映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

白い沈黙(2014年)

2015-11-02 | 【し】



 裕福とは言えないが、夫婦と娘、仲良く平凡に幸せな生活を送っていたが、ある日、娘カサンドラ(=キャス)のフィギュアスケートレッスンの帰り、マシュー(ライアン・レイノルズ)はいつものように帰り道にあるダイナーに寄ってドーナツを買おうと、キャスを車に一人置いてダイナーに入って行った。ものの数分で車に戻ると、キャスは忽然と姿を消していた、、、。

 キャスは一体どこへ? コトの真相はいかに?

 
 
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 新聞の評を読んで、見てみようと思い劇場まで行ってきました。同じ劇場で『ヒトラー暗殺、13分の誤算』も上映中で、どっちにしようか迷ったんですが、まずは本作から。『ヒトラー~』はまた次回。

 で、新聞評からは、サスペンスものだという印象で見に行ったんですが、これはサスペンスというより、スリラーと言った方が良いかもです。なぜなら、キャスの行方不明の真相は、本作中の早い段階で明かされるからです。本作の中では8年の歳月が経過した、ってことになっているんですけれど。

 良質なサスペンスを期待して見ると、これはかなり腹が立つ作品でしょう。カンヌで大不評だったというのも納得です。でも、私は、割と最後まで飽きずに見ることができました。

 以下、ネタバレバレです。

 言ってみれば、本作は、“のぞき”の世界です。監督は“監視”と言っているけど、覗きの方がしっくりくると思います。

 まず、キャスは長らく児童ポルノ愛好家集団の一味に監禁されていて、多分、幼い頃はその姿態を隠し撮りされた映像が、変態集団に配信されていたのだと思われます。つまり、変態集団の覗き対象にさせられていたキャス。

 そして17歳になって、そっち方面では用済みになったのか、今は、監禁は継続中ながらも、児童ポルノへの勧誘をさせられているキャスです。勧誘するのは、家庭や親への不満を持つ少女たちが覗きに来る、変態集団が運営している一見合法なサイト上。

 他には、母親のティナがパートで働いているホテルの部屋も隠し撮りされている。キャスは、自分の失踪で抜け殻になった母親ティナが働く姿を、監禁場所で見て(見せられて?)いるんです。母親の仕事ぶりを覗くキャス。そして変態集団も、母親の絶望ぶりを覗き見してほくそ笑んでいるらしい。この辺り、意味不明ですが、キャスの監禁を解くためのカギにはなっていきます。

 もちろん、変態集団のリーダーも、キャスや母親の動きを覗き見しています。

 そして、警察も、8年かかってようやく、キャスをネット上で発見し、ティナに確認させる。ティナは8年経ってようやくキャスの姿を画面越しに認める。生きていることを知って涙するティナ、、、。

 パンフを見ると、アトム・エゴヤン監督は、ネットという最新技術によって、姿は見えているのに手が届かないもどかしさ、どうしようもなさを描きたかった、みたいなことを言っています。確かに、生きているキャスの姿は映像で確認できるけれど、どこにキャスがいるかが分からない、、、。どうすればキャスの実体に近づけるのか? これが本作のキモなんですね、多分。

 本作がスリラーだと言ったのは、これが理由です。

 ありがちな時系列ぐちゃぐちゃ系ですが、あまり見ていて混乱はしません。8年経っても、マシューもティナもあんまし変わっていないのですが、まあ、8年前の描写は瞬間瞬間で差し込まれる感じだし、何よりキャスが少女なので、分かりやすい方だと思います。この手の作品で時系列を順を追って、、、という編集にすると、もっと緻密な脚本にしないと見られないでしょうね。

 、、、ということで、そーなんです。かなり粗が多いシナリオで、そもそもサスペンスとしては成立し得ない、と思います。

 キャス失踪事件を担当する警官は、ロザリオという女警官と、スコットという刑事上がりの生安警察官。このロザリオも実はヒドい幼少時代を送っていたり、ロザリオとスコットがいつのまにか恋人同士になっていたり、挙句、ロザリオが犯罪集団に拉致監禁されたり、、、と、なんだかもう話が???な展開になっていきます。キャスの監禁場所が判明するのも、かなりイージーです。詳細は書きませんが、これじゃ、観客がサスペンスとして受け入れ難いと思っても致し方ない。

 ただ、スリラーとして、“そこにいるのに手が届かない!”というじれったい状況をどう打破するのか、という意味では、最後まで興味を引っ張ってはくれます。私は、意外にも、あっさりこの辺の切り替えが見ている途中に出来てしまったので、良かったのかも。

 サスペンスとしてはお粗末ですが、心理劇として見ると、結構奥が深いかも、とも思います。夫が目を離した隙に娘が失踪したことで、当然、夫婦に亀裂が入る。それでも、夫も妻も、いなくなった娘を追い求める気持ちは変わらない。夫婦の縁は切れても、家族の縁は切れない、、、。実際、キャスは最後に救出され、無事に両親と再会するのですが、ラストは家族再生を思わせる終わり方になっています。

 でもまあ、、、正直、一度見れば十分な作品です。というか、DVDで良かったかも。役者さんたちも、なんかソソられる人がいなかったし(男優も女優も)。サービスデイで見たので良いけれど、満額払っていたらちょっと後悔したかもです。






こき下ろすほどじゃないけど、イマイチ、良さが分からない作品。




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