映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ショパン 愛と哀しみの旋律(2002年)

2017-05-01 | 【し】



 泣く子も黙る、あのショパンの伝記映画。リストとの出会いから死に至るまで、ジョルジュ・サンドとの恋愛を軸に、ショパンの名ピアノ曲をバックに描く。

  
☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜


 公開時から評判が酷かった本作。確かに、ポスターの絵柄がゼンゼン魅力的でなく(サンドの方が目立ってるっておかしくないか?)、気にはなっていたものの劇場まで見に行く気にならなかったので、DVDでようやく見ました。

 ネットのレビューでも酷評されているものが多いですが、劇作家の山崎哲氏は絶賛しています。

 私は、そこまでヒドイ映画だとは思いませんでした。絶賛する気にもなれませんが、音楽家を扱った映画としてはマトモな方ではないでしょうか。ポーランド人俳優を起用し、ポーランドが制作して、ゆかりのある土地でのロケが盛りだくさん、、、と、気合いは十分入っていると思います。


◆制作陣、頑張ってます。

 酷評しているレビューを拝読すると、おおむね「中途半端」「ショパンを描けていない」というところに矛先は集中しているようです。まあ、確かに、それは一理あると思います。

 私が一番感じたことは、タイトルに「ショパン」とあるのに、中身はどっちかというと、ジョルジュ・サンドの苦悩がメインになっちゃってるんじゃない? ってこと。ショパンが何に苦悩したのかがよく分からない。ただただ、サンドとその子らに振り回されて疲弊しているショパンばかりが目についてしまう。

 しかも、冒頭のサロンコンサートで、確か「英雄ポロネーズ」を弾いていて、その後にサンドとの恋が始まる展開になっていたと思うけど、「英雄ポロネーズ」は、割と晩年に近い時期に作曲されているはずだから、時系列がちょっとヘンだよね、、、。

 ……とか、まあ、ツッコミ所は確かに満載なのですが、私が本作をこき下ろす気にならないのは、何というか、制作陣の並々ならぬ意気込みを画面からひしひしと感じたからです。

 ショパンを演じたピョートル・アダムチクや、リスト役の俳優にも、相当ピアノの訓練をさせたと思われる、その演奏シーンは、なかなか見物。少なくとも、手元を映さないで、過剰な顔の演技だけでピアニストを撮るという、志の低い手法は選んでいない点は評価されても良いと思う。しかも、ピョートル・アダムチクの鍵盤を叩く手の演技はもちろん、弾いているときの姿勢などもなかなかのもの。決して嘘っぽさは感じません。

 また、BGMが時系列的におかしすぎる、という批判もあったけど、それは別にいいんじゃない? と思う。シーンと選曲が合っていない、というレビューもあったけど、まあそれは個人的な感性の違いといえるレベルじゃないかと。アンダンテスピアナートの流れるシーン(何のシーンだったか覚えていないのが笑止だけど)とか、なかなか画と音楽が合っていたと思うなぁ。

 しかも、ワルシャワ、パリ、マヨルカ島とロケを敢行し、マヨルカ島でのサンドとの愛はありながらも荒んだ生活は、島の厳しい自然をバックに叙情的で、制作陣の意気込みは十分感じられます。惜しむらくは、ショパンからフォーカスがぼやけてしまって、意気込みが空回り気味なところですな。

 あと、ショパンを決して美化していないところも好感持てました。マザコンで、わがままで、キレやすく、甘ったれ、、、な、今で言うところの典型的だめんずなショパン。まあ、実際のショパンも、才能以外は、決して褒められた人間じゃないと思われるので、ヘンにイイ人に描かれても白けます。

 ただ、サンドの息子に目の敵にされ、娘には迫られ、、、ってのは受難続きで気の毒です。特に、息子モーリスは、ショパンを目の前にして、自分の凡才ぶりを突きつけられ、ほとんどショパンに八つ当たり。しかも、サンドは、母親のくせに、モーリスが荒れているのに「ショパンだって天才だけど努力しているのよ」みたいなことを平気で息子に言う。嫌っている男を引き合いに出されりゃ、そら、怒りますよ、誰だって。この辺のサンドの息子への対し方を見ていると、いかにも無神経。

 実際のモーリスは、確かにショパンを嫌っていたみたいだけど、一応、画家として作品も残していて、天才とは言いがたいにしても、そこそこ才能はあったんじゃないでしょうか。

 ともあれ、ハッキリ言って、これよりヒドイ楽聖映画なんてフツーにあります。少なくとも、『クララ・シューマン/愛の協奏曲』や、『ラフマニノフ ある愛の調べ』といった、どうしようもない映画よりは百倍マシです。


◆魔女みたいなサンド。

 とはいえ、もちろん、文句を言いたい部分もあるわけで、、、。

 何より興醒めだったのは、ジョルジュ・サンド役のダヌタ・ステンカという女優さん。この方、あの『カティンの森』(未見)にご出演の方らしく、ポーランドでは実力のある俳優なんでしょうが、いかんせん、ちょっと老けすぎなのでは? 本作制作時に42歳。ううむ、、、。42歳もイロイロだから、数字だけでは何とも言えないけれど、少なくとも、実際のサンドがショパンと出会ったのは30代前半なわけで、でも、画面に映るダヌタ・ステンカは、どう見てもアラフィフのおっかないオバハンです。このギャップはあんまりです。

 一応、肖像画をイメージした装いでサロンコンサートでのシーンは登場していますけれども、あれじゃあ、ほとんど魔女でしょ。怖すぎます。あんな魔女みたいなオバハンにラブレターもらって恋が始まるなんて、ホラー映画かよって話。

 まあ、、、でも、ショパンも相当のマザコンみたいに描かれているので、ああいう、オバハン的なところに惹かれたのかな、、、なんてね。んなわけないよね。

 あと、リスト役の俳優さんも、かなりイメージと違います。あんなゴツい男、リストじゃないでしょ、、、。もうちょっと、イメージを壊さないキャスティング、できなかったんでしょうーか???

 でもでも! ショパンを演じたピョートル・アダムチクは、なかなかgoo。ショパンはイメージ的に優男で、ピョートル・アダムチクは優男というにはちょっと骨太な感じだけど、繊細さもあるし、何より顔がそこそこイケているので、見ていて悪い感じはしません(ただ、ヅラをとった画像を見ると、、、)。むしろ、あのサンドにはもったいなかろう、、、と思っちゃう。

 サンドがもっと美しくて魅惑的な女性だったら、本作の評価も、もっと違っていたんじゃないか、とさえ思います。サンドが主役になった映画といえば『年下のひと』が思い出されます。内容はほとんど覚えていないけど、サンドがビノシュで、愛人ミュッセがブノワ・マジメルで、画にはなっていたんだよなぁ。やっぱし、見た目も大事なわけよ、映画なんだから。

 ……というわけで、悪くはないけど、ちょっと惜しい作品です。

 





あのショコラ、飲みたい。




 ★★ランキング参加中★★
『映画・DVD』 ジャンルのランキング
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« マイ ビューティフル ガーデ... | トップ | 霜花店-運命、その愛(2008年) »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL