とうにクリスマスを過ぎて

クリスマスがもう終わった〜っと思った瞬間に思いついたタイトルです。
他意はありません。年末にはタイトル変更か?

ヒーラ細胞 つづき

2017-06-14 17:36:23 | 日記
(前日からのつづき)

それから十年近くたち、細胞生物学を学んだ女性の歌集で、思いがけずヘンリエッタに再会した。何だかほっとした。研究者のなかにも、彼女の存在を気にかける人がいたのだ。

自らの子宮頸癌細胞の生き続け使われ捨てらるるを知らず
「今日Hela(ヒーラ)余っていたら、6センチ培養皿(ディッシュ)一枚わけてもらえる?」
永田紅 『ぼんやりしているうちに』

この歌集には「HeLa細胞」と題する連作十五首が収められている。一首目は「捨てらるる」まで詠ったところに現場の臨場感がある。私は漠然と「実験に使われる」というイメージしか抱けなかった。二首目は、研究現場で日常的に交わされる会話をそのまま歌にした面白い一首である。研究者にとってはふつうの言葉が、実はとても奇異だったり残酷に響いたりすることを、この若い作者はよく知っている。
(『31文字のなかの科学』 村松由利子著 NTT出版より)

「HeLa細胞」15首のなかには、ヘンリエッタの個人情報を、インターネットで知ることができる驚きと後ろめたさが詠われたもの、彼女の経歴を読みふけっていると、子ども5人が残されている事実を知り、そこでスクロールする手を止めてしまった歌なども含まれている。彼女の没年がちょうど自分の今の年だということに思いいたる歌も、どこかサバサバしていてよい。

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