わわるという一審査員の私見でございます。
みなさんが合意している見解ではありません。
ぼくはディベートの内容について、主宰者側であるていどまとまった指針など示すべきと考えています。
主宰者の方々にこの意見は伝えるつもりです。
一審査員の私見ということならば大いに伝えてもらって結構です。

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