大雪の空

46歳から始めて嵌ってしまった山歩きの記録と野球などの雑記帳。時々帰郷中の島暮らしの日常。

塩見岳から広河原 2009年8月

2010年05月04日 | 南アルプス

思いでの山として書いてきたが、面倒くさいのと検索し易いので個別の山名表示とする。
時系列的には一番新しいが昔ほど結構記録しているのでこれから順に遡ることにする。
7月が雨が多くて梅雨もいつ明けたかはっきりしないほどで、ほぼ2ケ月ぶりの山となり
足が上がらずしんどい山となった。さすがにテントは無理と判断して、初日の三伏峠小屋で
素泊まりし、2泊目の熊ノ平小屋で1泊2食弁当付きとした。
貧乏山屋としては破格の山となったが、今まででも3本の指に入るタフなコースだった。
この縦走は遅くとも50代でやっておくべきだったと反省しても後の祭り。
残っている聖岳もこのコースよりタフそうで、縦走ではきついかもしれない。

2009年8月12日-14日(山中2泊3日)(単独、小屋泊まり)

1.初日 
鳥倉登山口から三伏峠小屋まで 14:00-17:40

伊那大島からは男女ペアP.2組との相乗りで入山したが、2,380円もかかった。
おまけに登山口まで入れず、1時間近く余分に歩かされ踏んだり蹴ったり。
峠までの道はそんなに急な登りも無く、楽なコースなんだがとにかく足が上がらない。
文字通りの牛歩でなんとも情けない。当初は三伏峠の先まで歩いてビバーグの予定で
道具を持参したが、早々と小屋の素泊まりに変更してノンビリ歩いた。樹林帯のため
クソ面白くない歩きでただ黙々と歩くのみ。
小屋の素泊まり客は先着の3人組のオヤジグループと後から来た二人組だけだった。
この先着組からサトウノゴハンを前夜に煮ておけば温めるだけで済み、ガスが節約できる
のを教わった。

2.二日目
三伏峠小屋から塩見岳を越えて熊ノ平小屋まで

6:00-7:20本谷山-9:10新道分岐9:30-12:00塩見岳12:30
-13:00蝙蝠分岐-14:40北荒川岳-18:30


塩見の登り

12時間30分の行動時間だが、疲れがひどく後半の樹林帯の歩きではホトホトいやになり、
何度もビバーグしてしまえと思ったが何とか旨い飯にありつこうと頑張った。しかし予想に反し
大した食事でもなく、小屋番もアメリカからの夫婦から換わっており、期待はずれでこれも
タクシー同様だった。おまけに翌日の弁当でダメだしを食らうのだが。
歩き出してから新道分岐まで樹林帯の単調な道が続く。時々展望がひらけて塩見岳が見える。
案外と近く感じるのだが、これがなかなかに遠いのだ。遠いなあと思った山が案外と早く
到着したりするから山はなんとも不思議なもんだ。
見晴らしのよい分岐の岩場で軽く食べてガスを充填していると小柄なオジイが来た。
聞くと74歳というではないか。おまけに熊ノ平まで行きたいなどと言っている。
ちと?だが結構歩いてるみたいで感心する。74でこのコースを歩く気力も体力もまったく
自信がない。というかこんなハードなコースを歩くわけがない。このオジイとは途中まで一緒に歩いた。
塩見小屋は本当に小さな小屋だったが朝早くから歩き出さないと着かないのが難点だ。
昔は夜行の電車で行く手があったが、今はJRの接続がなくて大島に泊らなくてはならない。
さてここから急登となり、好きな岩場なのだがピッチが上がらない。なんとか西峰に着いたが、
ガスで何にも見えない最低の頂上になってしまった。随分昔の赤石岳の時と同じだ。
これほど苦労が報われない結果はないが、運だから嘆いても始まらない。
相当疲れているがここまででまだ半分しか歩いてないのだから先は遠い。
結構な花が咲く岩っぽい道を蝙蝠の分岐まで行くと先行していたオジイがここでリタイアした。
塩見小屋へ引き返すというがまあ妥当な判断だろう。元気で長生きしてください。
一人で歩き出してすぐに雪投げ沢の頭だ。大型のアライのテントが1張りあった。
ダケカンバとマルバダケブキの道が続くが、タカネコウリンカとイブキジャコウソウの群落が
あった。


