天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

人工知能が俳句をやりそう

2016-03-13 08:59:24 | 世相


イギリスのグーグルマインド社の囲碁ソフト「アルファ碁」が韓国のトッププロに3連勝した。世界の囲碁界に衝撃が走ったという。
囲碁ソフトの発展に「深層学習」なる手法が用いられたとか。詳しくは知らぬがいい言葉だなあと思う。
この記事に関連してゲーム情報学の松原仁教授(はこだて未来大学)が「人工知能は今後、小説や芸術などの分野でも活用されるだろう」とコメントしたことにはっとした。

むかし中央例会で藤田湘子が並んでいる2句をみて「前の句の季語を後の句の季語と入れ替えたほうがよほどいい」といって添削したことがあった。
ぼくも人の句を見てAの句の季語をDにつければ「通るなあ」と感じることが多々ある。
俳句の上五、中七、下五というパーツにアトランダムにいろんな言葉を配置して偶然できてくるものの中から、はっとする俳句が生まれる可能性はそうとうあるのではないか、とずっと思い続けている。

人工知能に国語辞書、漢和辞書、古語辞書のほか現代用語の基礎字典だの野鳥図鑑、天体図鑑……等は必ず入っているだろう。
それに、たとえば、「春」「水」「さびしい系」などとインプットして人工知能が叩き出すものをじっと待っている。
水際の影にひかれる春愁
雲淫ら水鉄砲でまなこ撃ち
春水のごときを流し女泣き
潮引いてゆきし匂ひや蝶眠る
春の昼海青ければ石を投げ
海市立ちこんがらがりし胸の内
水つぽい女を抱く朧かな

これはぼくの頭脳が考えているから理が通ってしまっているのだが人口知能はめちゃくちゃなものを提示してくるかもしれない。

人工知能はある条件の中で「勝つ」というシンプルな目標しかこなせないのか。勝ち負けのはっきりしない俳句ではこんがらがってしまうのか。
しかし、それだからこそ、はっとする思いがけないものを提示する可能性がありそう。
その中から秀句をば選ぶことが俳人の器量となる。
それは、もしかして、選者の仕事の内容にかぎりなく近づいてくるのか。いいものを見極める能力。
高浜虚子が「選は創作」といったあれである。

人工知能搭載のレプリカントが登場して、彼(彼女)と席題を出して句会をするなんていう事態が50年後に出来すれるかもしれぬ。おもしろい。
俳句は基本的に勝ち負けがないから人間はそう落ち込まなくていいかもしれない。
俳句のうまいレプリカントと恋に落ちたらもはや「ブレードランナー」の世界だろう。
こんなことを考えていたらちったあましな句が書けるかなあ。
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