社会統計学論文ARCHIVES(人生という森の探索)

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松川七郎「ペティの経済学的統計学的方法の社会的基盤-その測量論を中心とする一考察-」有澤廣巳・宇野弘藏・向坂逸郎編『世界経済と日本経済(下)』岩波書店、1956年【その2】

2017-06-16 21:25:32 | 社会統計学・社会科学方法論アーカイブズ

松川七郎「ペティの経済学的統計学的方法の社会的基盤-その測量論を中心とする一考察-」有澤廣巳・宇野弘藏・向坂逸郎編『世界経済と日本経済-大内兵衛先生還暦記念論文集(下)』岩波書店、1956年【その2】

 ところで土地の賃料に地租が課せられると、たとえその賃率が全国一律でも土地の所有関係や賃貸関係の如何によって、元本である土地の資本価値が不規則に増減したり、地租負担の転嫁があったりする。この事実を承知していたペティは、問題を次のように設定する。第一は税源である富(賃料)の如何であり、第二は現実問題としての課税標準の設定、そのための賃料の貨幣価値算定方法である。ペティは前者に関しては地代論・土地労働等価論・地価論・利子論を、後者に関しては測量論を展開する。この意味で、ペティの測量論は地代論等々の原理論をふまえた「行政政策論」である。

  ペティの測量論は二段構えになっている。第一段は「土地の内在的価値の測量」であり、第二段は「土地の付帯的または偶然的価値の測量」である。第一の「土地の内在的価値の測量」というのは、土地の文字通りの丈量から始まる。ペティは教区・徴税等々の土地の行政上の境界および沿海・沿川・岩頭・山等々の土地の自然的特徴の両面について、その形状・面積・位置を測量することを提案する。この丈量は、地籍の明確化につながる。これに続くのは、土地の質の調査、土地の生産性の調査である。ここでは生産物の貨幣価値は考慮の外におかれている。第二の「土地の付帯的または偶然的価値の測量」は、土地の生産物の価格および変動に関する調査、土地収益の調査である。この場合、ペティはまず商品(生産物)の「自然価格」を規定し(「他の諸条件にして等しいかぎり」不変)、ついで自然的・社会的諸条件の変化に応ずる生産物の価格変動を調査すべきことを提案する。ペティの意味する土地ないしその生産物のextrinsic or accidental values は、一切の社会経済的諸要因によって変動する商品価格にほかならない。

  ペティの測量論は、彼の地代論・土地労働価値論以下の諸理論に照応している。そう考えると、彼は地代をまずintrinsicallyに土地生産物の剰余として現物形態においてとらえ、次にこれを貨幣形態においてとらえかえし、そうすることで生産物価格、したがってまた地代の貨幣価値をextrinsicallyに変動せしめる諸要因のの根底にあるintrinsicな社会関係(「自然価格」)を明らかにしたと言える。

  筆者は以上に要約されるペティの測量論が土地の丈量・生産性の計測を提唱し、地籍の明確化につながっている点で、またそれが「自然価格」をふまえた貨幣地代(地価)の算定論であるという点で、近代的かつ科学的と、評している。ペティの測量論は、封建的物納地代における地方的差異を克服し、これを社会的に等質な「自然価格」に解消統一し、全国一率の近代的金納地租制度を確立するための不可欠の基礎的前提を解明したのである

  (続く)

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