タカネツメクサ


タカネコウリンカ


マルバダケブキの道

北荒川岳手前で写真どおりのマルバダケブキの大群落の中を歩いてびっくりする。
単体で見ると何ということも無いのだが、これほどの規模になるとさすがにすごい!
そのあと道の真ん中にタカネビランジがあったが植えつけたんだと思う。あまりに不自然過ぎる。
その後は本当に単調な樹林帯の歩きで、あの奥秩父縦走を思い出した。歩けど歩けど樹林帯で
先が見えないので気分が滅入るし、明るくないし、南アルプスの奥深さを感じるなどと書いてる
ノー天気なガイドがあるが糞食らえだ!
あまりの消耗で途中で帽子を置き忘れる始末で何ともしまらない。おまけに小屋番には着くのが
遅すぎると説教はされるは、ありついた飯も大したことも無く(食事できただけでもありがたかったが)
何ともみっともない小屋泊まりではあった。

2.二日目
熊ノ平小屋から北岳をかすめて広河原

5:00-7:40三峰岳-9:10間ノ岳9:30-11:30北岳山荘-12:45八本歯ノコル
-14:10二俣-16:40

歩き出して今日も昨日同様牛歩を覚悟する。相当に時間がかかりそうな予感がする。
三国平まで案外とキツイ登りだ。振り返ると赤い屋根の熊ノ平の小屋が見える。
登り着いたら塩見岳、仙丈ケ岳、甲斐駒ケ岳が勢ぞろいだ。


塩見遠望

三峰岳までは岩で案外手強い。たどり着いたら間ノ岳が馬鹿でかく気力が萎えた。
先着していた人が案外と早く着きますよと慰めてくれる。
先が長いのでさっさと登りだすが、仙塩尾根を歩いてきた30前後の男性の「南は樹林帯の
歩きが短いといいのになあ」の一言に全く同感。
元同僚のK氏が毎年スイスに行くのもちょっとは分かる気もする。苦労しないで絶景が見れれば
それに越したことはない。
間ノ岳への登りは本当に案外と歩き易かった。頂上で弁当を開いて唖然。握り飯3ケと塩漬けハム
みたいな肉が一切れ。もっとまともな弁当が作れないのかと呆れた。
北岳山荘までが意外と長くて途中の中白根で小休止する有様。
八本歯へのトラバース道は全くショートカットしていなくて距離的には得はしないが、キンロバイなどの
花が多くて楽しめるのが取り柄だろう。


キンロバイ

6月の中旬から下旬にはあのキタダケソウに出会える。
コルからノンストップで二俣まで駆け下りたがコースタイム通りだった。
バットレスをやった岩屋が三人トカゲしているのと今から北岳へという変な親子がいた。
ここはミヤマハナシノブやらハクサンフウロやら花が多い。
途中で足を引きずる若者がいて聞いてみると膝を痛めたらしい。仕方が無いのでサポートして歩く。
結局最終バスにギリギリ間に合ったが危なかった。
北岳は花が多くて歩くのが楽しい山のトップクラスだろう。南アルプスをまだ歩いてない人は
まずここからやってください。きっと病みつきになりますよ。人が多いのが難点ですが。

花の記録は残していないが、特に印象に残ったのは
塩見岳のタカネツメクサ、北荒川岳のマルバダケブキ、タカネコウリンカ
八本歯へのトラバース道のキンロバイの大群落
花はいろいろと出てきたがまじめに記録する気力もなかったらしい。
本当にタフなルートなので少しでも若いうちに歩くことをお奨めします。

次回は2008年秋の早川尾根からアサヨ峰

この時に撮った山岳風景の追加

     
 
左から 中央アルプス 塩見岳西峰 蝙蝠岳 熊ノ平小屋と塩見岳 北岳・甲斐駒ケ岳 仙丈ケ岳

コメント
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思いでの山 北アルプス編 ⑧ 徳本峠越え

2010年05月04日 | 北アルプス
北アルプスの記録も一応最終回となったが、それがウェストンと同じルートを歩く
徳本峠越えとなったのが面白い。
ここ数年Y氏と行こう行こうといいながら、なかなか都合や日程が合わなかったり、道が
崩れたりして延び延びになっていたのだ。
やっと行ける事になり楽しみに歩いたのだが期待通りだった。
最初は行ける所まで行って、寝袋もなしでビバーグしようというY氏の提案を面白いと思ったが、
やっぱり還暦を過ぎたオジン2人がやるのはちと無謀と幕営に変更した。
道はさすがに先人が歩いただけあって足に優しいコースどりで、静かな歩きが楽しめた。

2009年8月22日-23日(山中1泊2日)(Y氏同行)

