社会統計学論文ARCHIVES(人生という森の探索)

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山田耕之介「ソ同盟統計学論争」『現代社会主義講座』第4巻,東洋経済新報社,1956年【その2】

2017-05-16 11:50:04 | 社会統計学・社会科学方法論アーカイブズ

山田耕之介「ソ同盟統計学論争」『現代社会主義講座』第4巻,東洋経済新報社,1956年【その2】

 論争は50年代に入っても続く。1950年2月20,21日に中央統計局で統計学の理論的基礎に関する討論会が開催された。局長のスタロフスキーが議長となり,ソーボリが基調報告を行った。ソーボリは統計学が史的唯物論と経済学に基礎をおく社会科学であるとして社会主義社会における統計学の役割を定式化した。更に,従来の統計教育が確率論と経済統計学の命題の寄せ集めであったと指摘し,経済統計学の理論を基礎に各部門統計学が構成されなければならないと主張した。この討論会で注目されたのは,大数法則を統計学の理論的基礎とみなしていたピサレフの自己批判であった。席上,公然と数理派弁護の論陣をはったのはポドバルコフであったが,支持者はいなかった。数理派の退潮が目立った。

 以降,1952-3年にわたって『経済学の諸問題』『統計通報』誌上で,統計学の対象と方法をめぐる論争が組織的に展開された。この論争をとおして,「実体科学派」「方法科学派」「数理派」に分化した。「実体科学派」に属するのは,コズロフ,テェルメンスキー,グレーヴィッチ,プロシコ,オブシェンコ,ソーボリ,ミハイロフ,スースロフ,シェリギンである。「方法科学派」に属するのはドルジーニンである。「数理派」に属するのは,ネムチーノフ,ピサレフ,ホルンジー,ラビノヴィッチ,ボヤルスキーである。

 筆者はここでそれぞれの「派」の説を細かく紹介している。「実体科学派」の代表格はコズロフであるが,彼の見解では経済学と統計学には社会現象の質と量とがそれぞれ割り当てられている。この派の見解では、経済学と統計学との関係が曖昧である、とした。しかし、「方法科学派」のドルジーニンにあっては,「統計学は社会科学的方法学」とされているが,方法科学としての統計学の内容については何も語られていない。このことが彼の言説の前提に数理統計学があることを予想させる。「数理派」はマイノリティになりつつあったが,確率論の諸命題を掲げて論陣をはることをやめ,現実問題を豊富に取り入れ,古典の引用で権威づける路線をとるようになった。(続く)

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