【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

小島貞二・相撲甚句/三宅充・文『絵本 大相撲』アリス館、1985年

2012-02-10 00:44:22 | 詩/絵本/童話/児童文学

         

 この絵本は、こどものためというよりは、自分のために購入したものです。子どもの成長をとおして、絵本の世界を知り、この分野の奥行きの深さに浸った時期がありました。多くの絵本に接しているうちにわかったのは、絵本はなにも子どものためあるのではなく、大人もいろいろな意味で絵本と向かいあえるのだというとでした。


 もっともこの本をもとめた目的は、そういうことよりも、わたしが好きな相撲の世界に関する本だったからです。

 この本は、小島貞二さんと、三宅充さんという相撲のことが詳しい方によるもので、小島さんが新たに新作の「相撲甚句」を書き、三宅さんが解説をするというように、二人三脚で出来あがっています。小島さんは相撲の錦絵の収集家でもあり、絵本の画そのものは錦絵が利用されています。

 相撲甚句というのは、引退相撲とか、地方巡業、花相撲のおりに歌われるもの(甚句を歌う力士が土俵の中央に立ち、それを数名の力士が囲み歌に合の手をいれておこなわれる)ですが、小島さんは相撲の世界がわかるように子どもむけに、この世界の魅力がわかるように、この本のために書き下ろしたようです。

 甚句のなかには、「稽古」の模様、櫓太鼓、相撲をうたった川柳、土俵入り、支度部屋の様子、顔ぶれ言上、立ち合いの呼吸、取り組み、弓取り式、化粧回しのことなどが歌いこまれています。三宅さんがそれに解説をつけているのですが、たとえば、「稽古」の模様の箇所では、「もうしあい」「三番稽古」「ぶつかり」があること。櫓太鼓の箇所では一番太鼓、二番太鼓、はね太鼓があり(現在二番太鼓はない)、呼び出しがこれをたんとうすること、などかなり詳しく書かれています。

 また、甚句の内容にそくして、豪華な錦絵が掲載され、迫力があり、見事です。筋骨隆々の力強い力士の身体、華麗な化粧回し、錦絵だけでも見ていて愉しいですね。

 この本を読むと相撲とは、単なるスポーツではないことがよくわかります。

 家族みんなで楽しむ大型絵本シリーズのひとつです。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