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山田耕之介「ソ同盟統計学論争」『現代社会主義講座』第4巻,東洋経済新報社,1956年【その3】

2017-05-17 00:41:18 | 社会統計学・社会科学方法論アーカイブズ

山田耕之介「ソ同盟統計学論争」『現代社会主義講座』第4巻,東洋経済新報社,1956年【その3】

 科学アカデミー,中央統計局,高等教育省は1954年3月16日から26日まで,1948年からの論争を総括し,統計学の対象と方法についての統一見解をつくりあげるべく,「統計学の諸問題に関する科学会議」という名の下に大規模な会議を開催した。科学アカデミー副総裁のオストロヴィチャノフが議長をつとめ,討論の総括も行った。全ソから760人の研究者が集い,討論は60人の統計学を主とする各分野の代表者によって行われた。

 この会議では52年論争にみられた3つの見解が明確化した形をとって現れた。3つの見解とは,「統計学は主に社会的生産関係すなわち経済を研究する社会科学的実体科学である」とする立場(コズロフ,マールイ,ソーボリ,グレーヴィチ,パスハーベル,シュリギン),「統計学はあれこれの社会現象を特徴づける数字資料収集の原理とその加工方法に関する社会科学的方法科学である」(ドルジーニン,テンネンバウム,ファルブシタイン,フルセンコ),「統計学は社会や自然の現象を研究する普遍科学である」とする立場(ネムチーノフ,ヤストレムスキー,ルコムスキー,シュシェリン,メンデリソン,イワノフ,ケドロフ,ウルラニス,マガリル,ボヤルスキー,スミット)である。筆者はこれらの見解を(1)統計学の定義および対象の定義,(2)統計学の理論的基礎,(3)統計学の方法の3つの論点に絞って,議論の内容を要約している。

 会議の結論はコズロフ見解を下敷きにした次のようなものであった。「統計学は独立の科学である。それは大量的社会現象の量的側面を,その質的側面との不可分の関係において研究し,時と場所の具体的諸条件における社会発展の合法則性の量的表現を研究するものである。統計学は社会的生産の量的側面を,生産力および生産関係の統一において研究し,文化的および政治的社会生活の諸問題を研究する」「統計学の理論的基礎は,史的唯物論とマルクス・レーニン主義経済学である。これらの科学の諸原理と諸法則に基礎をおいて,統計学は具体的な大量的社会現象の量的変化を明らかにし,そこに現れる合法則性を解明する」「独自の研究対象の性格と基本的特質とにもとづいて,統計学は研究の特殊な方法と手段(大量観察,グループ分け,一般化指標その他)をつくりあげるが,これらは全体として統計学の方法論を構成する」と。

 会議の結論の要請にしたがって,科学アカデミー,中央統計局,高等教育省委員会は,1954年5月28日の合同会議で,「統計学の諸問題に関する科学会議資料」を審議し,会議の結論に対して全面支持の意向を示した。ソ連統計学論争はこの会議をもって,結末に達したとされている。その後は,上記の結論にそって統計学関係の出版が続いたことは周知のとおりである。(終わり)

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