社会統計学論文ARCHIVES(人生という森の探索)

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森博美「政府統計体系の構造」『統計法規と統計体系』法政大学出版,1991年【その3】

2017-04-25 12:11:33 | 社会統計学・社会科学方法論アーカイブズ

 業務統計は統計法規が適用除外されている。そのため各種の調査権限は業務統計には事実上及ばないことになる。業務統計がその作成過程を現実の業務遂行と一体化していることは,調査組織体制を準備することなく,調査が難しい分野や事項について動態的な統計把握を保証する。しかし,反面,その統計の圧倒的大部分は行政目的内部の使用目的のために作成され,採用される統計項目やカバレッジ,分類基準や結果表章の形式が業務の遂行を前提に決定されている。これらは業務統計を他の諸統計と連結使用する際の制約条件となる。

 「むすび」で筆者は,指定統計と業務統計とが,統計の作成過程,統計調査機関による調査権限の行使形態などで対照的であることを再整理している。このことは上記の説明で,理解できる。

 業務統計は,「統計法」と「報調法」といった統計法規の適用対象外として扱われている。この統計には固有の長短があり,統計原情報の獲得が業務上の必要性に照らして決まり,また日常業務に随伴して統計作成がなされるため,とりたてて秘密保護の規定を定めることなく守秘性が担保されている。業務統計のもつ以上の性格は,この種の統計を指定統計の対極に位置づけることができる。あるいはより厳密にいえば,調整権限の行使という視点をいれ承認統計,届出統計の存在を加味すると,後者は対極にある指定統計と業務統計の中間に位置すると体系づけることができる(届出統計は,指定統計はもとより承認統計と比べても調整権限の及びえない,より業務統計的性格が強い統計である)。

 筆者が示す日本の政府統計体系の構造では,承認統計は指定統計と業務統計の第一形態の中間に,届出統計は指定統計と業務統計の第二形態の中間に位置する。

  加えてこの構造が意味するところは,統計の作成(調査論理),さらには統計調整権限の行使形態という観点から日本の政府統計の位置関係を整理しただけでなく,各統計が体系全体のなかでどの位置を占めるかは,それぞれのカテゴリーに属する個別統計の結果数字となる統計資料に対する吟味・批判の出発点を示唆するということである(299-300頁)。  (終わり)

 

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