つい何年か前はまだまだ元気で、60代からの夢や姿勢も、割と鮮明に考えられていたが、昨今、はっきりと気付くのが体力の衰えである。あれほど几帳面にやっていた家事にも、それほど意欲が持てなくなった。それで普通になったのだと娘は言うが、自分の中では危機的な状態だと思う時がある。こうして少しずつ何かが出来なくなっていくのが老いなのだ。欲張って無理をすると何日か後にはひずみが出て、結局は数日だらだらと過ごすことになる。
どうしたものかと悩む日々だが、小さな言葉を見つけた。自分で考えたのか、誰かの言葉を写したのかは定かでないが、手帳に書かれた言葉はこう言っている。「ひとつづつ、少しづつ、これをつづける」。
出来るだけ自立した生活を送ることが、これからの大切な 課題であり、日常を難なく送れることが、またとない幸せになって来る年代において、ひとつづつ、少しづつ、これをつづける ことは、家事の困難を乗り越えるひとつの秘訣のように思える。
老いていく過程で、この秘訣と共に、心しなければと思っていることに笑顔がある。
顔にまで現われた筋肉の低下は知らずと口角を下げ、 自分の悪面に驚くことがある。心の伴わない事をおいてでもある。
気力の低下が、眠っていても自分の顔に渋面を作っているのに気が付く。<笑顔、笑顔>と声を掛ける。
何とも健気であるが、起きているときにしっかりとした意識を持つことはもっと大事である。
美しい花が咲いた。
三年を経て、やはり下を向いて咲いている。

笑顔を抱いているように見える美しい花である。

死ぬまで笑っている事を教えてくれる名花を前に、私はまたしても下がる口角をあわてて上げた。
笑顔を作るのも中々どうして、大変な作業である。


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