若きゲイリー・クーパー、妖艶なマレーネ・デートリッヒが演じた記念的作品です。二人とも同じ1901年生まれで、28歳か29歳です。1930年の製作です。トーキーが登場してから、また映画という芸術が生まれてからも、それほどの時間はたっていません。いろいろな実験的(?)試みがあります。
ゲイリー・クーパー演じるトム・ブラウンがデートリッヒ演じるエイミー・ジョリーと別れる決意をして、メッセージ(「気持ちが変わった。幸せに!」)を楽屋の化粧台の鏡に書くシーンとか、最後のところでエイミーがトムを追いかけて砂漠に入るところでハイヒールを履き捨てるシーンなどにそれがあらわれています。
ストーリはモロッコに駐屯していた独軍外人部隊の一員だったトムが、やはりこの地に流れ着き酒場の歌姫として働いていたエイミーとがいい関係になるものの、トムは彼女との別れを決意し、彼女のほうでは言い寄ってきた金満家のラ・ベシェールとの結婚話がもちあがるが、最後にエイミーがトムを忘れられず砂漠のなかを追って行くというもの。
外人部隊の一員であるトムは、御多分にもれず、現地に女を囲っています。トムにとってエイミーはそのなかの一人、しかしなぜか強く惹かれる存在でした。映画のなかでは、そのことに関わって人殺しにまで展開するいざこざが織り込まれています。
異動する外人部隊の隊列の行進のあとには、女たちの一団が身辺用具や食べ物を背負ってやはり隊列をなして追って行進していきます。後続部隊と冷やかされています。エイミーは、トムへの想い捨てがたく、最後の場面でそのなかに加わるのです。
日本での字幕スーパー第1号と言われています。デートリッヒの燕尾服姿、また映画の最後のほうでトムへ敬礼を返すしぐさなどで話題をよび、社会現象にまでなったという記録が残っています。