いつもの6:14高尾発松本行きでノンビリ各駅停車の旅だ。18キップは貧乏山屋には
最高の移動手段だが、Y氏にはちと迷惑かも。
タクシーで新島々から行ける所まで行こうと思ったが大して中に入らない。
Y氏によるとドル箱の上高地があるのでガツガツしてないのだろうとのことだが、こちらとしては
ちょっとでも無駄な歩きを省きたかったのに思惑がはずれて残念。

1.初日 島々から岩魚留小屋 11:00-16:00 

退屈な歩きもまとわりつくオオムラサキがまぎらわせてくれたり、サンダルで雨傘をザックに
さした若者と行き会ったり、戦国期の悲劇というか当時は常識的な出来事の石碑を見たりして
どうにか小屋までたどり着く。
あの若者は素人ではなかろう。小屋のスタッフの休暇下山だろうが峠の小屋だと時間的にちと?
あとは釣りの若い男女1組と単独の中年釣師一人と会ったきりの静かな歩きだ。
道は二俣からの右岸沿いの道が崩壊地4箇所ほどあり、うち一箇所がちょっといやらしい。
行政もこの道の保全はちと難しいだろうから、そのうち沢の中を歩いてしか行けなくなるんでないか。
沢沿いなので涼しく夏向きのルートで、道さえよければ人気コースになるのだがそうすると
五月蝿くなるのでこのままがいいか。
それにしても峠道などと同じで、昔の人のコースどりが本当に上手なのには感心する。
一回ポッキリでなく日常的に使うんだから当然といえば当然なのだが。
桟道が結構出てくるが古くてちょっと危なっかしいのもあった。
おまけにご丁寧に一人づつ渡れと書いてあるのがあったりして笑った。
小屋は誰もいない。今年は営業しなかったらしい。来年は土日祝祭日はやるみたいだが相当に
荒れているし、経営は非常に困難だろう。残念だがそのうち廃業になるかも。
傍らにカツラの大木があり、その横にテントを張った。
沢沿いで見上げる空が狭いのが残念だが、静かな夜だ。軽いので羽毛シュラフで寝たが、
Y氏はあまりの寒さにエマージェンシーシートを被って寝たらしい。寝袋なしでは8月末でも
ちと厳しかったか。

2.二日目
小屋から徳本峠を越えて上高地
6:15-8:15力水-10:00徳本峠10:15-12:00明神-13:00

左岸沿いの道だが結構岩が道を覆っていて歩き辛いところがある。大雨が降るとあちこちで
危険箇所が発生するから尾根ルートと違い沢沿いの道はリスクが大きい。
カツラの大木があちこちにあり、気分の好い歩きなのだが足が上がらず、Y氏に置いていかれる。
Y氏はドンドン先行するM氏と違って待ってくれるので不安が無い。一旦右岸に換わって
最後にもう一度左岸に渡り返してちょっとで力水だった。ここで2人とも500のペット1本を冷たい水で
満たして峠を目指した。ここからが案外と長く、いつもの通り、「まだかよー、長いなー」と
毒づきながら歩いた。もうちょっと気の利いたセリフを考えたがいいかも。
やっと峠が近づいてきたが雲がかかってないように祈る。苦労して登りついて山が見えなかったら
ガックリだ。
どうにか登りきったら小屋は古いのを一部残して建て替え中だった。全部建て替えているのかと
思っていたが、さすがにあの売りのつっかえ棒は残したらしい。
小屋の横に出てみると、おおー明神が正面だ!あの長い道の終わりにこんな風景が展開すれば
誰でも感激するだろう。ウェストンの喜びようは並みでなかったろう。
沢筋には細いが残雪があり、ちょっとしたアクセントになっている。
これは上高地からの逆ルートはとんでもないお馬鹿。歩くのが案外と多いのがよく分からない。
鯛の尾頭つきの無い祝い膳を食べてるようなもんだ。
山慣れしたオヤジが逆ルートで島々へ降りるというので水はあちこちで汲める、いざとなれば
営業してない岩魚留小屋の軒下で寝られると教える。
観光で来た大阪からの若者にY氏が山の解説をしてやっている。
写真を撮りましょうと言ってくれたが、二人して断る。写真では感動は写せない。
先行した若者の後を追って我々も上高地目指して下山したが、明神からバスターミナルまでが
何か一番きつかった気がする。観光客でごったがえする道をトボトボと歩き、ビールで乾杯して
宿題の山を終えた。

次回からは当分のあいだ南アルプスの記録だ。
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