三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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朝鮮人追悼碑をささえる12個の石

2016年11月03日 | 紀州鉱山
■朝鮮人追悼碑をささえる12個の石

                         宇恵悟

 碑石の土台を12個の石で兪柄煥さんが囲んでいった。その工事は暗くなるまで続いた。
その作業をそばでみていたわたしには、その石の意味がわからなかった。
 朝鮮半島の12の地域を表している、と兪さんが言った。

 新しい追悼碑の設置工事は、兪さんとその会社の古参の社員の方、従業員の中国からの研修生の方お2人の計4名が当たられた。他は生コンを運んできたトラックの運転手さん、クレーンオペレータさんなど。
 兪さんたちは、三重県の北の亀山から南の端の熊野まで、長い時間をかけて、石やユンボや資材を積んだ大型のトラックでの何回も往復した。
 数日かかって築いた土台の上に碑石を置こうとしたが、亀山から運んだクレーンが小さ過ぎて他の大型クレーンを持ち込んだが、垂直降下する碑石の微妙な位置修正にクレーンの運転手さんたちが苦労した。
 最後の仕上げに基石と碑石の間に流し込んだ生コンに小石を詰める作業に、わたしたちも加わらせてもらった。その兪さんの計らいを嬉しく思った。
 言葉の不自由さの中で、暗くなっても黙々と作業する中国人の研修生の方の姿、土台工事を終え碑石の据え付けのために静かに左官小手を操るすっきりした黄色のシャツ姿の兪さんの佇まいを今でも鮮明に思い出す。
 兪さんの工事の過程を見ていて在日の人の立場が折につけ頭をよぎった。
 この時ばかりでなく、紀州鉱山の真実を明らかにする会の活動に参加してきて、これまでの作業や行事を通じても度々感じていた事だが、もし差別や人権の問題に関心のある人が声をあげる土壌があり、国や、過去に朝鮮人や中国人に危害や人権侵害を加えた地域の住民がその歴史を踏まえて外国人差別や人権にもっと敏感に反応すれば、兪さんは勿論、他の在日の人々やその支援者もこのような作業に貴重な時間や経費を割かずに、家族の為に、レジャーに、或いは寄付行為などの社会貢献活動にも、今以上に傾倒できたし、できるだろう。
 熊野市の住民達も加害者だった「木本事件」、朝鮮人が動員され犠牲者を出した紀州鉱山、そんな地域の人達が在日の朝鮮人の生きにくさには無関心であるという事には合点がいきにくい。
 なぜ地元の人達のおおくは、「木本事件」の犠牲者、紀州鉱山での犠牲者に無関心でいられるのだろう。その当時生きていたとして、自分ならそんな虐殺行為はしなかったと断言して割り切っているのだろうか。今の私達ならそんなことを繰り返さないと言い切れるのだろうか。
 現在、都会で見られるヘイトスピーチは、木本で虐殺が起きた時代の住民意識と重ならないのだろうか。  「木本事件」の償いの為にもヘイトスピーチのような朝鮮人排斥の声に何か行動をとろうとは思わないのか。
 熊野市でも人権週間の時などには啓発活動を行っているが、あれは予算が廻ってくるからその消化としてやるのだろうか。
 身近な所で甚大な人権侵害があった歴史に思いを馳せないで、人権、差別の問題を語れるのだろうか。過去の隣国への加害行為を清算することなく、遠いイタリアや南米の国とかイギリスとかと国際平和交流を謳うことに疑問を感じないのだろうか。
 沈黙や静観は、余計な心労やコストを払って生きている在日の人達に対する差別を知らぬ振りしやり過ごすことで、過去の加害行為の責任を自らは果たさないで地域の責任を国任せにし、その国も責任をとろうとしないのを看過しているのではと思う。
                                             2016年10月30日
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