社会統計学論文ARCHIVES(人生という森の探索)

社会統計学に関する論文を要約し、紹介します。
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Ⅻ 統計学説史⑤(社会統計学の伝統とその継承)

2017-05-05 17:49:17 | 社会統計学・社会科学方法論アーカイブズ

第12章 統計学史

2 学説史的展望

(2)思想的接近
 吉田は自著『統計学-思想史的接近による序説-』(1974年)の目的を次のように書いている。「本書は,統計学の歴史を,世界観・科学方法論の歴史と重ねて展開させることにより,この方法論上の原則を説得的に示そうとする。同時に,統計資料の数学的な整理加工を統計学とみなす数理統計学に対する基礎的かつ内在的な批判の基準を示そうと試みている。これらは第二の『統計万能時代』ともいうべき現段階において,きわめて重要なことではないだろうか」と(1頁)。
 構成は次のようである。

  「序章」「第1章:統計学の源流」「第2章:政治算術とイギリス経験論」「第3章:統計学と機械的唯物論[Ⅰ]-古典的確率論と機械的唯物論-」「第4章:統計学と機械的唯物論[Ⅱ]-ケトレーの「社会物理学」と機械的唯物論-」「第5章:ドイツ社会統計学と歴史学派-機械的唯物論の克服」「第6章:イギリス生物統計学(記述統計学)と経験批判論」「附論Ⅰ:日本の経済計画と計量経済モデル」「附論Ⅱ:わが国生産統計の歴史とその役割」「附論Ⅲ:社会科学研究と統計方法-結びに代えて-」

 『統計学-思想史的接近による序説-』と題する本書は,その内容にあたればわかるように,統計学の歴史を,すなわちその源流(イギリス政治算術,ドイツ国状学,フランス確率論)から近代統計学を確立したケトレーを経て,20世紀の数理統計学と社会統計学に至る過程を,世界観および科学方法論の展開と対応づけながら展望した労作である。𠮷田の言葉によれば,それは「統計学の歴史を,世界観・科学方法論の歴史と重ねて展開させることにより,この方法論上の原則を説得的に示」すとともに,「統計資料の数学的な整理加工を統計学とみなす数理統計学に対する基礎的かつ内在的な批判の基準を示」すという意図のもとに構成されている(1頁)。このことは「統計学の方法がいかにその時代時代の世界観・科学方法論に深く制約されてきたか,しかし実証方法としての現実とのかかわりあいのなかからいかにそれを克服しつつ発展してきたか,をみようとする」だけでなく「現代において支配的な数理統計学の方法を,それが依拠する誤った科学方法論まで降りて批判する方法的基礎を与え」ることでもある(20頁)。これら2つの課題に取り組むことを通して,𠮷田は本書で統計学の学問的性格を明らかにし,「さらに統計学が,それを補うものとしてのその他の実証方法とともに個別科学の既成理論を含むより大きな社会科学の方法=唯物弁証法にどのように位置づけられなければならないかについて」示唆を得る試みに挑んでいる。本書には,以上の説明からわかるように,2つの特徴がある。統計学の学史的展開を世界観および科学方法論と対応させて示すこと,数理統計学の内在的批判である。

 前者に関しては,通説に従って統計学の系譜を「17世紀中葉,ドイツ,イギリス,フランスに独立にあらわれた国状学,政治算術,確率論がしばらく独自に発展したあと,19世紀中葉,ベルギーのケトレーによって「社会物理学」として統合されたが,それは,ドイツ社会統計学とイギリス生物統計学とに分かれて継承され,やがて現代の社会科学方法論および実質社会科学論としての社会統計学,普遍科学方法論としての数理統計学に連なる」ととらえ,それぞれの統計学とそれらに影響を及ぼした科学方法論との関係を検証するという構成がとられる。

 
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