天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

合評こそ句会を盛り上げる

2017-07-11 00:05:32 | 俳句

生家の裏庭


ぼくがひこばえ句会の指導者になって5年半になる。
最近来たJさんが「ここはおもしろい」という。彼女は鷹のほかの結社にも籍があり、さまざまな句会へ行く「渡り漁夫」。毎月ではないがひこばえ句会にもやって来る。彼女は渡り漁夫にしてリピーター。ひこばえ句会はそういう来かたを受け入れる。
いろいろな句会を見て来た人がうちの句会を評価したことを勲章と感じている。

Jさんがうちへ来るのはぼくが発言を妨げないことらしい。
仮にぼくの考えに反する意見を述べてもぼくがニコニコしていることに驚いている。
Jさんが来るとぼくもうれしい。
指導者と祭り上げられて句に対する考えをしゃべりまくるのだが、それをずっと続ける時間は直線道路を運転しているように単調で疲れる。
見落としもある。
ぼくが話しっぱなしでみんなが聴くだけでは両者とも疲れる。それが建設的な文化活動なのか、ぼくはずうーーっとこの一方通行の構造を疑ってきた。
そんなとき「センセイ、こんな読み方もありませんか」という声がかかるとハッとする。浴衣の胸元に涼しい川風が入ったような気分。
Jさんの発言によって自分が句を見る立ち位置がゆさぶられる。見直すと違う局面が見えてきて心地よい。
風が入ると句会運営も楽になる。発言者に添ってぼくが意見を捕捉したり反論したりということになり、ぼくのつくってきた流れに綾や渦が生じる。ほかの方が綾や渦を見ることで理解が深まると思う。これが文化ではないか。
発言してくれるおかげだと思う。
Jさんが行くほかの句会は、指導者のいうことが絶対で集まった人は畏まって聴いているだけだという。
そんなお仕着せの句会をれっきとした成人が楽しめるのだろうか。

だいたい日本の教育は、一段高い教壇に立った教師がいうことを、机を並べて拝聴するという形でやってきた。
教師は偉い人で間違っていても異論を述べてはいけない、という風潮がずうーーっと徳川の昔から醸成されてきた。いやもっと前からか。
したがって大人になって読解力、判断力がついても先生には従うもの、逆らってはいけない、というふうになってしまっている。自分の能力をむりやり眠らせてしまっていはしないか。不健康である。
最近の学校は教師の権威にいくぶんを揺さぶりをかけ、子供たちのグループをつくって討論して考える自主性を取り入れようとはしてはいるが、基本的に「上意下達」である。

俳句という情操科目において、唯一これが正しい意見というのがあるのか。
一応ぼくはみなさんより若干句歴も長いし実績もあるので、これはこうであれはああで、という理路整然とした話はできる。
しかし、それに反する意見は当然あってあしかるべきなのだ。
先日ブログに「歳時記を批判的に読む」を書いた。
ここで、
水位より低く炊げり梅雨の河  栗生純夫
を取り上げて、「作者は水の様子を煮え立っている米ということでとらえようとしたのであろう」と書いた。「炊げり」を水の流れることの比喩と読んだ。アップしてすぐ読み間違えたと思ったがそのままにした。
するとTUKIさんから「炊げりは普通に炊飯のことなのではないでしょうか」という反論が来て、やられたと思いニンマリした。
あとでTUKIはいつもネット句会で付きあっている彼奴だとわかった。結社に入らないのによくここまで力をつけたものだ。うれしくなった。

俳句はこういったやりとりでおもしろくなる。やりとりを見ている人がその中でいろんな気づきをするのである。
議論に勝ったとか負けたとかではなくて、議論によって句のいろいろな様相が見えたり、また課題も見つかることが句会のおもしろさ、醍醐味ではなかろうか。

ぼくはそういう句会を目指す。いちおうセンセイであるが教壇にはおらず、みんなと一緒に並んでいて語るセンセイである。
みなさんも積極的に発言してほしい。発言する言葉を磨いて語り会いたいのである。
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