一条きらら 近況

【 近況&身辺雑記 】

夫のタイプ

2001年02月19日 | 女のホンネ
 家庭のある男性が、妻のことを話す時、3タイプあるようだ。
 1.妻の悪口を、やたらと喋るタイプ。
 2.妻のことを、やたらと自慢するタイプ。
 3.質問された時だけ、妻のことを口にするタイプ。 
 家庭のある男性たちは外でお酒を飲むと、多かれ少なかれ、家では口にしない不満やストレスを発散させて喋っていることが多い。
 私は相手の話を、素直に単純に信じてしまう反面、
(本当かしら……)
 猜疑心の強い一面もある。
 かつて私が敬愛していた男性作家は、ことあるごとに奥様の悪口を言い、批判なさっていた。私は単純に信じて、いつもクスクス笑っていた。
 ところが、その作家が病気で入院中、編集者2人と一緒にお見舞いに行った時、初めて奥様に会って私はショックを受けた。病室を出て控え室のような部屋で、私たちと、病気の原因のことなど話すのを見て、
(先生の嘘つき! こんなやさしそうな奥様じゃないの!)
 そう胸の中で呟いた。聞いていたイメージの女性とは大違い。母性的な感じで、気品があって、聡明で、思いやり深く、やさしさの塊(かたまり)みたいな女性である。
 あの、妻への批判や悪口は、何だったのか。単純に信じて聞いていた私はアホみたいである。
 2番めの、妻をやたらと自慢する男性は、どうやら現実と違う願望を口にしているだけだったり、世間的な見栄や虚栄心だったりして、実は逆に不満が溜まっている場合も少なくないようだ。今までの私の体験から。
 3番めの、質問されなければ妻のことを口にしないタイプ。そのタイプの男性は妻の愛に満たされ、家庭がうまく行っているケースが多いような気がする。今までの私の体験からだけれど。
「そんな男性こそ、家庭の匂いはしないし、本当は妻から大事にされ、愛されていて、男らしい魅力があるものよね」
 そう言った女性に、私は同感。
 人に聞いた話。
 嫉妬深い女が、男に誘導尋問する。
「ねえ、奥さんと最後にしたのはいつ?」
「忘れたよ」
「あたしの身体のほうが、奥さんよりいいって言ったじゃないの。だから奥さんとしたってヤキモチなんか妬かない。あたしと関係ができてからだって、夫婦がたまにはエッチするのって自然なことだと思うわ。ねえ、最後にしたのはいつ?」
「だいぶ前だから忘れたよ。何年ぶりかで、久しぶりに……」
「久しぶりだって夫婦ですもの、自然なことだわ。ねえ、どっちが求めたの? あなたでしょ」
「うん、だけど、やらなかった」
「久しぶりにしたって言ったじゃないの、たった今」
「やろうとしたら、女房が、何するのって言うから、やめたんだ」
 他人の話なら噴き出して笑うところだが、女はベッドから勢いよく起き上がって目を吊り上げ、声も口調も一変させる。
「何するの、って奥さんが言ったって、一体、奥さんの身体の、どこに、何をしたのよッ、週に2度も3度もあたしとやって、奥さんともやれるほどあなたは若くたくましくエネルギッシュな精力絶倫男だったのねッ!」
 もっと他に効果的な嫌みの言葉はないかと女は頭に血をのぼらせて逆上。
 しまったという顔つきも見せずに、男は一見、平静。
「良心の呵責だよ。たまにはやらなくちゃ悪いかなって」
 世間によくある話。男は浮気を隠すために妻を抱く。浮気隠しのためだけでなく、男は良心の呵責から妻を抱こうとすることもあるらしい。
 ところが、妻は夫の求めを拒絶する。それもまた、世間によくあることらしく、「何するの」という言葉と、全く同じ言葉で拒絶された知人男性を私は知っている。
「何すんのよ! って、邪険に手をはらいのけるんだ」
 不満げにそう言った知人の言葉に、爆笑が起こった。ふだん、「女房が、女房が」と妻のことをやたらと語るのが好きで、愛妻家と周囲には冷やかされていたからである。
 それ以来、私は、夫婦の仲むつまじさを強調する男性を見ると、心から同情するようになった。
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