杉原 桂@多摩ガーデンクリニック小児科ブログ

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あれ程騒いでいたタミフルによる副作用は?

2009-09-16 | クリニック通信
医療系MLで指摘があったのですが、最近の報道ではタミフルによる副作用の話がまったくでてきませんね.

予防投与など、先を争ってタミフルを飲んでいる情報はあるのにも関わらず.医師のあいだでも、タミフルで青少年の異常行動がでたという話も全くききません.これは本当におこっていないのか、それとも起きていても報道されていないだけなのか・・

そこで、青少年の異常行動はタミフルの副作用と関係があるという説を唱えていた浜六郎先生のサイトを訪問してみると・・・
http://npojip.org/contents/sokuho/1.html
ああ、こんどは突然死の原因がタミフルというわけですね.たしかにこれを報道されなくて、中外製薬はホッとしてるでしょうね.でも、私の知りたい青少年の異常行動についての記事はありませんでした.浜さんのところにすらないのであればきっと報道されていないだけでなく、本当にないのかもしれないな、と思うようになりました.

ある先生の指摘によれば、これはウェルテル効果ではないのか、という話です.
http://intmed.exblog.jp/4555151/
アイドルが自殺して、それがテレビで報道されるとどっと自殺者が増える.ということはご存知だと思います.
先のサイトから一部引用させて頂くと

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PREVENTING SUICIDE A RESOURCE FOR MEDIA PROFESSIONALS (pdf)(日本語訳 pdf)には、興味ある内容が多く含まれる。

特に、"IMPACT OF MEDIA REPORTING ON SUICIDE"の項目では
メディアと自殺の関係でもっとも最初に知られる事象は、1774年出版の、Goetheの若きウェルテルの悩み (Die Leiden des jungen Werthers) による自殺増加とされる。

このウェルテル効果は、ウェブでも多く取り上げられている。
たとえば・・


メディアは様々な情報に関して今日大きな役割を果たしている。特に一般の人の態度、信念・行動に強く影響を与える。
そして、行政・経済・社会的行為に重要な役割を果たす。
逆に、メディアは自殺予防に積極的な役割を果たせるのかもしれない。
自殺を考慮している人は大多数ambivalentなのである。確信を持っていることは少ない。
逆に、自殺に導く多くの要因の一つとしてメディアの自殺に関するpublicityが存在する可能性がある。

メディアの報道の仕方いかんで、自殺を増加させるかどうかが決まるかもしれない。
・自殺に関するメディア報道のインパクト
・信頼される情報源であるかを示す
・一般的な状況か、特異的な状況なのか
・自殺報道を避けることのpitfall

自殺方法の出版物による自殺増加
1)NYにおいて、Derek HumphryのFinal Exit(安楽死の方法)という本に関心がもたれ、この方法による自殺増加
2)フランスにおける、suicide : la mode d’emploiの出版による自殺増加

著名人(celebrities)の自殺事例は特に大きなインパクトを持つ。

テレビの影響が報告され、Philipsは、自殺ケースの報告後10日まで自殺数が増加すると報告している。

印刷メディアにおいても、公表度の高いストーリーの場合、多くのチャンネルでの多くのプログラムは巨大なインパクトを形成するように思え、もし著名人がそれに含まれるならなおさらである。
舞台でのplayは音楽と自殺との関係は調査されておらず、逸話としてしか存在しない。
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じゃあ、あんなに起こった青少年の異常行動の原因は加熱した報道や、一部の医者が大騒ぎしたせいだったのか・・・


しかし、もし自分の子どもがタミフルを飲んだあとに何かあって帰らぬ人となってしまったら、こんな話はもう聞きたくないというのが本音です.やるせなくなってしまいますよね.とにかく何かのせいにしたくなる.そこに意味を求めてしまいます.
これは一体何故なんでしょう.

私も含めて、現代科学のおちいっているドグマ(信仰)は因果律という宗教です.
ちょうどiPodで聴いていた小林秀雄講演会のCDでこのことが語られていました.

わたしたちはAという現象に、必ずBという原因があるはずだ、とかたくなに信じています.
それがみつからないとき、たまたまだ、とか、偶然だ、と言いますが、これは、今は分からないけれどきっと「将来は科学の進歩によって分かるようになるだろう」という予測のもとに思考を保留しているにすぎないのです.

つまり、現代はあらゆるものを測定できるモノとして、信じ込んでいます.
あらゆるAとBの関係を説明出来ると信じています.いまはできなくともきっといつかはできるようになるはずと信じています.
だから、
新型インフルエンザワクチンのリスクは?
タミフルの副作用が本当かどうか?
医療訴訟をなくすために全員にインフルエンザ検査を行う?
など数字だけに判断を求めるようになってしまうのです.

いったいどうして、そんなバカげたことを私たちは信じているのでしょうか?
自然から離れてしまった人類の妄想が、そうさせたのでしょうか.
箱からでる必要がありそうです.
自分を苦しめるのは、まったく自分以外の誰でもないのですから.

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1 コメント

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Unknown (林@上海)
2009-09-16 20:59:12
浜さんのサイトをひさびさにみてびっくりしました。イブプロフェンは本当に安全なのかしりたいです。

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